ギルド スノープリンセス2 星猫編 神②
おいおいおいおい・・・そんな手が?
「当然、王と女王は口には出せませんが、勝てと言う事は、その手法を取れ、と言っているのですよ」
確かに、魅力も歌唱力も、水着だって楽勝だ。
「ミサキさんってよ、天才だぜ」
「うん。流石は世界を我が物にしようとした人だよね。頭いいね」
「マスター計算の結果、楽勝ですね」
「にゃーーーーー」
星猫が片手を上げた。こいつって言葉分かってるんじゃないか?
勝つための作戦は、いたってシンプルだった。
私ではなく、スノープリンセスが、私として出ることだ。
私はスノープリンセスのギルドマスター、スノーのトップの私が神になれば、ギルドの幹部たちは神の使いになる。
ルナさんがドワーフさんの代わりに出る事と同じ理屈になる。
おそらくはゴルノバ王とステラ女王は、この話が出た時、既に野心を持っていた可能性が高い。
頭の切れるステラ女王なら、ドワーフさんに『真の神であるドワーフさんが、どこの馬の骨とも知れぬ女神の相手などしたら、格が下がりますわ』ぐらいのことを言い、ルナさんに代理をさせるように仕向け、既成事実を作り上げる。
私の代わりにスノープリンセス(私を含む)が出ても、文句は言えない状況を作り上げたんだ。
そして8か国会議では、私の参加を『祭りを盛り上げる』程度で濁らせ、会議を通して後はごり押し。
あの2人ならあり得る話だ。
「ゆっきー、後は任せたよ。神の友人として助言すると『戦いは始まった時には決着している』これが王家の家訓にあるよ」
根回し大好き政治家らしい発想だ。
だが、いいのか?これってアリなのか?
クラリスは窓から帰ってゆく。私は考えた。神になるとどうなるのか?
『仕事がしやすくなる!』
神の立場だ。違約金は値切れるし、契約だって、こっちの言い値になる。私がルールブックだ!!!
「きゃはははは!その顔は、ゲームマスターに成ったことを想像していましたね?」
見透かされた!ミサキさんが高笑いした。
「ちょっと王宮に行ってくる!留守番お願い!」
今考えたことは、ミサキさんが言うゲームマスターそのものだ。私は、とりあえず王たちと話す。よく話して私の辞退を認めてもらう。
「待ちなさい雪姫。ゲートではなく歩いていきますよ」
ん?なんで?
「良いから言いう事を聞きなさい」
ミサキさんの顔は珍しくまじめだった。
「うん。わかった」
私は従う。ミサキさんも頭は良い。そして切れ味がある。考えがあるに違いない。
私はギルドの外へ出た。
「良いですか、雪姫。この世界の良いところに『信仰心がない』と言うのがあります」
ミサキさんは話しだす。
「信仰心がない?どいうこと?」
「神が居ながらも、神は信仰心を求めていないからです」
ああ、ドワーフさんは見守る神だからだね。
「信仰は良いことでもありますが、行き過ぎた場合、その力は計り知れない暴力ともなります。特に他の信仰心、つまり他の神に向けられます。あなたは信仰の怖さを、知らないのですか?」
私は考えた。そして思い出す。日本で学んだ人類の歴史を。
「宗教戦争!?」
「今もサーヤは神の奇跡で人々の心を掴もうとしています。ルナも間もなく同じことを始めるでしょう。神不在で存在してきたこの世界は、ルナとサーヤ、2つの神が存在する世界に変わると言う事ですよ。そして、この世界の信仰心の無い人々には、免疫がありません。爆発的に信者は増えて・・」
「世界が2つに分断する?」
私は理解した。ミサキさんの最初の言葉「煽るな」を理解した。
「10年20年で、と言う事はないでしょうが、いずれは大きな2大宗派となり、この世界を分断する可能性や、戦争に発展する事も、あり得る事ですよ」
私は血の気が引いた。地球の歴史を思い出し、足が、手が震え出した。
「あなたが神を競わせるからですよ」
「・・・・・・」
私は言葉が出ない。どうしよう?私が火種を?どうすれば?
「にゃーーーー」
星猫が、私の頭に手を置いて鳴いた。
「この子が助けてやれと言うのでは、仕方ありませんね。勝ちなさい。あなたが神になり、信仰心を無いモノにするのです」
私が勝てば?
「ドワーフは信仰心など求めてはいません。サーヤに対抗手段として言っているだけですよ。サーヤは間もなく力を失います。あなたが神になり、それぞれの役目を与えれば済むことです」
え?どういうこと?え?
「相変わらず、自分以外の誰かが関与した際のメンタルを攻められると弱いですね」
ミサキさんの言う言葉の意味が分からない私は、考えが纏められないほど動揺していた。
「落ち着きなさい。ちゃんと教えてあげますよ。この子が助けてやれと言ってますのでね」
「にゃーーーー」
星猫が私の頬を舐めた。
私はミサキさんから詳しく聞いた。
女神は天界から力を貰っている。ラムタ世界では天界とのコンタクトが途絶えているので、いつまでも神の加護は使えないと言う。
神の加護が使えない女神は、ほぼ一般人。今は好きにやらせて、神の加護が使えなくなってから話をしろと言う。
そして役割だが、ルナさんは見守る神として。サーヤさんは女神の立場から、洋々な相談を受ける人として、それぞれを信仰から切り離し、行政の一部と考えるようにする。
私は今まで通り、ギルドマスターの地位を主張し、祭られるのを拒む。
今、神に植え付けられている信仰心は、2人をアブソリュートスノーで凍らせて見せることで消え失せるだろうと言う。
「自分の蒔いた種です。しっかり刈り取りなさい」
「うん。腹決めたよ。勝ちに行く!」
私は王に宣言するため、王宮へ向かった。




