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散文  作者: 奴朗太郎
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グロテスクな表現があります。

真っ赤な火口のように、大きな口がゆっくりと動いていた。


上下に動く輪郭が、行灯の灯りに照らされてゆらゆらと動いていた。


赤い唇、大きな口、口から伸びる二本の牙と頭からまっすぐに伸びる一本のツノがこの者の正体を物語っていた。


男は脇差を抜くと、鬼の喉元へとそっと刃を当てた。

片手を切っ先の峰へと当てがうと、ゆっくり体重をかけてゆく。

まず右手に、次に左手に体重をかけてシーソーのように刀をめり込ませてゆく。


肉が切れ、ゴツゴツと骨に当たる。

骨と骨の間を探りながら、刀で押し切ってゆく。ぐずぐずに肉が潰れて刀がだんだんと切れ味を失ってゆく。


やっと皮一枚になると刀を抜いて、手前から奥の方へと切り取る。


ゴロリと首が転がった。


一瞬自分の切り取ったものが鬼の首ではない気がしたが、気のせいだろうと思いなおし、男は刀の血を拭った。


すっと立ち上がると、男は音も立てずにどこかへ立ち去ってしまった。


残されたのは、ただ鬼の首ばかり。

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