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彼は何者ですか?

 それは、一時間目に起こったことだ。難しい数学の問題を解く時間の時。優人がなんとなーく空を眺めていると、ホウキに乗って空を忙しそうに飛んでいる人を見てしまった。肩までのウルフカットの髪、漆黒の髪、そして、紫の瞳・・・波白魔莉佳だ。

 転校生が空を飛んでいる。驚きのあまり立ち上がりそうになったが、授業中なので我慢し、窓から目をそらした。ちらりと横目で席を確認する。彼女は左後ろにいるはずだ。


  いない。椅子には誰も座っておらず、机にはノートと教科書が雑に置かれているだけだった。

(嘘だろ、あいつが!!まさか、魔法使い??)

 その時、はっと思い出した。レカ。あいつも魔法が使えるみたいだ。もしや、仲間か?

 

  そう。この時、彼は気がついていなかったのだ。自分以外のクラスメイトが魔莉佳がいない事に気づいていない事に。魔莉佳の隣の席のルカも、教壇に立っている先生もさえ気づいていない。

  優人しか、彼女の魔法を見破れなかったのだ。

  そのうち、魔莉佳は何事も無かったように教室に入ってくると、何かを呟き、普通に授業を受け始めた。

  自分の魔法を見破った優人の事を見向きもせずに。




  少し変わった話をしよう。此処は魔界。ある年、一人の魔法使いが産まれた。その名もマリンカ。賑やかな繁華街に住んでいた彼女は、普通に暮らし、普通に勉強し、普通に成長した。いや、するはずだった。彼女は少し特殊だった。

「貴方は普通の魔法使いではありません。よって、入学許可を下すことができません。」

  これはマリンカが小学校に入学する時。校長に言われた言葉だ。彼女は魔法を使えなかったのだ。それに魔力が弱く、使える魔法は一般の半分以下だった。

  魔法使いや悪魔等は主に「黒魔法」を使う。反対に、天界では天使や神に値する者が「白魔術」を使う。この二つにも当てはまらない、特殊な力を「聖力」と言った。地上で言ったら・・超能力が当てはまるだろう。

  マリンカは、黒魔法と聖力が混ざり合った力を持っていたのだ。両親は母が魔法使い、父が悪魔だった為、必ず黒魔法を使う事になるのだが・・・。

  そして、四年後。ある日、彼女の力が暴走してしまった。とある、悲しい事件によって。それからは力の制御を学ぶ為、学校の入学を許可された。彼女は学び、努力し、力の制御を完璧にこなす事が出来た。まだ、かなり弱かったが。するとある日、

「人間を助けたい。」

  その頃、魔界の女王が行方不明だった為、人間界に下りる事は禁止されていた。その為、通り道の門は閉められていた。強い結界が張られていた門だが、マリンカが腕を一振りすると、あっと言う間に結界が崩れてしまった。

  その日から、最弱で最強の魔法使い、と呼ばれるようになったのだ。



「やっぱ強いのか。」

  栗色の髪の少女だ。読んでいた本を閉じると、大きなあくびをした。

「やっぱ気になるなァ。でも、一番気になるのはクラスメイトの男子だけど。」

  彼女が目を閉じ、再び本を開けるとそこには優人の事が載っていた。

「・・・特に魔法使いではないみたいだね。じゃあなんでだろう。」

  彼女は本を閉じ、ゆっくりと左を向いた。大きなガラス窓。どうやら教室のようだ。彼女は、木の上にいた。優人を見ると、怯えた顔でこっちを見ていた。


「・・・なんで、聖力使いの私が見えるんだろう。」


  彼女は優人にウィンクをすると、光に包まれ、消えていった。



  聖力使い。超能力者や、神が使う力に似ているものを使う人を指す。超能力者は人によるが、聖力使いは、透明になる力を使っている時、聖力使い同士しか姿を見る事が出来ないのだ。



 



 一体、優人は何者なのだろうか。

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