ギルド スノープリンセス2星猫編 雪姫の居ない世界⑤
「スノーエンジェル!営業開始します!」
ギルドマスターアリサの宣言で、スノーエンジェルが開店した。
「第一ゲート室より『アガサ』のチーム出発。サポートはブルック様、アーロン様です」
「第2ゲート室より『イソリ』のチームが出ます。サポートにはサマンサ様、ノア様が付きます」
次々とクエストに出る冒険者たち。
その報告を2Fの執務室で聞くアリサとソーマ、ヘレン。
「なんかよ、思っていたより暇じゃね?」
「うん。私達、朝から何もやってないよね」
冒険者たちにはプリンセスの面々が付いている。ギムは王宮指南に出かけているので、問題を起こすものが居ない。なので、依頼は確実にクリアされていた。
「スノーのトラブルの約75%はギム様です。15%がマリア様で、残りの10%はマスターが起こすトラブルとなっています。他の人たちのトラブル率は、ここ3年間で0.3%未満なんですよ」
リアがお茶を持ってきて言う。
「ギムさんとマリアさんはなんとなくわかるけど、雪姫のトラブル率は高いよな?」
「うん、何気に10%は高すぎるよね」
不思議に思うソーマとヘレンだが、アリサが答える。
「ギルドマスターが出ることって、滅多にないんだよね。よほど大きな案件以外は出ないから、出た時の難易度は他の比較にならないし、失敗したときは、巨額の違約金発生とかにもなるんだよね」
確かに雪姫は救援などには出ない。幹部案件の大仕事の時に出張るだけだった。
「雪姫様が出ますと、アブソがございますし、ギム様とご一緒になることが多いので。どうしても・・ですな」
ギャリソンの、フォローのようなフォローじゃないような一言。
「雪姫からはよ、保険料の徴収額、増やさないとな」
「うん。雪姫マスターからは10%でもいいと思うな」
「一般冒険者0.5%、ギム様、マリア様は5%で、ユキマスは15%にしようね」
雪姫の報酬が15%減った。
「ソーマ!」
入ってきたのはソーマの父バッカス。
「親父!!」「あっ!お義父さん」
ヘレンはソーマの奥さん。バッカスはお義父さんになる。
「少し見ない間に偉くなったな。もう幹部とはな」
成長した息子に大満足。
「ギルドマスターはアリサさんだな。息子夫婦をよろしく頼むな」
以前は荒くれ者のバッカスも、今では飛鳥率いるアーミーズの隊長。
世間からは一目置かれる存在。
「こちらこそです。ソーマさんもヘレンさんも信頼のおける方で、私の方が助けられちゃってます」
心地の良い返事が返ってきた。
「うわさには聞いてたが、アリサマスターも良い子だな。ヘレンのように俺の娘にならないか?養女ってことで」
社交辞令だが、空気が凍り付く。
「アリサは私たちの娘です」
バッカスの真後ろにマリリンが居た。
「ギルド!スノーエンジェル!最大警戒態勢!!!」
ギャリソンが前に出た。リアがアリサに付き、両脇にヘレンとソーマが付く。
「何もしません。何かしたらルクスとサリーに殺されます」
マリリンはやつれた顔だったが、静かに執務室へ入ってくる。
そして、ギルドマスターのアリサの机に、封筒を置いた。
「私もスノーエンジェルに登録を希望します。マーメードのギルマスは無期限の有休をいただいてきました」
マリリンが言い終わると電話が鳴り、ヘレンが受ける。
「あっはい。いらしてます。はい。はい。いえいえ・・迷惑だなんて。はい。はい。分かりました。こちらで処理しておきます」と、電話を切った。
サリーから、マリリンが脱獄したの行くと思う。適当にあしらってください、との内容の電話だった。
「ギルドマスターアリサ、許可をお願いします」
大きなため息をつくアリサだが、マリリンの行動に、自分は愛されていると感じた。
「わかりました。登録を認めます。冒険者担当はソーマさんです。ソーマさんの指示に従ってください」
此処でニヤリとするマリリン。
「認めましたね?今、確かに認めると?」
「はい。認めましたが・・・」
「私は冒険者登録とは言っていません。その封筒の中を読んでください」
「ええええ!!!!一般職!?って?『ギルドマスター密着補佐官』ってなんですか!?」
封筒の中の申請書には、一般職『ギルドマスター密着補佐官』希望と書かれていた。
「アリサ!これが大人の世界です。汚いとか騙されたと言う前に、ちゃんと確認しない貴女が悪いのです」
まんまとアリサの横の席をゲットしたマリリン。
「マリマス・・嫌いです」
と、呟くアリサに抱き付き。
「私は大好きよ」
と言うマリリン。
「やれやれですな。スノ―エンジェルがマーメードエンジェルに成らなければ良いのですが」
ギャリソンも呟いた。
1日目が終わる。スノ―エンジェルの初日は大成功。3人は帰路に就いた。
ソーマが発案した『ゲート班』は、冒険者から大いに喜ばれ、スノープリンセス、マーメードドルフィンでの導入も検討される。
保険はテレサとダイル、トーマに一任され、現実的な段階まで話は進んでいた。
若い力が、少しずつラムタ世界を変えようとしている。
「雪姫、俺たち頑張るぜ。早く帰ってきて、俺たちの頑張りを見てくれな」
「雪姫マスター、私達、やるよ。しっかりやるから、早く帰ってきてね」
「ユキマス、お願いです。早く帰ってきて、マリマス何とかしてください!」
3人はそれぞれの想いを満天の星空に伝える。
その頃雪姫は、氷の上でコザックダンスを踊っているとは、3人は知る由もなかった。




