ギルド スノープリンセス2 星猫編 異なる世界②
「既にこの子は、私たちに慣れています!引き離すと、繊細な情緒に問題を起こします!」
ミサキさんの主張。
「星猫を連れて帰るのは、俺たちの仕事だからな」
パルムさんの主張。
「私はこの世界に残ります。女神不在の世界を私が守護します」
サーヤさんの主張。
「私たちに手ぶらで帰れって言うの?パルムチームの名に傷がつくわ」
セシルさんの主張。
「雪姫さん、意見が割れまくったよ。私的にはパルムの味方だけど、ここは雪姫さんの意見も聞きたいな」
アリッサさんのお言葉。
「え?わたし?」
難しすぎる。話は結構複雑だ。
「確かにテトは慣れてるし、サーヤさんが戻りたくないというのなら、ラムタは居て貰っても構わないけど・・・よく話し合った方がいいかな?」
私だって結論なんか出せないよ。
「良いですね。テト、あなたも来なさい」
「にゃ!」
ミサキさんが私から離れると、テトも付いて行く。
「いいわ。話し合いましょう」
セシルさんも同意した。
リアちゃんに部屋を用意してもらい、5人とテトは話し合いに行く。
「雪姫、いろいろとすまん。そして、ありがとうな」
ブルックが私の肩に手を置いていう。
「主には詫びと礼の言葉もない」
銀姫さん・・・。
「もう、呪いは消えたんだよね?」
私の問いに銀姫さんは、微笑みながら指に付いた『生命の指輪』を見せた。
「うむ。指輪はもう普通に戻った。わらわの呪い‥いや、白の一族の呪いは消え去った」
「なら、良しとしようよ。気持ちもわかるし、たぶん私でも黙って行動したと思う・・・」
私の言葉の最中に銀姫さんは私に抱き付いた。
そして大泣きしだした。
「ぎ、銀姫さん・・」
「主は宝じゃ。白姫が残した、わらわの宝じゃ」
泣きながら銀姫さんは、何とか言葉にした。
「いや違う。マックスと白姫が残した宝だ。俺たちの、ギルドの宝物だ!」
ブルックの言葉に、拍手が起こる。
「まさに宝物でございますな」
「あたいもそう思うぜ」
「がおがおがお」
「ダイル様は、同意と申しております」
みんな・・・
私は胸が熱くなる。
信じ合える仲間がいる。守り合える仲間たちがいる。掛貝の無い友が居る。
マックスと白姫さんが残してくれた世界がある。私は恵まれていると感じた。
「よし!宴会だ!!!今日は派手に祝おう!!」
私の言葉にみんなは『おお!!』っと声を上げた。
長い年月苦しんだ『白の一族の呪い』は、今終わった。
たぶん難しい話をしていて、結論は難航している。
パルムさんたちも譲れないだろうし、ミサキさんは絶対に譲らない。
話は平行線。結論は出るのか?
別室で行われている大事な話し合いの最中だが、私たちの宴会は始まった。
久々に揃う本店と2号店のメンバー。
時間と共に盛り上がりを見せ、どんちゃん騒ぎと化す。
「なんだなんだ?この騒ぎは?」
そこにパルムさんが来て、しかめっ面になる。
まぁ、、当然といえば当然。
「あははは・・ちょっと良いことがあってのお祝いかな?」
私も多少のお酒が入り、陽気になっていた。
「そうか、良いことか。まぁ、俺たちの世界も似たようなもんだからな。何かあれば、すぐ宴会だの祭りだのってな」
それ知ってる。
私も滞在中に宴会だの祭りだのの多さに驚いた。
「ごめんね。大事な話の最中に」
「いいさ。話は平行線だ。ありゃ纏まらねーな」
マリアが深いため息をつくパルムさんに、お酒のグラスを渡す。
「ああ、すまない。もう酒でも飲まねーと、やってられねーよ」
礼を言うと、愚痴をこぼした口に酒を運び、一気に飲み干す。
「俺たちには命令書がある。サーヤには従わせる権利がある。だがサーヤ自身は帰還を望んではいないし、なにより星猫は幽霊に懐いちまっている。無理やり引き離すというのも・・・なんだしな」
礼儀を心得、優しさを持ち、真面目そうなんだが、どこか荒ぶれる雰囲気を持つ人だ。
マックスとイメージがだぶった。
「私も、こうしろとは言えないしね」
「俺とアリッサは『まぁいいか』なんだが、セシルがな・・・あいつは、詰まらねーところで真面目だから・・」
面子とか言ってたね。
「まぁ、成るようになるさ」
こういうことって、性格が出るんだよね。
パルムさんは、サーヤさんの気持ちを汲んだりできる優しさと、大雑把さを持ち合わせている。
おそらくバランスのいい大人なんだ。
「でも、あんたの方も大変なんじゃないのか?」
え?
「なんか、殺人事件に発展していたぜ」
あーーーーーーー
グラスが空くとマリアが代わりを持ってくる。この会話の間に4杯を空にしたパルムさんは、私の忘れていたことを・・・。
「まぁ、毎度のことだからね・・後で考えるかな?」
「毎度なんだ?」
「う・・うん」
私は苦笑いでごまかした。
「あのさ、勇者ケインさんも、人気とかに振り回されることあるの?」
少し酔っていた。私は、初見の人に踏み込んだこと聞く。
「ケインがか?ないない。あいつは人気なんか気にする男じゃない」
だよね・・。
「勇者が負ければ世界は滅ぶ。勇者は世界を守る最後の砦だ。卑怯だの姑息だの言われるが、実際あいつは世界を救ってきた。奴は名声より実を取る。人気なんか糞くらえだ」
あははは・・強いね。
私も開き直ったことがあったけど、あれは一か八かの賭けだったし・・
「それにな、ケインは守れるものが守れればいいんだよ」
守れるもの?
「アリスやアリッサ、仲間たちや、自分たちが住むカモミールだよ」
「!!!」
私もだ。私も大事なのは仲間たち。この国、この世界だ。
「世間に対して大事なのは信用と信頼、そして力。実績と言ってもいい。あいつはいけ好かないが、信用はできる。嫌いな奴だが頼りにはなる、とな。嫌われていても、信用と信頼は別だ。実績や力があればの話だがな」
おお!!そうだ!私には力もある。実績だって豊富だ!
「ほぉ。目の色が変わったか?何かに気が付いたようだな?」
「うん。目から鱗だよ!そうだよね。世界を守るのに、人気なんか関係ないよね」
私は持っていたお酒のグラスを一気飲みした。
「リアちゃん!ちょっと行ってくるね」
ゲート石を出し、リアちゃんに声をかけると、ゲートに飛び込んだ。
「行動が早い。ありゃできる娘だ」
パルムは雪姫を見送ると呟いた。
「あの・・パルム様、マスターはどちらへ?」
酒を飲みながらパルムが答える。
「どこかは知らんが、覚醒したようだったぞ」
「覚醒?ですか?」
「ああ、人気がどうのこうのと言うから、勇者の心得を教えてやったんだ」
「ヴぇ?」
「ん?」
リアの反応が、何やらおかしいとパルムは感じた。
「あ、あの。どのように教えてくださったんですか?」
「ああ、大事なのは信用と信頼で、人気なんか糞くらえってな」
「ブ、ブルックさま!!!」
リアがブルックのもとに駆け出した。
「ギルド スノープリンセス!緊急事態対応だ!!」
リアから話を聞いたブルックは立ち上がり宣言した。




