魔皇子浸蝕~魔霊憑依~
★ ☆ ★
センセーが、ノワって教師……ううん、魔皇子をやっつけた。
これで、学園に平和が戻ってくる――んだよね?
「――っ!?」
そう思った瞬間――あたしの身体に異変が起こった。
さっきノワに触れられた足に違和感が発生し、異様な不快感がせり上がってくる。
全身に異物が侵入してくるような、言いようのない感覚。
そして、存在を揺さぶられるような――恐怖。
『ほほう、これは思った以上に居心地のよさそうな肉体ですねぇ』
そして、気味の悪い声が心の中に響いた。
これ……ノワ?
『そうですよ。わたしは魔皇子ノワ。誇り高き魔族のプリンスであるわたしが見染めてあげたのですから、光栄に思ってほしいところですねぇ』
え、なに……? これって、どういうこと?
『まだ、わからないのですか。これから、あなたはわたしのものとなるのですよ。というよりは、一心同体になるといったほうがわかりやすいでしょうかね。まぁ、九割九分九厘以上がわたしで、あなたの心は一厘も残らないわけですが』
そこまで説明されて、あたしはようやく今がどういう状況なのかわかった。
あたし……このままじゃ、乗っ取られる?
『怖がらなくてもいいですよ、すべてわたしに委ねてしまえばいいのですから。人生、どうにもならないことばかりですからね。諦めて、運命に流されてしまうのが一番楽であり、幸せなことなのですよ。ふふ……』
やだ、そんなの。なんで、あんた、なんかに……!
あたしの人生は、あたしのもの。
あたしの身体も心も、あたし自身のもの……なんだから!
『おっと、ふふ、がんばりますね。魔力量は途方もないものを持っていますが、コントロールに関しては、まだまだ未熟。これは、よい苗床を手に入れたものだ!』
ノワが心の中で叫ぶとともに――全身が、ううん、心身がバラバラになるような衝撃が走った。
くっ……。負け、ない。こんな奴に、なんか……負け、ないんだからぁっ……!
『くふふ、ふふふふ、ふははははは! 無駄っ、無駄ですよおおお! はああああああああ!』
どうにか抑えこもうとするけど――こんなの、反則っ……どんなに跳ねのけようとしても、ノワの魔力が蜘蛛の巣みたいに引っかかってくる。
ひ……やだ、怖い……センセ、助けて……いやだ、センセー、たす、けて……!
あ、あぁあ、いや、やああああああああああああ!




