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昨日の敵は今日の友、ですか?

 どうも、毎度おなじみルカです。今日は部活がない為、一人で早く帰っています。星弥は美術部で展覧会に出す作品を作っていて忙しそうだし、マリカは部活見学で忙しいとか言ってたくせにどっか出掛けちゃうし、甘美は『アニメを見なきゃ』って言って早く帰っちゃったし・・ん?レカは、だって?あの憎たらしい妹と帰りたいと思う奴がいるか。


「あー、今日月刊ルーの発売日だ。」


 そんな事を呟いていたその時。見たことのある人物が目の前にいた。あれ、志保じゃね?てか、やばくね?これ確実に死んじゃうやつじゃん。そーっと通ってみよう。影薄すぎて気づかれないかも。


「あ、いてっ、あ、志保。」

「?!あ、あんた!」


 目の前には運悪く石が転がっていた。それにつまずいた私は声を出してしまった。それによって、志保にばれてしまった。なんかこの石、私の事嘲笑ってるように見える。


「あんた、マリンカの居場所を教えなさい!さもないと殺すよ!」

「知らない知らない、マジで知らない。だからその剣を振り回さないで」


 ぶんぶんと剣を振り、私を斬ろうとする志保。どうにかしなきゃ、このまま殺されてしまう。私は足の速さを利用し攻撃を避けていた。足元から火花が散る。それを見て志保の顔が強張る。


「そ、それ魔法じゃない!って事は元から・・・」

「五十メートル二秒台ですけど、何か?」


 志保は驚いたみたいで、一瞬攻撃が鈍くなった。なんか勝ち誇った感がある。じゃあ、今のうちに・・・


「喰らえ!エターナル・ルシフェラーゼェェェ!」

「ごほぁっ、」


 私の魔法(物理攻撃)をかますと、ばたりと音を立てて、うつ伏せの状態に志保が倒れた。剣は塵となって消えていった。やったぜ!と一人で喜んでいるうちに、志保に両足を掴まれた。まずい!これじゃあ蹴りを入れることができない。こうなったらパンチを、と腕を振り上げたら


「や、やめて・・・ごめんなさい・・」


 と小さく声が聞こえた。志保だ。さっきまでの強気な態度ではなく、弱々しい声。なんとなく拳を下げてしまった。すると志保は立ち上がり、大声で泣き出した。


「え、泣かないで!ね?お願いだから泣かないで!」


 小さな子をあやすように慰め、ようやく泣き止んだ。さっきまでの怖いオーラは消え、ほんわかした感じになった。何か話そうと思い声をかけたものの、ビビられて話ができない。


「ごごごめんなさい!」

「わかった。わかったから、さっきまでの怖い志保と今の志保の違いを教えてくれないかな?」

「はい!」


 僕の名前は森川志保、十六歳です。千葉県に住んでいます。実は僕、二つの人格を持っているんです。一つは今のような、ごく普通の性格。もう一つは『魔法』に敏感で、魔法使いを徹底的に倒そうという気持ちを持つ性格です。僕は『インポスター』と呼んでいます。僕は二つ目の人格の時の記憶を覚えることができるのですが、インポスターは記憶を覚えることができません。極たまに覚えていることがあるのですが・・・


「見分け方とか、ある?」

「志保の時は一人称が『僕』なんです。あ、でもインポスターが記憶を覚えていた時、あいつはずる賢いので『僕』って言って騙そうとするかもしれません。」


 ボクっ娘か。いいな。

 その後の話は、どうやら彼女は聖力使い、という人だということ、弟がいること、マリカや他のみんなに謝ってほしい、と色々な話だった。また、私のキックを褒めてくれたり、メアドの交換をした。


「教えてくれてありがとう。これから気をつけるね!」

「あ、ちょっと待って!僕・・・」


 その時、志保が手招きをした。なんだろうと思い、近づいた。その瞬間。


  シュッ


「・・・え・・・?」


 強い力で肩を掴まれたと思うと、剣を取り出し私の首にあてたのだ。少し切れ、生暖かいものがつぅ、と首につたう。


「・・・僕、いや私はずる賢いって言ってたよね?」


 耳元で囁かれた。首に剣がまたあたり、さっきよりも強い痛みが襲った。殺されてしまうんじゃないかと思い、震えが止まらない。彼女の顔は殺気がこもっており、今にも私の首をはねてしまいそうな顔だ。


「・・・ま、今は殺さないよ。これでマリンカが怒ったら面倒なことになるもんね。」


 しゅるりと首元にあった剣を消したインポスターは乱暴に私を投げ飛ばすと、どこからか大きな本を取り出した。


「チッ、志保のやつ勝手に変えてやがる・・・じゃあ今日はお別れだねぇ。」


 彼女の感情がコロコロ変わることに驚き、私は彼女に恐怖心を持っている事に気が付いた。志保が近づいてきた。そして私の顔をジロジロ見つめると、鼻で笑った。私の顔はそんなに変か。


「あ、そうだぁ。私の名前を覚えられてたね。殺されなくてよかったね!」


 何を物騒な。ていうか、本気で殺す気だったのか。志保は背を向け、すたすたと歩いて行った。殺されなくて良かった。今日の出来事、マリカに言った方が良いのかな。そう思い、私は空を見上げた。星が綺麗に瞬いていた。今日の晩ご飯は何かな。



「・・・・名前覚えてくれてたのはちょっと嬉しかったけど。」











・・・ボクっ娘でツンデレ?なんかまじで嬉しいんですけど。

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