ギルド スノープリンセス2星猫編 魔界へ③
次からのEPが、入れるか迷ったEPです。内容を簡潔にまとめ『魔界へ』のなかに入れてしまうか、EPとして書くかを迷いましたが、書くことにしました。
後17~20EPで1部が終了の予定で、1部終了までは毎日更新が出来そうです。
笑い事では済まない事態になった。
墜落の際の衝撃でコンパスは壊れ、目的の閻魔域の方角が分からなくなった。
見渡す限りに広がる氷原で、目的の方角を見失う。これは『遭難』だった。
私達は知恵を出し合い、解決策を模索することにした。
「良し、出来上がったぞ。入ってくれ」
パルムさんが氷で館を作り上げた。
「寒いと良い知恵が出ないからな」
落ち着いているというか、手馴れているというか、氷で作られた館の中は結構暖かかった。
「こっちも準備できたわよ」
セシルさんは、庭でバーベキューの準備をしていた。
「お腹がすいては、良い案は出せないわ」
飛鳥さんが陸自特製『バーベキュー』装備から、陸自特製『お肉と野菜の詰め合わせセット』、『陸自特製各地名産大吟醸セット』などを出し、食事の準備をする。
「私も出来上がったよ」
アリッサさんは、パルムさんがツンドラ魔法で作った氷河壁の壁面に『SOS』と彫り、救助を求めた。
巨大な氷河壁は遠くからも見えるだろうし、大きな壁面を利用して掘った『私が魔法で大地を凍らせる』→『飛行機で飛び立つ』→『飛行機墜落』→『私たちが助けを求める』の4コマ漫画は秀逸だった。
「さて、これからだが」
バーベキューを囲み、私たちの話し合いは始まる。
「俺が考えるに、適当に穴を掘って、魔族を掘り当てる。蘇生させてから閻魔域の方角を聞いて、また殺す、だな」
アブソリュートの氷を1000m掘るのは至難の業だ。しかも適当にでは、いつ当たるか分からないギャンブルになる。
「あまり現実的ではないわね。私の案を言うわ。アブソリュートの氷は、必ず閻魔の耳に入る。閻魔は雪姫さんを知っているから、雪姫さんの世界に行っている私たちも一緒だと考えるので、捜索してくれるはずよ。下手に動かず、此処で救助を待つべきだわ」
なるほど、現実的だ。
「私は運を天に任せて、進むべきだと思うな。命を懸けたギャンブル。これぞギャンブルだよ。魂がヒリヒリすると思いな」
それだけは却下。って言うかアリッサさんて、そういうタイプ?
「自分はセシル殿の案に賛成であります」
「それが良いようですね。雪山で遭難したときの基本は動かずに待つ。私もセシルさんの案に賛成ですよ」
「にゃーーん」
飛鳥さんミサキさんはセシルさん支持。
「そっちは3人が賛成のようね。どうする雪姫さん?」
テトも1人に入っていたのか!?
「私も賛成。ここで救助を待とう」
家もある。食べ物もある。闇雲に動くより良いはずだ。
「よし決まりだ。なら食って飲んで、宴会だ!!」
パルムさんが、酒の入ったコップを掲げた。
「いいわね!待つ間やることが無いわ。食べて飲んで過ごしましょう!」
普通はここで『宴会』の2文字が出るはずがない。なんて逞しいんだ!
「やることはあるよ。キャンプファイヤーができるよ」
宴会とかキャンプファイヤーとか、発想が自由すぎる。
「なら、酒を追加するであります。資金は潤沢でありますから、300年はここで暮らせるであります」
いやいや300年も居たくないよ!
