偉い人ってたまにはじけるよね
「ありがとうございました〜」
コンビニの店員に見送られ、俺は今しがた買った袋の中を見る。
あんぱん1つに牛乳1パック、今日の朝飯である。あんぱんと牛乳最高、この組み合わせ見つけた人マジ天才。
そんな事を考えていると少し離れたところに俺の数少ない知り合いを見つけた。
「あ!皆さんこんにちわ。これから
もよろしくお願いしまーす!」
そう言いながら周りに笑顔を向けていくのは今日も元気な我が社の司令である。
そんな司令に向かって、さっき買ったあんぱんを食べながら歩いて行く。
「今日も町内の皆様に挨拶ですか。そんなのしなくても評価は落ちませんよ」
「別に評価のためじゃないよ、私は挨拶をするのは当たり前だからするんだよ。それに、挨拶をしたら気持ちいいし、された側も気持ちいいんだよ。あ、そうだ!グリーンも挨拶したら?少しは評価も変わるかもよ」
この人は俺の評価を知っていて言ってるんだろうか。
「挨拶だったら俺も毎日してましたよ。でも、したら迷惑そうな顔されるし、評価を見れば下がってるんですよ。で、試しに1ヶ月挨拶をしなかったら俺の評価ってどうなるんだろうと思って挨拶をしなかったら、その1ヶ月の評価は挨拶をして下がる一方だったのに、下がらずに保ったままだったんですよ。これを聞いても俺に挨拶をしろと言いますか?」
「で、でも、挨拶をされて嬉しかった人もいると思うよ!」
「だと良いんですがね。」
そんな会話をしていると、町の中央にある我が家でもある会社に着いた。
「ただいまー」
「ただいま」
俺は挨拶をして自分の部屋に入り、コンビニで買ったものをゴミ箱に入れた後、ベッドに入って、昼まで寝ることにした。
突然だが、ここでこの世界のヒーローについて説明しておこう。
まず俺の住んでいるこの町はトリタイナと言い、この町だけでなく他の町にもヒーローを雇っている会社がある。一般にそれをヒーロー会社と言い、町に現れる怪人を倒して、その倒した分に応じてお金を貰う仕組みになっている。その会社ごとにヒーローの人数は異なるが、大体5から7人で、普通は全員で力を合わせて怪人を倒す。しかし、それは普通の場合であり、稀にヒーロー一人一人が単独で怪人を倒している会社もある。ちなみにそれが我が社である。
そして、その会社の最も上の人間が司令である。そして、司令は雇ったヒーローに命令することができる。だが、司令に命令されても、するかしないかを決めるのは命令された本人であり、司令に強制させる力は無い。
ちなみに、怪人が現れない間は基本的に自由である。
そして、本題だが、ヒーローはなろうと思えば誰でもなれる。しかし、会社が雇ってくれるかは別の話であり、たとえ雇われたとしても、初めての実戦と初めて近くで見る怪人に怖気ずいて怪人に殺される奴もいる。そのことから、ヒーロー会社は雇う際にテストをすることをヒーロー本部から義務付けられている。
ヒーロー本部はこの世界の真ん中にあり、各町に設置してある転移門からヒーロー本部に行けるようになっている。そして、各町の司令は1ヶ月に1回ヒーロー本部に報告をしに行かなければならない。
以上がヒーローについての説明である。
さて、場所は変わって、俺は今戦場にいる。正確には、戦場にある拠点にいる。そして、横に現れた司令と頷くと、俺と司令は弾丸が飛び交う戦場に向かった。
司令と歩いていると、俺達の斜め前にある壊れた建物の影から人が見えた。俺は迷いなく打つと、自分の後ろに何者かの気配を感じたので、司令にサインを出して司令と前方に全力で走り、建物の影に隠れる。
さっきまでいた所の後方の壊れたビルに敵がいたからである。
俺はビルの敵の位置を司令に伝えると、司令は建物の影からビルの敵を狙って打った、弾丸は狙い違わずビルの敵の額に命中した。
俺はそれを見た後、周りに敵がいないのを確認してから歩き出す。
戦場だが何か話そうと思って、先ほどのヘッドショットを褒めた。
「司令、さっきの射撃は凄かったですね」
「でしょー!私もさっきのは自分でも凄いと思ったよ。て言うか、今更だけど良いのこんな所にいて?今行ったら怪人いるかもよ?」
「俺が行っても見つける前にあいつらが見つけて倒してますよ。あと、俺の部屋に入ってきて、俺を叩き起こして、『さあ!私と共に戦場に行こうでわないか!』って言って誘ったくせにその質問は無いでしょうよ。」
「あの時は徹夜開けのせいで変なテンションだったんだよ。でも、今更ながらに私何してるんだろうって思ってね」
「じゃあ、止めれば良かったじゃ無いですか」
「でも、もうすぐで終わりそうだったから最後までやろうかなーって思って……。でも、やり始めたら止まらなくって」
何でだろう、何でこの人は学ばないんだろう、この前もそんなことを言っていた気がするのに。
「そうですか」
「うん」
司令のことでちょっと悲しい気分になった俺は、気分を戻そうと司令に質問をした。
「ところで、今何戦目だと思いますか?」
「えーっと、20戦目くらい?」
「ブッブ〜、正解はなんと、驚きの126回目でした」
「うそ!?そんなにやってたの?!」
それを聞いた司令は驚くが、俺はまだ二桁だと思っていた司令に驚いた。
「もう辞めますか?流石に俺もう疲れたんで」
「うーん、じゃあこの戦いが終わったら辞めよう!」
「じゃあそうしましょう」
このあと俺達はあと一回あと一回と繰り返し、辞めた頃には日付が変わっていた。
え?結局何してたのかって?勿論FPSさ!