表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/8

休日その1

長らくお待たせしました。

高校生活も始まり、忙しいですが、きちんと投稿できるよう頑張ります笑

俺は支度を始めた。


でも、どうしても1つ気になることがある。


あの夢はなんだったのか、そして、なぜ夢の中で会話が出来たのか。


本来、夢というのは見るだけであって、気がついたり、意識をすると、目が覚めてしまうはずだ。

なのに俺は、目が覚めるどころではなかった。夢の中の自分と、夢を見ていた自分の意識が分離。最後には会話もした。

原因もわからないし、もう1度あの状況を作り出す方法もさっぱりわからない。



頭の中がまとまらずにぐちゃぐちゃしているうちに、支度が終わった。



⋯まぁいいか。


そう思いながら、俺は一階へと降りた。





「想士ー。遅いよぉ」

俺は時計をもう1度確認する。

針の指している時間は、7時30分。

「いや、何が遅いんだよ。むしろ早すぎんじゃねぇか」

「別にいいじゃん!その前にゲームかなんかで遊ぼうと思って」

「ほほぅ。夏実の家ってゲームあったっけ?」

「え?何のために私がここに来てると思うの?」


⋯まさか。


「私の家にゲームがないから、想士の家に来たって感じ!」

「やっぱりか⋯。お前、俺の家を何だと思ってるんだ?」

「えっとねー」

上を向いて考えている夏実。

よし、少しからかってみよう。


「内容によっては、どうなるかわかるよな?」

「えっ!そんな変な内容じゃないよ!!

⋯私にとっての想士の家はねー、大切で、なくてはならない幼馴染の家!って感じ!」

「⋯⋯⋯⋯⋯⋯」


不意にまともな事を言われて、少しドキッとしてしまった。

⋯というか、そんな事を真顔で言わないでくれ⋯。


「あれ?私、なんか変な事言った?」

「そんな事ないんじゃないかな」

そう言って話に入ってきたのは凛である。


「大切なものは大切。それは人によって違うからねぇ」


お前の大切なものは下ネタか?


ついついそう聞きたくなってしまうが、やめておこう。


でもまぁ、凛の言う通りである。人によって、大切なもの、好きなもの、それぞれ違うんだ。

人間とはそういう生き物であり、そこが良い所だ。





「あ!それより凛ちゃん!想士に相談あるんでしょ?」

「あ。うん、そうだった」

凛は何故かモジモジと言う。昨日のことをまだ気にしてるのだろうか。


「相談なら、できるだけ凛の力になるよ」

「あ⋯うん。ありがとう⋯」

「もう凛ちゃんてば!何照れてんの!どんどん言っちゃいなよ!」


いや、お前は何も知らないからそんな事が言えるんだよ。

昨日俺らに何があったか⋯


いかんいかん。考えたら負けな気がする。



「で、どうしたんだ?」

「うん。えっとね」



凛の相談とは何なのか、俺は色んな意味でドキドキしていた。




しかし




内容を聞いた俺は、頭の中が真っ白になった。







「あのね、信じてくれるかわからないし、信じる人なんていないと思うんだけど⋯」

想士の返事を待たずに凛は話を続けた。

「私、昨日変な夢を見たの。そこまでは普通なんだけど⋯⋯

夢なのに、私の意思を持ったまま見れるの」



⋯⋯⋯⋯それって⋯⋯⋯



「おかしいってのはわかってる。なのに、わけがわからなくなっちゃって⋯怖いの⋯⋯」


聞いたことあるぞ⋯というか、それは俺も⋯


しかしこの時、俺はある疑問にたどり着いた。




俺は昨日の夢の事を、誰にも話していない。





「ね!想士も不思議に思うでしょ!」

「なぁ凛。ひとつ聞くね、どんな夢を見たの?」

「えっとね、小学生の頃の夢。⋯⋯その、なっちゃんには内緒だけど⋯想士くんならわかるよね?」


エロ脳で過ごしてしまった小学生時代か⋯

俺は、凛の身に何が起きているのか調べるために、もう少し質問をすることにした。



「それは、楽しい夢だったか?」

「ううん。まったく。むしろその真逆だよ。その夢を見ている自分が恥ずかしいくらいだった」

「そうか⋯⋯」


なんかもう、本当に俺と同じ状態だな⋯

でも、仮に見ている夢が同じような特殊状態なら⋯⋯⋯⋯





凛も、タイムリープをしているってことなのか⋯?




