ギルド スノープリンセス2 星猫編 異なる世界④
「あたい達では雪姫の支えには成れない・・ということかよ」
「自分も大隊長ほどの読みはできないであります」
「私のCPUでは・・」
サマンサ、飛鳥、マリアも・・・
セシルの言葉に反論はできなかった。
「私が居ますよ」
声はミサキだった。
「きゃはははは。揃いも揃って情けない連中ですね。雪姫よりバカの集まりですか?」
プカプカと浮かび、テトを従えたミサキはドヤ!って顔をした。
「なるほど・・・確かにミサキ様は雪姫様を苦しめたほどの策士。雪姫様が圧倒的に上を行きましたが、ミサキ様なら雪姫様同様の思考が可能でございます」
ギャリソンの嫌味が効いた誉め言葉。
「マスターとミサキさんの思考パターンは酷似しています。私たちにはない『読み』の分野では、特に合致部分が多くみられます」
リアの分析。
「だがよ、お前は雪姫を苦しめた敵だった」
「そうです!姫はあなたに苦しめられました」
「そうじゃ、わらわは知らぬが、主は敵だったと聞いておる」
ブルック、アーロン、銀姫の当然の反応。
だが
「申し訳ありませんでした。心よりお詫びし、2度と雪姫に危害を与える行動はしません」
ミサキは頭を下げ、素直に謝る。
「え?」
「ええ?」
「ほぉー」
驚いたのはブルックたち。
「殺されてはじめてわかりました。私は望むものを手にしながら、自らそれを手放し愚行に走った。私は、雪姫のようになりたい。仲間と共に世界を守り、世界と共に歩む。決して雪姫を裏切らないと誓います」
あまりに素直に謝罪されブルックたちだが、その言葉すら信用できないという顔でいる。
「お?宴会は終わったのか?」
「まだお酒臭いから、窓開けてもいいですか?」
今度はソーマとヘレンがやってきた。
酒を飲まない10歳児たちは、別室でTVを見ていたのだ。
「雪姫凄かったな。思わずもらい泣きしちゃったぜ」
「うん。つらかったんだね。私も見てて泣いちゃった」
2人の言葉で全員がTVを見る。
グーグーと机に顔を付け眠る雪姫が映っていた。
その横では、王と女王が疲れ果てた姿でへたっていた。
「ブ、ブルック様!これを」
リアがタブレットのデーターに気が付く。
「なんでだ?」
雪姫宛てのメッセージが並ぶ。半分は雪姫批判だったが、半分は擁護。いつもなら大炎上パターンに変化が見えた。
「なんであれで?今までなら大炎上ですよ」
「がおがおがお」
「ダイル様は考えられないと申しております」
が、セシルは言う。
「簡単なことよ。あの子は何度も世界を救った。世界は頑張っているのは知っているのよ。でも弱みを見せないことから『強い奴』だと思われていたの。
その子が泣きながら本音を漏らした。当然見方は変わってくる。
分かるかしら?あなたたちは大きな勘違いをしていた。だから今まで対応を間違えていたの」
「大きな間違いじゃと?」
「俺たちが何を勘違いしていたというのだ?」
「さてさて?私たちは何を見落としておりました?」
今度はアリッサが言う。
「私でもわかるよ。この世界で雪姫さんは人気者なんだよ」
セシルが付け加えた。
「そう。あの子はすごい人気がある。だから良くも悪くも一挙一動に反響が出るのよ」
「待て待て!この世界はな、月ごとにギルド内の人気投票が行われているんだ。雪姫は最初こそ上位だったが、すぐ下位に落ち、今ではブービー付近の常連だ」
ブルックが反論。
「それが考え違いをしてるって言うことなのよ」
もうブルックたちは真剣だった。セシルの言葉に聞き入っている。
「それって単なる人気でしょ。信用や信頼とは違うわ」
「信用と人気は違うんだよ。本当に嫌われてたら、人気なんか回復しないよ。回復の速さは嫌われてる訳じゃないんだよ」
アリッサの言葉にも一同は『おおおお!!』と声を上げる説得力があった。
「そう、弄られやすさなのよ。ヘイヘイとした態度で強く出れる子は、弄られるの。世間の変わり身の早さは、あの子の持つ馴染みやすさと、弄られやすさからよ」
一同は首を縦に振りながら『ウンウン』と頷く。
「今、同情票が増えている。ここがチャンスよ。今までの流れを壊して、本来の流れを作るのよ」
セシルの目が鋭くなった。
「今後は何かやらかしたら『えへへへ・・またやっちゃった』ぐらいに笑って言えばいいの。自虐なんかもいいわね。あなた達もネタにして、軽く対応すれば、話は重くはならないわ」
セシルが言い終わると・・・
「雪姫を回収してきた」
酔って寝てしまった雪姫の襟を掴み、引きずりながらギムがゲートから出てきた。
「ダメよギム。もっと丁重に扱わないと」
と、マリア。
「ほらよ」
フンって顔をして、ギムは片手で軽々と雪姫を放り投げ、それを受け止めるブルック。
「よく寝ておる」
抱き抱えられた雪姫の顔を覗き込んだ銀姫が微笑んだ。
「ああ、言うだけ言って、スッキリしたんだな」
ブルックも微笑んだ。
「王様がよ、起きたらすぐに来るようにだとよ」
ギムの言葉に一同は我に返る。
そう、何も解決していなかったのであった。




