放課後
カズックloveさんから、感想、アドバイスを頂きました!ありがとうございます!!
~追記~
皆さん申し訳ありません。来週火曜日が受験のため、サイトへの打ち込み、次話の作成ができそうにありませんので、
次回の更新を、3月13日(火)に変更させて頂きます。勝手で申し訳ありませんが、ご了承ください。
(土日で作れればいいのなぁ⋯(ヽ´ω`)トホホ・・)
結局、黒板係となった俺たち4人。黒板係と言っても、授業終わりに黒板を消して、放課後にキレイにするくらいである。
「それじゃあ、先生は職員室に戻るから、後はよろしくねー。」
そう言って教室から出ていった先生。夏実は、先生が見えなくなることを確認すると、
「よーし!私たちだけだ!みんなー。黒板消しでドッチボールしよー。」
「⋯⋯は?」
いやまて。こいつは何を言ってるんだ?
「汚いだろ普通。」
「わ、私は⋯ごめん。無理かも⋯」
「えー。想士も紗菜ちゃんもノリ悪いなぁ」
いや、これが普通の反応だと思うぞ?
「凛ちゃんはー?」
「よし。なっちゃんやろっか!」
「やんのかよ!!」
「別にいいじゃん。汚れたら脱ぐだけだから。
あ。想士くん。見る?」
「見ねぇわ!ってか興味ねぇし。」
「そ、そうよ!想士が、お、女の子の、パ、パパ、パンツなんか⋯興味⋯⋯──」
あ。またこのパターンかよ。
「本当になっちゃんはそういうのダメだねー。最後には自分が通る道なのに。」
「そ、そうだとしても、今はまだダメよ!」
「あ。それはわかってるんだ。」
全員が声を合わせて言う。
「う、うるさいわよ!と、とにかく!さっさとやろ!」
「はーーい。で、何をすればいいの?黒板消しドッチボールやる?」
「やらない!」
「やらないのかよ。」
「あぅ?!まって想士!なんで私は今、チョップされたの?!」
「いや、それは、⋯勢いで。」
「ままま、まさか⋯そ、想士は、パ、パンツを────」
「大丈夫だそれはない。」
パンツを見たいと思ってるの?
そんなことを聞かれると思ったから即座に否定した。
「なぁ凛。こいつらに、18禁展開の耐性がつくまでは、このメンバーの前でそういう発言するの、やめてくれないか?」
「そんな事言われてもなぁ。一番早いのは、当事者たちがちゃんと知ることだよ?」
⋯⋯⋯
そんなことわかってるよ。そりゃ当然、正面から知るのが一番なんだけどさ⋯。
だからといって、教えていいのかってのが少し不安になる。
「と、とにかく、しばらくはなし。さ。係の仕事終わらせようぜ。」
「そうだね。ほら、なっちゃんと紗菜ちゃん。やるよー。」
「おー!やるぞ!」
「う、うん。」
とりあえず何事となかったかのように、作業を再開することが出来た。
夏実と紗菜は、黒板をきれいに拭き、俺と凛は、黒板消しを外で、はたいている。
「あはははは!紗菜ちゃんうまーい!!」
何をしているのから、ここからは見えないものの、本来のやるべき事をしていないのは良くわかる。
そーいえば、俺と凛、二人で話すのは初めてだろう。いつも間に夏実がいたからな。
「ねぇ。想士くんはさ、なっちゃんや紗菜ちゃんの事、どんな風に見てる?」
「どんな風って⋯まさか⋯。」
「いやいや、エロい目とかそういう風な事じゃなくて、普通に、女の子として、どう見てるのか、知りたくてね。⋯ダメかな?」
そんな上目遣いで言われたら、対応に困るんですけど?!っていうか、ちょっと可愛く見えちゃったじゃん!