タイムリープしている。なのか、していた。なのか、

どちらかまではわからないが、そういう仮説が成り立ってしまう。


そんな事ってあるのか?


俺はここで、一番最初の疑問をぶつけてみる。


「なぁ夏実。なんでお前は、俺に相談させようとしたんだ?」

「いやー、なんかどこかで、『未来からの変な声が聞こえる』とか何とか言ってる想士がいたような気がしてね⋯」


「⋯⋯⋯?!」



真実は変わっていく。

俺はこの瞬間に悟った。


過去の同じ時期の俺と話したんだから、夏実が知っているわけがない。

だけど、夏実の頭の中には、

変な声と話した

という記憶がある。

だとすると⋯

過去が変われば、それに関わった人物の記憶が、

上書きされていく⋯


「想士?どうしたの?そんな難しい顔しちゃって」

「あ、いや、なんでもない⋯」

俺は、言葉を濁らせる事しか出来なかった。


「な、なぁ凛。さっきの話だけど、今度二人の時に、ゆっくり聞かせてくれ。」

夏実に聞こえないところで、凛にそう伝えた。

「あ、うん⋯。わかった」


ごめんな凛。そういう現象は知っているんだが、あまりにも唐突すぎて、頭が追いつかないんだ⋯


それに、やっぱり情報が少なすぎる。仮に俺の予想が当たっていたとしても、なにを根拠に。と言われたらどうしようもない。








俺たちは再度時計を確認する。

針が指しているのは8時ちょうど。

⋯時間がありすぎる。

「なぁ夏実、今から紗菜に連絡して、早く集まって、少し遠出しないか?」

「あ!それいいね!私、紗菜に連絡してくる!」

一度決まると行動が早い夏実。⋯すげぇ。


「想士くんからそんな事言うなんて、珍しいんじゃない?」

「まぁな。でも、あのままじゃ、多分予定もなく時間が余るだけだと思ったからさ。ここまで来てから聞くのも悪いが、凛はいいか?」

「もちろん!全然OKだよ!」

「なら良かった」

⋯⋯⋯会話が続かないよ?!どうすればいいのさこの状況!超気まずいんですけど!昨日のことがあったから、お互いに意識しちゃうし、どうすればいいんだよ⋯


「想士くん」

「ん?」

「その⋯昨日は、ありがとね。今まで、ダメダメだった私を、優しく慰めてくれた気がして、すごい楽になったの」

「凛がそう思ってくれるなら、俺も嬉しいよ」

「そ、その⋯⋯。最後は⋯、想士くん大胆だったけど⋯」

そんな顔赤くしながら言うのやめてくださいません?!こっちが恥ずかしいじゃん!

「べ、別に、わざとじゃないからな!」

「わ、わかってるよそんなの!」




二人とも顔を赤くして、会話が終わった。



それと同時に、タイミングよく夏実が戻ってきた。




「二人ともー!紗菜ちゃんもこっちに来るだって!」

「こっちって?」

「あ。そっか。ごめん想士。想士の家の住所教えちゃった」

「は?!ずいぶんと勝手だな?!」

「まぁいいじゃん!」

「人の家の住所をポロポロ言っていいものなのか?」

とは言いつつ、結局怒れない俺がいた。





考えてみれば、高校時代、話す人も、友達もいなかったのに、今では女子二人も、俺の家に⋯

泥まみれの高校生活とは違い、だいぶバラ色になってきた。



⋯ブルブル⋯

テーブルに置いてある俺の携帯が震えた。

「想士、携帯鳴ったよ」

「あ、おう」

俺は携帯をチェックする。


⋯⋯⋯

なんだ、ゲームの通知か。最近変なメールが届きすぎて、怖くなってる。

ゲーム画面を開く途中で、携帯がいきなり真っ暗になった。


⋯⋯⋯⋯あれ?


次に携帯がついた時には、ゲーム画面ではなかった。


⋯⋯⋯⋯⋯?!





