ギルド スノープリンセス2星猫編 雪姫の居ない世界②
「魔女だの、氷の悪魔だの、まな板だの言われているが、あいつは俺たちの誇りだ。雪姫なくしてスノープリンセスは無い。この3日間で痛感したよ。雪姫が長期不在な今、スノーは活動するべきではないとな」
王宮で行われたライブ放送。
ブルックはルーラン放送局のエミリのインタビューを受けていた。
「長期不在?長期休養と聞いていますが、雪姫さんは不在なのですか?」
エミリが聞く。
「ああ、公式には長期休養と発表していたが、雪姫は今、ラムタ世界には居ない」
「では、どちらかの階層へ?何のためにですか?」
「他の階層ではない。魔族の住む魔界だ」
「えええ!!魔界ってあるんですか?それは本物の魔女になるためですか?」
「違う違う。みんなも知っている通り、この世界に攻めてきている奴らが居る。雪姫はラムタ世界で戦いを続けることを嫌い、敵地に乗り込んでいる」
「皆さんは一緒じゃないんですか?」
「ああ、俺たちにはラムタ世界を守れとな。飛鳥と精霊のミサキが同行した。数は少ないが雪姫たちなら大丈夫だと信じている」
「精霊?ミサキは大罪人ではなく精霊だったんですか?」
インタビューは進む。
「いい感じだな」
「ええ、レクチャー通りですわ」
TVに映らないところで、ゴルノバ王とステラ女王が見守っていた。
「雪姫も、こうだと楽なんだがな」
「あの子はインチキは嫌いですわ。今回はインチキ大好きのブルックなので、エミリにはお小遣いを渡してありますの。『こちらが言いたいことを聞くようにと』」
インタビューは予定された内容で進む。
「たった3人で・・・どんな所かも分からない危険な場所に・・」
「ああ、そうだな。だがな、雪姫はそれでもこの世界を守りたいんだ。自分の危険より、この世界の安全を・・なんだよ」
ステラ女王、1回目のガッツポーズ。
「そこでだ、今日はスノーの活動休止発表の他に、もう1つ発表がある」
「大事な発表と言っていましたね」
お小遣いをもらっていたエミリは忖度しまくっていた。
「スノーの事業の一環として、新ギルドの立ち上げを報告する。このギルドは従来のギルドとは違い、冒険者学校の生徒たちで運営される」
王宮の会見場からも、街の『おおおお!』という歓声が聞こえた。
「そしてスノーからは、全一般職員がフォローにあたり、俺たち幹部は登録冒険者として、学生冒険者たちを支える」
更に街からの歓声は大きくなる。
「と言うことは、新ギルドは冒険者学校の生徒たちで構成されていても、中身はスノープリンセスの実力を有するギルド、と言うことですか?」
「その通りだ。勿論雪姫が戻るまでだが、この計画は雪姫の計画だ。雪姫が先を考えていないはずがない。戻った後も継続してフォローは続けることになる」
「素晴らしい計画です!学校で学び、実戦形式のギルドで学ぶ。若い職員や冒険者は即戦力となり、社会へ出れるわけですね」
「今は魔女だの、悪魔だの、えぐれ胸だの言われているが、雪姫は常に先々を見つめている。3年‥いや5年後に、この世界は、より良い世界へと変わっているはずだ。若い力を信じる雪姫が、若者の進む道を切り開くく!」
街から大歓声が聞こえる。ステラ2度目のガッツポーズ。
「最後に国王、ゴルノバ王から一言あるようです」
エミリは横に来たゴルノバ王にマイクを向けた。
「国王のゴルノバだ。聞いての通りだが、国としてはギルドが何をしようと関与はせん。支援もしない代わりに文句も言わん。常々『ギルドへ行くなら国軍へ入れ』と言っている俺だが、今回の案件に関しては、国の未来に関わる案件とし、この新設ギルドに対し『超法規的』権限を与える。ギルド活動内に限り、全ての現存法の無視を認める。勿論常識の範囲でだ」
「国王陛下、それは?」
「自由にやって構わんと言うことだ。自分たちで考え、既存の枠にとらわれることなく、良いと思う方法で運営しろと言うことだ。依頼料無しのボランティア精神や、面倒くせぇ依頼は無視するも良しだ」
「あわわ!!そ、それでは収益とか経営面がぼろぼろになって‥」
真っ先に経営が成り立たないのでは?との疑問が起こる。
「そんなのスノーがなんとかするよな?国の知ったこっちゃないさ」
勿論ポーズ。裏で話はできている。あくまでも国王としてのポーズ。
「資金は潤沢に用意した。過去に経営の危機とか言われたスノーだが、雪姫がそんな馬鹿な経営をすると思っているか?スノーには隠し資産がある」
ブルックが言うが、潤沢な資金とは、ギムとマリアの貯めていたお金のことである。
「新ギルド設立にあたり、10万ゴールドを計上してある。なのでだ、オープン記念セールは依頼料80%OFFだ!俺は値引きの必要はないと思ったが、昨晩夢枕に雪姫が立ち『80%!OFF!オフらないと凍らせるよ』と告げた。だから80%割引を実施する!」
夢枕に立った事実はない。元々雪姫は利益を求めないNPOにする心算でいたことから、割引が決まっただけだった。
「3日以内にギルド名とギルドマスター、幹部を紹介する」
ブルックの出演は大成功だった。
その後は個別に放送局がブルックやリア、銀姫、テレサなどにインタビューをし、新ギルドの立ち上げや、雪姫の件、精霊のミサキの件などを聞くが、事前に打ち合わせした内容で答え、高評価を得る。
自ずと『雪姫』への見方や評価は変わってくる。
人気アンケート結果を見たステラ女王は、3度目のガッツポーズをした。