「雪姫、落ち着きなさい。私たちが2年~3年経っても戻らなければ、ラムタ世界や勇者の世界側でも、おかしいと思うでしょう。そうなれば、捜索も始まるはずです。発見されるのに300年はかかりませんよ」
300年は無いにしても、まじで長期滞在の可能性が出てきたが、こんな所でこんな事して良いのかと思いつつ、アリッサさんに誘われ、わたしは積み上げられた薪に火をつけ、キャンプファイヤーの準備をしていた。
「これで、いつでも踊れるよ」
「これがあるとノリノリになれるであります。自分も踊るであります」
テンポの良い音楽が流れる機器を取り出した飛鳥さんは、アリッサさんと、コザックダンスを踊りだす。
この状況で・・・と思うのは、私だけだったようだが、私もつられて踊りだした。
5日間の間、飲んでは食い、食っては飲む。よく踊ってまた飲む。
「意外と快適だな」
「ええ、此処なら永住もありね」
「飛鳥さん、カラオケって出せるかな?」
勇者チーム別動隊は余裕ありすぎだった。
「きやはははは。いい気分です。お神酒でも酔えますが、実際に飲むと五臓六腑に染み渡りますね」
「にゃ~~~~ん」
いや、こっちのメンバーもだいぶ余裕がある。
が、この先、閻魔様は私たちを見つけてくれるのか?キャンプファイヤーを取り巻き、不安を抱えた私と踊る飛鳥さんが何かに気が付く。
「大隊長殿、この音は・・・」
ゴゴゴゴゴ・・という音が聞こえた。だんだん大きくなり、振動が私の積み上げていた薪を倒した。
「これは・・・」
パルムさんが音の方角を見た瞬間・・・
光線が氷を砕きながら私たちの横を通り過ぎる。
「閻魔砲だわ!」
閻魔様!?私たちに気が付いてくれた!?
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「この氷からする魔法の匂い、間違いない。ラムタ世界の娘、柊の魔法だ」
1000mの高さの氷の前まで来た閻魔たち捜索隊。
「閻魔様にご報告。ここまで来ても長さや奥行きなど、測定不可能。どの程度の大きさなのかは、手持ちの機材では測れません」
報告に来た部下が言う。
「アブソリュートは、星を丸ごと凍らせる魔法だからな。正直、どこまで続いているかは、俺にも分からん」
閻魔はため息をつく。
「閻魔様、氷上から確認しましたが、それらしき人物たちは見当たらないとのことです」
次の報告が入った。
「この広さは厄介だな」
閻魔はチラッと娘の愛実を見た。
「私が『神の加護』で探してみます」
愛実は閻魔が育てた、ティナの双子の妹。ヴィーナスの娘なので、神の加護が使えてしまう。
閻魔は愛実が女神であること。ティナの妹であることは、秘密にしてあるが、愛実は自分が『神の加護』が使えることや、ティナと会った際に自分と瓜二つだったことから、自分は女神であることを確信していた。
「では行ってきます」
背中の羽を広げ愛実は飛び立つ。氷の遥上空まで飛ぶと、左右の親指と中指で輪を作り、目に当てた。
「神の加護!望遠鏡です!」
ゆっくり左側から右へ視界を移しながら探すが、見つからない。
「ならば!神の加護!遠赤外線フィルターです!」
人の体温などが見れる熱感知に切り替える。
「お父様!!発見しました!」
愛実は大きな声を出し閻魔に伝えた。
「距離は14万8千キロの彼方です。人数ははっきりしませんが、4~5人でした」
閻魔も氷の上に上がり、愛実から報告を受ける。
「4~5人か。アリッサが無事だと良いが」
閻魔にとっては孫のアリッサが一番心配。
「たぶん大丈夫です。火の周りでコザックダンスを踊っていましたから」
愛実が見た通りを伝えた。
「コザックダンスだと!?あいつら何やってるんだ?相変わらず遣ることが理解できん連中だな」
呆れた顔の閻魔だが・・・
「あっ!もしかしたら火葬かも。向こうの文化の踊りでお見送り・・」
愛実の言葉に形相が一変した。
「ゲート!急がせろ!!!!」
作業を急がせる。
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「間違いない!これは閻魔砲だ!」
「閻魔が見つけてくれたならゲートが開くわ!」
「せっかく定住の覚悟が決まったのに、離れるのは残念だね」
定住なんかするもんか!これで帰れる希望が見えてきた。
「雪姫、閻魔と言うことは、幽霊だった私は地獄行を言い伝えられるのでしょうか?」
なぜかミサキさんがビビった。




