ギルド スノープリンセス2星猫編 魔界へ②
ーーー閻魔域 閻魔城ーーー
「閻魔様!辺境地区より至急の連絡です」
閻魔大魔王の部下が、閻魔の元へ報告に来た。
「何事だ!?辺境で何かあったのか?」
『ザ・閻魔』と書かれたTシャツを着た閻魔大魔王。今日はOFFで、お仕事の天国or地獄チャレンジはお休み中。
「これを・・これをご覧ください」
差し出す写真には、はるか彼方の氷の壁が映し出されている。
「氷山だと?なぜ魔界に?魔法か?」
「高さは約1000m。幅と奥行きに関しては測定不能とのこと。監視によると、突然現れたとの報告です」
閻魔は写真を見つめた。
「突然・・か。わしは、この魔法を使うやつを知っている」
そう、雪姫はカモミールで閻魔と会っていた。閻魔はアブソリュートを見ている。
「奴が来ているのか?と言うことはアリッサもか?」
アリッサたちが雪姫の世界に行ったことは聞いていた。閻魔にとってアリッサは・・・
閻魔は天界の女神ヴィーナスと良い仲になったことがあり、双子を授かっていた。
双子の1人は愛娘『愛実』。もう1人は女神ティナ。愛実を閻魔が引き取り、ティナはヴィーナスが3女として育てる。
ティナはケインと結婚予定にあるため、ケインの娘のアリッサは孫になる。
「だがなぜ魔界経由で?イマイチ分からんが、パルム達のことだ、理由があるはず・・・。急げ!アリッサの救助に向かう!飛竜をだせ!わしも出る!」
捜索隊が編成され、閻魔大魔王自ら先頭に立ち、辺境へと向かう。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
既に20時間ほど飛行していた。
だが、見渡す限り氷原は続いている。
アブソリュートスノー・・氷をも凍らせる無限低温魔法。星1つを丸ごと凍らせる魔法。
「星と言ってもピンキリであります。地球だと赤道付近で約4万キロ、直径は2万3千キロ程度でありますが、宇宙規模の大きさで言えばチッコイ部類であります」
本当に星を凍らせるのであれば、その星はどの程度の星を言うのか?
「カモミールで使った時、星の中心まで凍りそうになって、大騒ぎしたよ」
ご迷惑をおかけしました・・。
「パパが言うには、カモミールは火星ぐらいの星だって言ってたから、小さい方だよね」
LR-2ハヤブサの飛行性能は時速500k。20時間で1万kは飛んだ計算になる。が、未だに氷原は途切れることなく続いていた。
「飛鳥さん、いったん降りて休憩しようか?」
食料は、飛鳥さんが陸自特製非常食を出してくれるので、飢える心配はない。
「降りたいのでありますが・・・自分、着陸には自信が無いであります」
え?
「離陸は素人でも簡単でありますが、着陸はちゃんとした技術が要求されるのであります」
ペーパーだったぁぁぁ!!
「じゃ、どうやって降りるの!?」
「今考えてるであります」
げげげ!!!
「サーヤが居ればな」
「こんな時、女神は便利なのよね」
「神の加護で片付いちゃうからね」
皆も忘れてたよね?私だけじゃないよね?
「問題ないでしょう。このメンツが墜落で死ぬとは思えませんよ」
「ゴロゴロゴロ。。にゃーーー」
テトの顎を撫でながら、ミサキさんはさらりと言う。
「問題なのは、後どのぐらい続いているのか?閻魔域とやらは無事なのか?ですね」
そうだった!!!閻魔様の所まで凍らせちゃったら、大問題だ。
「以前女神たちがな、魔界の広さを調べようと、ゲート移動を半年続けたことがある」
「ああ聞いたことあるわね。どこまで行ってもキリがないから、光球を置いてゲートで戻ったら、その光が届いたのが9年後だったって話よね」
9光年!?
「約80兆キロでありますか。シリウスまで楽勝でありますね」
桁違いの大きさだ。
「俺たちの世界には宇宙があるが、魔界には無い。その分が全部土地だと思えばいいな」
「魔界には高い山も少ないし、だだっ広い平野が続いているわけだから、10万キロや20万キロ凍らせても、閻魔域に達する可能性は少ないわ」
うん!なら大丈夫だよね。
「たぶんだけどね。ベルゼブブは私たちも聞いたことはないけど、ベルゼブブの兵士が閻魔域を知っていたから、遠く離れているわけではないと思うな」
うわぁぁぁぁ。氷に下になって居たら、私のせいか?私が悪いのか?
「大隊長殿、閻魔殿の心配もありますが、こっちの心配が先であります。機体が寒さに耐えられなくなってきたであります。5分以内の墜落は確実であります」
先ほどからガタガタと機体が揺れだしていた。氷のせいで気温が下がっていたのだ。
「あら、右のプロペラが止まったわ」
あらじゃない!セシルさんが窓から見てさらりと言う。
「やはり限界だったでありますか。左が止まる前に、墜落態勢に入るであります!」
そこは嘘でも着陸態勢って言って!!
ハヤブサは左に旋回しながら、急に高度を下げだした。
「飛び降りた方がいいかな?」
アリッサさんが言うが・・・
「ダメです。この速さではバラバラになってしまう可能性があります」
ミサキさんの言う『バラバラ』は、体の事ではない。順番に飛び降りても、着地次第で滑る方角が違うことから、散り散りになってしまうという意味だ。
「ロープで体を結わえるってのはどうだ?」
パルムさんの提案だが・・・
「時間が無いであります。墜落するであります!!伏せるか掴まるか諦めるかするであります!!」
パルムさんとセシルさんがアリッサさんに覆いかぶさる。
ミサキさんは私と飛鳥さんの周囲に絶対防御の防壁を張る。
「強制タッチダウンであります!」
大きな振動の後、強い力が体にかかり、壁まで吹き飛ばされ、体が壁に張り付いた。
「スピン中であります!収まるまで耐えるであります」
着陸後、機体は氷で滑り、すごい勢いで回転しだした。
「オーバーランの心配はないであります。止まれば安全な着陸が完了になるであります」
確かに滑走路では無いから、オーバーランして事故る可能性は無いけど、この遠心力は・・きつすぎる。
「うわぁぁ!!」
「目が回るわ!」
「竜巻の中ってこんな感じかな?」
「グルグルであります」
「精霊でも目が回るのですね!?」
「にゃーーーーーーーーーん!」
結局3時間ほど回り続け、何とか無事止まった。
外に出てホッとした私たちに、飛鳥さんが呟いた。
「不味いであります。方角が分からなくなったであります」
「それって?」
「遭難したのか?」
私とパルムさんが聞くと、飛鳥さんは首をウンウンと頷かせながら・・・
「そうなんであります」
糞寒い!!!




