ギルド スノープリンセス2星猫編 雪姫の居ない世界④
「ダウトです!あなたは嘘を言っています。違約金目的の噓依頼は天罰が当たりますよ」
女神サーヤ。雪姫に忘れられ、未だラムタ世界に滞在中。
スノープリンセス本店1Fにて、『懺悔室』を担当し、相談や悔い改めに来た人々の悩みを聞いては、依頼になりそうな案件を営業部へ上げるスノーのセールスレディーだったが、この度の休業でスノーエンジェルスへ応援派遣。
しかしアリサが神の加護の能力に目を付け、うそ発見器として審査部兼任セールスレディーとなる。
神の加護は『嘘』を見抜ける。違約金目的で来た輩はことごとく撃退。審査部の依頼審査負担は思いっきり軽減されていた。
「凄いですね。聞いただけで嘘だと分かるんですか?」
「こんな凄い方と仕事ができて嬉しいです」
「魔法ですか?どうすれば習得できますか?」
冒険者学校の生徒たちは、サーヤの周りに集まり褒め称えた。
「神の加護は女神になると使えます。女神になるには天使で修業をし、ランクが上がるとなれます」
褒められて上機嫌のサーヤはドヤッ!顔で言う。
「俺たちエンジェルだよな?天使だよな」
「うんうん。私たちもエンジェルの1員だから、修行をすれば女神になって、神の加護が使えるのね」
「よし!頑張るぞ!一生懸命修行して女神に成ろう!」
ラムタ世界の人間は純粋。サーヤの言葉を勘違いした若者たちは、誤った夢を持つてしまう。
「各部署はどうですか?」
アリサがリア、ギャリソンに聞く。
「はい。予定以上に順調です。受付はジェシカさんを中心に4人の学生さんを見てもらっています。葬儀部、食堂、営業部へは各3人が配属。それぞれにプリンセスの職員が付き指導しています。審査部はサーヤさんの加入で審査が楽になり、すでに学生さんに担当を任せた実務も行われています」
続いてギャリソン。
「学生冒険者の皆さんはA、B、Cの3班に分けられ、各班ごとにプリンセスよりブルック様ら幹部たちが付き、ランクに合わせたダンジョン内にて実践中でございます」
昨日発表を行い、明日が開店となる。準備は順調だった。
「ギルマス、開店祝いの品が届いていますが、持ってきますか?」
受付担当の『リナ』が報告に来た。
「ソーマさん、ヘレンさん、品物の確認とリスト作りをお願いできますか?」
アリサは、必死に書類と格闘していたソーマとヘレンに言う。
「お。おう・・・まかせろ」
「う。うん・・・まかせて」
成れない書類作業で疲労困憊の2人。
「大丈夫?足元ふらついてますよ」
リナは冒険者学校でソーマ達と同級生だった。
「魔物相手よりしんどいぜ」
「書類なんか世の中から消えちゃえばいいのに、って思っちゃう」
苦笑いするリナ。
「驚いちゃだめだよ。お祝いの品、凄いからね」
1Fに降りる最中にリナが言うが・・。
「うわ!」
「なにこれ?」
山のように積まれ、1Fホールを埋めつくす品に、ソーマとヘレンは唖然とした。
「ラムタ世界関係者の国や貴族、商店街、ファンサークルなどから125個。植物族のケファ様。魔人族のシェリル様、月世界のドワーフ様、魔の一族のガイ様から届けられました」
開店祝いと言えば、花輪ぐらいに考えていたソーマとヘレン。
「ほんと、凄いね。私たちのギルドを祝ってくれる人たちって、こんなにいるんだね」
リナは嬉しそうに言う。
「うん。凄いね。世界中がお祝いしてくれるんだね」
ヘレンも言う。が・・・
「喜ぶのもいいけど、これはプリンセスと雪姫の七光りだぜ。本当ならよ、子供がギルド運営なんて言ったら馬鹿にされるだけだぜ。悔しいけどよ、この品は全部、雪姫の人望だ」
ソーマは理解していた。自分たちの実力が認められているわけではないと言うことを。
「その通りです。ソーマ、よく理解できてますね」
テレサたち2号店の面々が来た。
「がおがおがお」
「ダイル様は、今はそれでいい、と申しております」
「うん、姫の七光りだけど、いずれは実力で、だよね」
ダイルとトーマの言葉に、ソーマとヘレンは大きくうなずいた。
「頼まれていた件は大変好評です。エンジェルを中心に、9つのギルドの加盟希望を貰っていますよ」
テレサが担当し、新しいスタイルの模索が始まっていた。
スン―エンジェルは、スノープリンセスも含めた既存のギルドの経営方針と大きく違う点が2つ。
1つ。違約金の廃止。
どのギルドも契約段階で依頼失敗には『違約金』を設定していた。
この違約金があるために『嘘の依頼』で儲けようとする輩が現れたり、違約金の支払いで経営を苦しくするギルドが出てくる。
エンジェルは違約金を廃止。プリンセスとマーメード、他7つのギルドと提携し『保険機構』を立ち上げる。
依頼失敗の違約金は損害賠償と言う形で保険機構から支払われることになる。
資金は加盟各ギルドと、冒険者の報酬の1部から集められる。
まだ計画段階だが、これも雪姫の計画で、雪姫がステラに渡した企画書に記載されていた内容だった。
2つ目はソーマの案が採用された。
父バッカスの愚痴。『行くのは良いがよ、帰りがな』と言う言葉。
冒険者の移動は公共のゲートが使われるが、ダンジョンや森の内部に出入り口は無く、近隣の街から徒歩や馬などで移動する。
ケガをしていたり、激しい戦闘の後は、なるべく早く帰りたいという。
しかし、ゲート石は犯罪に使われることから厳重に管理がされている。
冒険者へ信用で貸し出すことは流石に無理。
そこでソーマが考えたのは『ゲート班』の新設。
送り迎えをギルドでやろうというのだ。
いよいよ開店は明日。
ソーマ達は遅くまでギルドへ残り作業に追われていた。




