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彼女は魔法使いですか?

「ウワォ!まじいてえ。」

 こんばんは、一川野ルカです。ただ今、襲われ中です。

  今日は部活(陸上部)があったから帰りが遅くなって、疲れたからちょいとジュースでも買おうかな・・・なーんて思って自動販売機を見てたら、あらまぁ大変!家の影から魔物がひょっこり!という経緯で今に至ります。

  私、影が異常に薄いくせに魔物にめっちゃ追いかけられるんです。で、すぐ逃げたんだけど、魔物って足、速いんだね。すぐ追いつかれて、引っ掻かれた。傷口から紫色の煙が立ち、どくどくと脈打っている。毒でもつけられたかな。早く水をつけたいんだけど、魔物が追いかけてくる。どうしよう。

「くっっそぉ、走るしかないや。」

ふぅ、と息を吸い、私は位置についた。

「よし・・・闇に住まう悪魔供よ、我の光にかき消されよ!エターナル・ルシフェラーゼ!」

私の魔法(物理攻撃)を唱え右脚に力を入れ、思い切り地面を蹴った。その瞬間、火花が散り私の身体が前に傾いた。そのまま百メートルほど走り、私は止まった。

「ふっふっふ・・。五十メートルが二秒の私に勝てると思ったのか!」

一人で高笑いをしていると、もう一体出てきた。やばい。ここからじゃ、走ったって逃げられない。

「どうしよう、どうし・・・あ。」

私は走る時、脚に力を入れるため火花が散る。その時のスピードを利用して、魔物を蹴ることができるのではないか。時間もない、やってみるしかない。

「ようし、エターナル・ルシフェラーゼェェェ!」

ちょっと中二病っぽい台詞と共に蹴りを入れる。確実に、魔物に足が触れた・・と思ったら、魔物が消えた。煙を放ち、姿をくらましたのだろうか。

「アレェ⁈・・ま、いっか!非現実的なことが体験できた!よかった。」

ジュース買ってこう、と呑気に歩き、ルカは帰っていった。


「・・っは、ヤベェやつやん。想像以上にやったわ・・。」

真っ暗な夜空に一人、少女が浮かんでいた。彼女は少し離れた空き地を見下ろす。そこには、先程ルカが蹴り上げた魔物だったものがあった。形は崩れ、気味の悪い紫色の血で溢れかえっていた。

「消えろ。」

彼女が手を振ると悪魔だったものは灰へと変わり、風に吹かれ消えていった。

「あいつの蹴り・・とても人間技じゃないな。」

彼女の目がルカを捉えた。


「早く、止めないと。」


彼女の漆黒の髪が、静かに揺れた。


「お帰り・・うわ、砂だらけじゃん、汚ったな。」

レカが笑顔で・・引きつった笑みでやって来た。帰って早々レカに汚いと言われ、少しムカついた。優しくない妹だな。

「うるっさいなぁ。大変だったんだぞ、色々・・。」

そういうとルカは部屋に入り、ベッドに思いっきり飛びついた。ふかふかの布団が暖かい。さっきまでの疲れが取れてしまいそうだ。さっきの毒のせいだろうか、妙にフラフラする。

「やっぱ、怖いなぁ。」

ルカは魔物のことを誰にも言ったことがない。もしそれでこの事に巻き込んでしまったら怖いからだ。こんな傷もできてしまうし。と、傷を見た。さっきよりも色が濃くなり、脈も速くなっている。息をするのも苦しくなって来た。このまま死ぬのか。そっか。

「こんな傷、消えちゃえばいいのに。」

ぽつりと呟いた。すると、どこからか光が現れ怪我の部分を包んだと思った瞬間、傷が消えた。痛みも体のだるさも、消え去っていた。

「・・うっそ・・。」

こんな魔法のような事が起こるなんて。ルカは興奮していた。

「だ、誰かがやってくれたのかな?」

ついに頭がおかしくなってしまったのか、ルカは空に向かって叫んでいた。


「誰かさーん、今日は不思議な事をしてくれてマジでありがとうー!」

「うるさい!」


ルカの喜びの声は、大阪中に響き渡った。


「マジかよ、ヤベェよ。」

優人は目を丸くし、固まっていた。謎の生物が火花を散らしながら飛んで行ったのを見たり、人が空を飛んでいるのを目撃してしまった彼はそうすればいいのか迷っていた。そして、20分ほど迷った末、

「・・ルカに連絡しよ・・」

メールでルカに連絡した。被害者がルカだと知らずに。

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