「女の子として、か。たしかに可愛いとは思うよ。容姿は整ってるし。」
「や、やっぱそうだよね。」
あはは。私、何聞いてんだろ。
そう呟いた凛。
だから、俺は自分の思ってることを素直に伝えた。
「でもな。それは、凛も同じだと思うぞ?」
「へ?!」
凛は目を丸くして驚いた。そして、ソワソワするように少し動揺しているようにも見えた。
「凛も十分可愛いし。⋯⋯そ、その。む、胸も⋯見る限りだと、ん⋯何だろ。いいと思うよ
⋯なんか、この言い方変だし、口説いてるみたいだな。」
そんなことないよ。と、首を横に振る凛。
「想士くんがそう言ってくれるのは嬉しいよ。⋯ありがとう。」
今までの明るさと何か違う。それを悟った俺は、申し訳ないと思いつつも、聞くことにした。
「なぁ凛。少し聞いてもいいか?」
「なにかな?想士くん。」
「間違ってるかもしれないんだけど、凛。お前、過去になにかあったのか?辛いこととか。」
俯いて顔を上げようとしない彼女は、そのまま口を開いた。
「ははは。やっぱり想士くんには敵わないね⋯。何でもお見通しなのかな?」
そう言って顔を上げた凛の目には、涙が溜まっていた。
凛のこの反応。やっぱり何かあったとしか思えない。
「聞かせてくれないか?凛。」
「⋯わかったよ。少し恥ずかしいけど、私の過去、話すね。」
「うん。頼むよ。」
彼女の過去に、何があったかはわからない。だけど、それを聞き入れて、一緒に話してあげることが、今の俺に出来る最大限の手助けだと思えた。
「私にはね、10歳年上のお兄ちゃんがいるの。今は25歳だけど、私が小学生の頃、それこそ、お兄ちゃんがエッチな本を買い始めた当時、たまたま見つけちゃったの⋯。」
見つけた本がエロ本だ。とまでは言い切らなかったが、多分そうなのだろう。
「その時に、私はその本を読んじゃったの。子供が見てはいけない本だってわかってたんだけどね。それから、何かシチュエーションがあると、その本の内容が頭の中に出てきてきちゃって⋯。
小学生なのに、エッチな本読んだなんて、周りには言えないでしょ?」
「確かに。それはそうだな。」
「最初は、隠せば良いと思った。でも、ふとした時に、口から言葉が出ちゃうんだよ。パンツとか、お、おっぱい⋯とか。
それで周りに引かれるのが怖かった。だから、
自分から距離を取っちゃったんだ。」
理由はともかく、やっぱり凛も、そんな過去を持っていたのか。
「バカだよね。こんなダメな考え方して」
「そんなことない!」
気づけば俺は、叫んでいた。
「⋯⋯え?」
「たしかに小学生でその頭の中はやばいと思うよ?」
あからさまにダメージを受ける凛。
「だけど⋯。わかるんだよ、俺には。怖くなる気持ちが。」
「わかるの?こんなダメな私をわかってくれるの?」
涙をこらえているのか、声がかすれてしまう凛。それでも、凛の言葉ははっきりと聞き取れた。
「ダメなんかじゃないよ。
実はな、俺も同じだったんだ。人と仲良くなって、何かあった時にその仲が壊れるのがすごく怖かった。だから、
自分から近づかずに、1人を選んだんだ。」
ハッとしたように顔を上げる凛。
「想士⋯くんも?」
そう言ってこっちを見つめてくる凛の目からは、涙が止まることなく流れ続けていた。
「だからな、恥ずかしいことでもなければ、バカなことでもない。今からやり直せば、それで良いんじゃないか?俺は凛と、仲良くしたいと思ってるよ。」
「わたひも⋯わたひも⋯想士くんと、仲良く⋯しだいよ!!!」
泣きすぎて、彼女の声は、聞き取れないほどだった。でも、伝えたいことをちゃんと伝えようとしていた。
彼女はハンカチで涙を拭き取り、改めてこちらを向く。
「確かに、少しエロ脳だけど、それでも別に構わないと思うよ。」
「うん。その⋯ありがとう。」
彼女の笑顔を久しぶりに見た気がした。その笑顔はとても清々しそうで、キラキラと輝いていた。
「あのさ、想士くん。」
「なんだ??」
「私⋯好きになっちゃうかも⋯」
「へ?」
そう言って俺の手を取った凛は、自分の胸へと手を当てた。
⋯⋯⋯胸?!
「え?!ちょ?!凛?!」
「ほら。感じない?心臓の鼓動が早いの⋯。」
俺に伝わってくるのは、柔らかな感触なんですけど?!
「あ。もしかして想士くん。胸揉んでみたいとか言うの?」
気づけば凛は、いつもの小悪魔キャラに戻っていた。
「そ、そんなわけないだろ?!」
手を離そうとしても、なぜか離させてくれない凛。
「い、1回だけなら、いいよ?」
「いや別にいいわ!」
そう言って強引に手を引こうとした。その時の彼女はまだ、ニヤニヤとからかいを楽しんでいた。
しかしこの後、状況が一転する。
俺の片手は凛の胸。もう片方の手ははその手を引こうとしていた。そのため、全重心が片側に偏っていて、よろけた時に、堪える力がなかった。
俺がよろけて、凛もそれにつられて。
二人で床に倒れ込んだ。
⋯ん。なんか、右手に柔らかい感触が⋯。
⋯⋯⋯⋯⋯⋯?!これは⋯?!
