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こちら天上界俗世課~マイナー下級神とゆかいな仲間たち~  作者: 夕闇 夜桜
第一章:マイナー下級神が巻き込まれた婚約破棄
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第三話 さて、話を戻しまして。運命の時は来(きた)る


「創立パーティー?」


 そう問い返せば、ああ、とウィルリードとガウディウスに頷かれる。


「少し調べてみたら、自身の婚約者に婚約破棄の話をしていないのは王子だけらしい」

「しかも、時期的に見て、言い出すのは創立パーティーの時だと思われる」

「というか、向こうにしてみれば、その時しかないでしょうね。婚約者の悪事を暴けるんだから」


 まあ、そんな事実は元から無いのだが。

 本当に、頭が痛い。

 しかも、狙い済ましたかのように、彼女のーーシェリーナ嬢の持ち物の一部が壊された状態で発見されたとのこと。何だか、タイミングが良すぎたり、出来すぎなような気もするが、気のせいだろうか?


「悪事? 破棄じゃなくてか?」

「婚約破棄するために、有りもしない悪事をでっち上げて、『こいつはこんな悪いことをしたんだから、俺の相手には相応しくない。だから、シェリーナを新たな婚約者とする』とか言うつもりなんじゃない? ーーあ、いや、有りもしない悪事じゃなくて、起こったことを利用するのか。彼女の私物が破壊されたという事実はあるのだから、犯人が誰であれ、婚約者である彼女に(なす)り付けて、シェリーナ嬢に起きたいじめの主犯を婚約者とすることで、破棄しなくてはならない状況に持っていければ……!」

「王子たちの、いや、あの女の思い通りってことか」

「つか、それって……」


 ガウディウスの言いたいことが分かり、頷く。


「そう、冤罪。婚約者である彼女がやったという明確な証拠が無いから、彼女がやったという立証も出来ない」

「だが、それでも、婚約者と婚約破棄するためだけに、それを利用するってか。アホか」


 ケッ、とガウディウスが吐き捨てる。


「もちろん、学園内だと彼女の為人(ひととなり)を知っている人の方が多いから信じられないだろうけど……」

「問題は外部、か」

「外部からの来客者がどれだけ信じるか分からない上に、国王夫妻も来るから、王子たちにしても、チャンスでしょうね」


 ウィルリードはウィルリードで、眉間の間を指先で揉んでいる。

 うん、もう本当に頭痛いよね。


「とりあえず、学園生である私たちは創立パーティーに出席しないといけないわけだし、どうしましょうかね」


 ドレスコード。





 ーーそして、当日。


「化けたな」

「第一声が、それってどうなの?」

「いや、似合ってるから。怒るなって」

「……」

「本当、冗談じゃないから」


 それにしても、ウィルリードが遅いとは珍しい。


「いや、あいつなら、もう居るぞ?」


 ほら、と促された方を見れば、驚いたまま固まっていたウィルリードがそこにいた。


「お前、女だったんだな」

「ウィ~ル~リ~ド~? それはどういう意味なのか、尋ねても良いかな?」


 その喧嘩、高値で買ってやるぞ。ん?


「落ち着け、アシュレイ」

「止めないで、ガウディウス! 今日こそは一言言わないと気が済まないっ!」

「ウィルリードも、こいつが怒ること知ってて言うんじゃねぇっ!」


 ギャーギャー騒いでいれば、くすくすと笑い声が聞こえる。


「相変わらずね。貴女たちは」

「ユリア」


 クラスメイトであり、友人である彼女ーーユリアは一通り笑い終わると、やれやれと言いたげに目を向けてくる。


「でも、そのドレスは失敗だったんじゃない?」

「あー、彼女と被っちゃったからねぇ」


 ちらりと、彼女(・・)に目を向ける。


「それで? 貴女のエスコート役はどちらなのかしら?」


 ユリアに問われ、軽く首を傾げる。

 というか、今回のパーティーに()いて、学園生とはいえ貴族以外の人たちも居るから、パートナーの有無は問わないことになっている。故に、私もウィルリードもガウディウスも、慌ただしくパートナー探しをしようとはしなかったのだ。


「残念ながら、どちらも違います」

「何だ。アシュレイがどっちとパートナーになるのか、楽しみだったのに」

「楽しみって、あのねぇ……」


 呆れたような目を向ければ、私たちが話していた時以上の歓声や悲鳴により、会場内の声は掻き消される。


「ようやく、お出ましか」

「パートナーの有無は問わないとはいえ、これは……」


 ガウディウスにようやく解放されたので、ヒール部分でウィルリードの足を踏みつけながら、シェリーナ嬢とゆかいな仲間たちに目を向ける。


「アシュレイ」

「しかも、全員あの女がパートナーと来たか。破棄を言い渡された婚約者組は理解していたようだが、王子の婚約者だけは微妙な顔をしてるな」

「そりゃあ、唯一話を聞いていなかったからね。いくら察していたとはいえ、彼女の面目は潰れたでしょうね」

「アシュレイ!」


 小声で叫ぶようにして呼ぶという器用なことをしてきたウィルリードに目を向ければ、顔を歪めていたので足の上から退()かしてやる。


「次はやらないでよ」


 私とて、何度も嫌がらせをしたくはないのだ。


 そんなこんなで、王子たちがシェリーナ嬢をエスコートしてきたというハプニングもあったが、創立パーティーは始まり、きらきらと照明に照らされて、優雅な音楽も奏でられながらも進行していく。

 それなのにーー


「リズベット・リスティアーナ侯爵令嬢。お前との婚約を破棄する!」


 これだもんなぁ。



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