『高校生活が楽しくなっているのは良い事ですが、周りの事にも目を向けてあげてくださいね』





⋯⋯⋯⋯⋯⋯

なんかもう慣れてきた自分が逆に怖い。



周りの事ってなんなんだよ⋯。毎回毎回、おかしなタイミングで来るし⋯

「何がしたいんだよ!」

頭が回らなくなった俺は、誰かに助けを求めるように、気づけば叫んでいた。

「え?!」

その声に驚いた夏実と凛。二人とも急いで駆け寄ってくる。

「どうしたの?想士」

「あ、いや⋯」

「いきなり叫んで、どうかしたの?」

「悪い、なんでもないよ。少し、変なメールが来たもんでな」

「それならいいけど。何かあったら、相談してね?」

「おう。ありがとう」


本当にごめんな二人とも。本当は話してあげたい。俺としても、すごく相談したい。

だけど、今話して、何か未来が変わってしまうとしたら⋯。昨日見た夢の答えを⋯。自分が取るべき正しい行動を。


それがまだ出来ていないんだ。もしこれで何かが変わってしまったら⋯。タイムリープが解除されてしまったとしたら⋯。


そういうことを考えてしまうと、どうしてもこの一言が⋯⋯。勇気が出ないんだ。



きっと俺はまだ弱い。臆病で、弱虫で、自分をただ守ることしか出来ない。


いつかきっと、君たちには話すから、それまで待ってくれ。





俺はメール画面を閉じ、二人のところに戻った。













ピンポーン

家のインターホンが鳴った。もちろん相手は紗菜である。

「紗菜ちゃーん。いらっしゃーい」

「ここは俺の家だ。お前の家じゃない!」

お約束のチョップを入れる。

「あぅ?!だからー!痛いんだってばー!」

「いや、今のはお前が悪いんだからな」

「そ、そうだけどー!!!」

ふてくされた様にそっぽを向く夏実が、少し可愛く見えてしまった。


なんか、自分の過去の生活スタイルが、だんだんわからなくなってきた⋯。



「で、夏実ちゃん。こんなに早く集まって、どこに行くの?」

「それは、想士が言ったことだから、私にもわからないの。ねぇ想士。どこに行くの?」

「んー。俺もあんまり考えてないんだけど、みんなはどこに行きたいとかある?」

ナイス俺!すごい自然な聞き方である!


「私は⋯どこでもいいよ」


「私はねー!山行きたい!」


⋯は?

「なっちゃんは山かー。私は富士山がいいかなー!」

⋯⋯はぁ?


「いや、まて二人とも。普通の休日に行くところじゃないぞ。ってか凛。富士山も一応山だよな」



「何を言ってるの想士くん!富士山っていうのはね!日本でトップなんだよ!トップマウンテンだよ!」


表現力小学生レベルか?!


「それはわかるけどさ、なんか関係あるの?」


「今は春!そして今日はね?富士山の登山解禁日なの!だから登ろう!」



あー⋯。どうやら凛は登山好きなのか⋯。

「凛、お前は、山が好きだから登山したいってことか?」

「へ?山?全然興味ないよ?」



⋯⋯はぁ?!



「私が好きなのは、富士山だけだよ!!」


あ。登山好きじゃなくて、ただの富士山好きか。

いやまぁ、でも今日はな⋯

「でもほら、紗菜もいるし、今日はやめとこうぜ?」

「ごめんね凛ちゃん⋯さすがに体力が⋯」


紗菜は元々運動が苦手なタイプだから、山登りは到底無理だろう。

てかまず、簡単に行くところじゃねぇし。


「じゃあどこにしよっかー。想士、何かいいところある?」



みんなと話しながら、携帯を使って観光地を調べていたら、ぴったりな所を1つ見つけた。



「お。みんなさ、水族館とかどうだ?」

「あー!私お魚好き!」

毎度毎度楽しそうに話についてくる夏実は、普通にありがたい。


「私は大丈夫だよ。⋯凛ちゃんは?」

「私も賛成!!」

紗菜も凛も大丈夫だ。




最近の俺は昔と何か違う気がする。昔は自分のことしか考えていなかった俺が、こうしてみんなのために何かを考えていると思うと、我ながら嬉しくなる。






「それじゃあ、行こっか」





俺たちは水族館へ向かった。

次回は、想士と紗菜が少し、イチャイチャします。

イチャイチャというか、ドキドキしますw

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