もにゅっ。
「っあ!」
不意にとは言え、凛が構えていない時に力を入れてしまったため、凛の素の声が響き渡った。
「あ⋯り、凛。その、ご、ごめん。」
俺はすぐに起き上がり、凛から離れる。
「想士くん。不意打ちでいきなり揉んでくるなんて、そこそこにエッチなのかな?」
そう言いながら凛も立ち上がった。
「そ、そんなことは無い!不可抗力だ!」
「良くある言い訳だね」
またニヤリと笑う凛。
「でも、その⋯ひとつだけ感想をいうなら、すごい柔らかかったし、そ、その⋯凛の声が、可愛かった。」
それを聞いた凛の顔が朱色に染まり上がる。
「な、ななな、何言ってんの?!感想なんて求めてないよ⋯?!」
真っ赤な顔を隠すかのように手で覆い、こっちを見ようとしない。
「わ、私、トイレに行ってくるから、想士くんは先に戻ってて!」
そう言って走って行ってしまった。俺はわずかに右手に残る柔らかな感触を忘れようとしたが、忘れることは出来なさそうだった。
《凛》
「な、なんなのよ想士くん!不意打ちはずるいってば⋯」
トイレの鏡で見た私の顔は、だれが見てもわかるくらい赤くなっていた。
そりゃ、あんな感想言われたら、恥ずかしいに決まってるじゃん。
「こんなんじゃ、本当に好きになっちゃうよ⋯」
自分の気持ちに気づきそうになっても、必死に堪えようとする。ここで好きと実感してしまったら、これから顔すらも見れないと思ってしまったから。
とにかく私は、赤くなった顔が戻るのを待ち、みんなの所に戻ることにした。
よし。これで大丈夫!多分⋯。
《想士》
「あ。想士おかえりー。ってあれ?凛ちゃんは??」
「り、凛なら、トイレに寄ってくるからって言ってたよ。」
「そっかー!」
これでいい。さっきまで、あんな会話してたなんて、絶対に言っちゃいけないと思った。
ガラガラ。教室の扉が開く。
「なっちゃん!ただいまぁー!」
「凛ちゃんおかえりー!」
さっきの事が何も無かったかのように、笑顔を見せる凛。
⋯そう考えると、案外すごいものだな。
「って⋯なっちゃん?!黒板きれいになってないよ?!」
「あ。そうだった。紗菜ちゃんとお絵描きしてたから!」
「何してんだよ夏実。」
「いーじゃん別に!お絵描き楽しいよー!」
「なっちゃん。このままじゃ終わらないから、一緒に終わらせよ。」
「うん!凛ちゃんも一緒にやろう!紗菜ちゃんもいいよね?」
「うん⋯。私はいいよ。一緒にやろ。」
三人で仲良く黒板をきれいに⋯⋯⋯
とはいかなかった。
結局三人で絵を描いてしまって、下校時間ギリギリになってしまった。
三人が遊んでいる間に、俺は先生の忘れ物を職員室に届けに行った。
「ずいぶんと遅くのまで残ってたのね。あ。忘れ物ありがとう。」
「あはは⋯すみません。みんな楽しかったみたいで。」
「いや、楽しかったなら、別にいいのよ。」
職員室から教室に帰っても、まだ遊んでいたので、さすがに怒った。
結局今日は、作業を始めてから、2時間ほど終わらなかった。作業が終わる頃には、周りは夕暮れ色に染まっていた。
帰り支度をして、教室を出た俺たち。学校には生徒はおらず、俺達が最後だったらしい。
「今日は楽しかったねー!」
「そうだね。なっちゃん。」
楽しかったのは、お前だけなんだろうな、夏実。
そう思って凛の方を見ると、少し暗い顔をしているように見えた。
「凛。大丈夫か?」
「え?!あ、うん!大丈夫だよ。」
少し気まずくて、長く会話が続かなかった。まぁ、明日から土日だし、週明けには、元に戻ってるだろう。
「ねぇみんな。明日は用事とかある?」
⋯⋯嫌な予感。
「俺は特にないけど。」
「私は、特に何もないよ。」
「私も暇だよー!なっちゃん何かあるの?」
「んとねー。私も暇だったから、どうせなら、みんなで遊ばない?って思ってね。」
⋯⋯嫌な予感的中。この状態で明日も会うことになるのか?
