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こちら天上界俗世課~マイナー下級神とゆかいな仲間たち~  作者: 夕闇 夜桜
第一章:マイナー下級神が巻き込まれた婚約破棄
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プロローグ


 きらきらと照明に照らされて、優雅な音楽も奏でられる。

 卒業生だという国王夫妻も出席されている、学園の創立パーティーで、この国の第三王子が盛大にやらかしてくれた。


「リズベット・リスティアーナ侯爵令嬢。お前との婚約を破棄する!」

「……」


 えー、何があって、こんな事になってるんだろう。

 婚約破棄を言い出した彼の周囲には、いつも彼と一緒にいる騎士団長の息子を始めとした御子息たちと、彼らの側で小さく縮こまる少女の姿があった。

 ……あ、なるほど。この『断罪イベント』が終われば、完全なる逆ハーレムが完了するわけね。

 国王夫妻の方にちらりと目を向ければ、二人して青ざめていた。王妃様なんか、今にも卒倒しそうなぐらいだ。


「驚きすぎて、声も出ないか」


 そりゃ、予想外のことが起きれば、誰だって驚くだろ。


「いや、確かに驚きはしてますよ。ところで殿下。婚約破棄をしようと思った理由について、お聞きしても?」

「理由だと?」


 殿下のーーいや、殿下だけではなく、『彼女』の周囲に居る彼らの機嫌が、あからさまに悪くなる。


「彼女をーーシェリーナを(いじ)めたではないか」

「シェリーナさん……というのは、そちらの方?」

「知らない振りをしても無駄だ。お前がしたことと証拠はあるんだぞ!」


 したことと証拠、ね……今が初対面の人を、どう(いじ)めれば良いのかな?


「お前が言った数々の暴言やシェリーナの私物の破壊。これを見て、言い逃れできると思わないことだ」

「……ふーん」


 淡々と『証拠』とされたものが突き出されたので、それを見つめる。

 教科書を破くなどはともかく……よくもまあ、ペンとかブレスレットとか、ここまで壊せたものだ。

 だが、余裕を崩さず、笑みを浮かべれば、殿下たちがたじろぐ。


「な、何だ。言いたいことがあるなら、言ってみろ」

「いえ、ね。殿下が、まさかご自身の婚約者に対して、勘違いなさってるとは思わなくて」

「勘違い、だと?」


 顔を顰めているってことは、本当に気付いていない所か、知らないのだろうか。


「殿下の婚約者であられるリズベット様は『私』ではなく、別のご令嬢だってことですよ」


 それを聞いた殿下は驚いたのか、目を見開いた。

 だが、周りで見ている野次馬の人たちもーー特に貴族の子息や令嬢たちが、宣言されたリズベット(名前)と『私』という人物が違うことが分かっているからか、「え、マジで気付いてなかったの?」と言いたげな顔が、婚約破棄を言い出された時よりも、さらに増えている。

 そして、この状況をずっと見ていた本来の婚約者(リズベット)様は、頭が痛そうにしていた。そりゃ、自分が婚約者なのに、他人と間違えられるなんて思わないだろうし。


「じゃ、じゃあ、お前は誰なんだ」


 ふむ、誰、と来たか。

 ずっと同じクラスだったというのに、覚えてもらえていないとは……いや、あえて印象に残らないようにしていたから、当たり前といえば当たり前か。


「もっと早くに気付いて、その質問が欲しかったですねぇ」

「っ、」


 自身の婚約者と別の女子を見分けられなかったことに対してか、側にいる『彼女』に格好悪い所を見せたことに対してかは分からないが、殿下は顔を歪ませる。

 そんな彼に向かって、私は笑みを浮かべて見せた。



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