ギルド スノープリンセス2 星猫編 異なる世界⑤
「ああああああ」
頭を抱える雪姫。
「あああああ・・で済めばよろしいのですが、ゴルノバ王からの出頭命令が来ております。早急に対応を決めませんといけませんな」
水の入ったコップを差し出すギャリソン。
「マスター、これが対応マニュアルです。読んでおいてください」
リアがノートを渡す。
「ひゃはははは!これ以上ない醜態。中々な笑えましたよ」
「にゃーーにゃーーー」
ミサキとテトは大喜び。
しかし、映像を見た雪姫の耳には、声は届いていなかった。
「リアちゃん、この対応でいいの?」
落ち着いてから、リアの作ったマニュアルを読む。
「はい。今までは対応を間違えていました。今後はそれが基本方針となります」
と、返すリア。
「これでいいなら、楽だけどさ・・・」
良いのか?と言った顔の雪姫は、目線をノートに落とした。
「結論だが、ティナに任せることにした」
別室ではパルム達とブルックたちが話し合っていた。
テトの扱いについてだ。
サーヤは命令書に従い、一旦戻ることになる。
既成事実を作るため残ろうとしたが、天界とのリンクが切れ、神の加護が使えなくなると知ると、サーヤは素直に戻ることに同意した。
「星猫は扱いが難しい。俺たちで決めるのは、想定の域を外れている」
「ええ、まさか星猫が住人って言うか、霊体に懐いているとは、想像もしていなかったわ」
「ゲートは2分ぐらいは維持できるから、私たちが戻ってティナをよこすよ。時間は少ないけど、相談するのがいいと思うよ」
パルムとセシル、アリッサの結論だった。
「わかった。そのティナとかいう女神の責任者に従えば良いんだな?」
ギルド側も了承した。
が、この決定は、まだミサキの耳には届いてはいない。
「じゃ、行ってくるね」
雪姫は打掛の襟を引き締める。
「サポートにはソーマとヘレンを付けます。子供の前では、あまりひどい扱いはできないでしょう」
マリアが言う。
「俺たちが雪姫を守るぜ」
「うん。私達で罵声からガードしますね」
本来なら守るべき10歳児を盾にする。
「後はギムを」
マリアに言われギムが前に出た。
「いいですか?マスターは『苦労しています』を強調してください。今まで口に出せなかった苦労。対ミサキさん、対鬼族、そしてギルド運営。『耐えに耐えてきた日々』を強調するんです」
リアが言う。
「ひゃはははは!当事者の私を肩に乗せ、ギムを前にして『こいつらのせいだ』と言うわけですね。面白い試みです!良いでしょう協力しましょう!」
「にゃーーーー」
ミサキとテトは面白がっていた。
「うん!分かった!確かに苦労してきたし、本音を言えずに苦しんだ。上手くやってくるよ」
雪姫はゲートに入る。
「おう、来たか」
「あははは・・待っていましたわ」
相当疲れた顔のゴルノバ王とステラ女王は弱弱しく笑う。
雪姫は自分のことで苦労を掛けた・・そう思う。
「えっと・・すみませんでしたぁぁぁ!!」
久々に雪姫、王と女王の前でひれ伏す。
「まぁいい。お前らしいと言えばお前らしい」
「おじいさん殺人の件は映像が来て、雪姫さんは無罪だと確認していますわ」
2人は、あまり怒っていない様子だった。
「では、早速ですが、釈明会見を・・」
と雪姫が切り出す。
「ああ、準備はしてある。だが、その前に策を聞こう。まさか無策ではあるまい」
「そうですわ。こうも度々となると、方針が必要ですわ」
ごもっとも。今回から方針が大きく変わっていた。
「本音勝負です。今まで私は波風を立てないように、と考え『良い子』を演じていた気がします。だから今後は本音・・自分の言葉で語ろうと思います」
ゴルノバ王がにやりと笑う。
「やっと気が付いたか。お前の作り笑いは不気味だったからな」
「ですわね。批判を正面から受ける止める覚悟ができたようですわね」
ステラ女王が合図し、カメラが用意され緊急会見が始まった。
「皆さんスノープリンセスの雪姫です。いろいろなご意見があるでしょうが、聞いて下さい」
まずは醜態の弁論のため、私は真面目な顔で会見に臨んだ。
「ひゃははははは!!だからその態度がダメだというんですよ」
いきなりミサキさんが割って入る。
「にゃーーー!」
テトもだ!!
「まだ良い子ぶって、真面目なふりをして、外ずらの良さをアピールですか?それでは今までと変わりませんよ」
いきなり本音でどうする!邪魔しないで!!
と思うが、ミサキさんは遠慮くなく話し出した。
「愚民ども、よく聞きなさい!この小娘が居なければ、鬼族はおろか、私にすら、あなた達は屈していたのですよ」
何を言い出す!!そんな話をぶり返してどうする!
「素行が?態度が?そんな小さなことで恩人にウジウジ言うのですか?もっと感謝の気持ちと、尊敬の念を持ったらどうですか!」
ゴルノバ王とステラ女王が頭を抱えた。
「バカの雪姫に邪魔されましたが、私が支配していたら、あなた達は家畜扱いだったのですよ」
うわぁぁぁぁ。
「ああ、こいつはバカだ」
バカにバカって言われた!ってギムまで何を言い出すんだ!
「ちょっと、やめて!私の会見だ!私が私の言葉で・・」
止めた。でも、これで止まるミサキさんではない。
「雪姫はただの小娘です。強力な魔法が使えるだけの只の小娘なのですよ!」
「そうだ馬鹿な小娘だ」
会見がぶち壊される・・・やばい。これは不味いことになる。
「その小娘に、何を求めるというのですか!礼儀ですか?常識ですか?へらへら笑う愛想笑いですか!?」
ステラ女王が素早く動いた。
「そうですわ!雪姫さんは他の世界から来た迷い人。17歳の少女ですわ!」
ゴルノバ王にもミサキの意図が読めた。
「そうだ!この世界を愛し、俺たちの力になり、ミサキの脅威や鬼族から、この世界を守ったんだ!だが、雪姫は若すぎた!世間の目と自身が負う重責、そして見ろ!こんな連中の管理だ!!お前たちにできるか?ギムの相手!ミサキの幽霊の相手だぞ!!苦労は絶えない。泣きたくもなるさ!!」
一般には恐れられているギムを出し、さらには幽霊のミサキさん。説得力は十分すぎた。。
暴走する具体的な理由も『苦労』で納得させられる。
ミサキさんは自分を苦労のネタに使うことで、私を守ろうとしたのだ。
「まぁ、正直なところは苦労してるかな?ギルドの経営や、いろんな問題の解決。頭痛の種は尽きたことが無いよね」
私は自然に言葉が出た。笑顔やかしこまった顔ではない。いつもの自分の顔でだ。
「俺たちも雪姫には頼りすぎていた。問題が起こると雪姫に頼ったのは事実だ」
「ですわ・・・負担を承知で、お願いが多すぎましたわ」
フォローが入る。
「ひゃはははは!でも安心なさい!これからは私が傍にいます!雪姫の悩みを聞き、共に悩み考えますよ」
「にゃーにゃ―」
頼もしい言葉がミサキさんから・・・あれ?そういえば、ミサキさんの事、世間に公表したっけ?8か国会議では了承済みだったけど・・・
世間がひっくり返る騒ぎになった。