みんなが暇ということで、結局遊ぶことになった。何をして遊ぶのかとかは全然決めてないけど。
「それじゃあ、明日、駅に9時半に集合ね!」
「まぁ、別にいいけどさ、お前っていきなりすぎるんだよな。」
「たしかに。何の前触れもなくこうなるよね。なっちゃんは趣味とかないの?」
「趣味?あるよ??」
⋯⋯⋯んんんん???!あの夏実に趣味が?!
「ぜひとも貴様の趣味とやらを教えていただきたいね。」
「え。ちょっと想士怖いよ?」
だって、休日は毎回のように、「ひまぁ」って言って俺んちに来るんだもん。趣味があるなら、そりゃ気になるだろう。
「んーとね!」
どんな趣味なのか、全員が気になるようだ。
「私の趣味は、想士とあそぶこと。だよ。」
「⋯⋯⋯⋯⋯⋯は???」
全員が不意をついてきた回答に思わず固まってしまう。
夏実の趣味が、俺と遊ぶこと?
⋯⋯それ、どういう意味なの?!
「んと、今、なんて言った?」
「え?だから、想士と一緒にあそぶこと。」
「ねぇ、それは、想士くんのことが好きだから??」
ふいに凛が問う。
「え?!は?!そ、そんなことない!あるわけないじゃん!」
真っ赤な顔をして、首を横に振る夏実。
毎回思うんだけど、そこまで嫌がらなくても良くないか?そりゃ、俺にはいいところもないし、好かれたい。なんてことを思ったこともない。でも、そこまで嫌がられると、さすがにショックがでかいぞ。
「好きって訳じゃないのに、想士くんと遊ぶのが趣味なの?」
「趣味っていうか、それが一番楽しいんだよ!」
「な、夏実ちゃん。そ、それは、結局好きって────」
「だからそれはちがーう!もう私先に帰るね!じゃあまた明日!」
そう言って夏実は走り去ってしまった。
「これは⋯やっぱり。」
「うん。そうだよね。」
女子二人がヒソヒソと何かを話している。しかし、何を話しているかまではわからなかった。
「ねぇ想士くん。」
「今度はなんだ?」
「想士くんはさ⋯彼女とか⋯作らないの?」
それは、思いもよらないセリフだった。
「え?!いきなり何?!」
「いや、だって、彼女いたことないんでしょ?」
だよね?と、あとから追い打ちをかけてくる紗菜。
「作らないというより、作れないんだよ。元々、俺なんかと話してくれる人もいなかったから。」
「ふーーん。やっぱりそういうところは、想士くんらしいね。良い意味でも、悪い意味でも。」
「え⋯なんなの?凛。」
「自分で気づくまでは、教えてあげないよー!」
「えぇ?!お、おい紗菜!紗菜なら教えて──」
「ごめんね。これは、秘密。」
「なんでだよぉぉ!」
「想士くんも、ちょっと考えてみるといいよ。それじゃ、私達も帰るから、また明日ね。」
「想士くん。じゃあね。」
結局二人は帰ってしまい、俺一人になってしまった。何を言いたかったのか、何を考えれば良いのか、俺一人では全くわからなかった。
1人での帰り道。なんか懐かしいな。
ピロリン。
ケータイが鳴った。俺はケータイを開く。
そこにはまた、メール通知が一件来ていた。
『あなたが、どの女の子を選ぶのか、楽しみにしていますね。』
どういう事だ?俺が女の子を選ぶ?⋯まさか。
この言動からして、やはりどこかから俺のことを見ているのだと思う。
でも、なんで楽しみにされているんだ?
このメールの送り主は一体誰なのか。そして、俺がどうやって過去に戻ってきたのか。
このタイムリープはやっぱり謎だらけである。
誰か教えてくれよ。なんで俺はこの世界に来たんだ⋯?
俺は今日の放課後で、相当疲れていたらしく、家に帰ってご飯を食べたら、すぐに寝てしまった。
結局わからずじまいのままのことがいっぱいある。
そしてその夜。
俺はある夢を見た。
みんなの前では明るい人でも、他の人には話せない、辛いことってあるんですよね⋯。
いつも読んでいただきありがとうございます!
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