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『芋ケンピ』を両親が貰ってきたので世界を救ってくる  作者: 鴉野 兄貴
後日談。友人がVRMMORPGに誘ってきたのでリアルMMOに挑戦してみる

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夜更かしするけど改善する気はないし、ひとに語るほど面白いこともしていない話

 夜更かし酷いけど改善する気はない。

 ねこまっしぐら、就職活動はあっちこっち。

 人間は猫に勝てない。


 ゆるく伸びをしていっしー氏は軽く首を動かす。


 あれだけ寒かったのは何だったのか。

 気が付けば汗を拭きながら就職活動する学生たち。

 スーツなんて着ているのはヒーローだけでいい。

 あいつらはタイツだけど。


 先月大阪今月は東京。

 就職活動で日本全国行ったり来たり。

 去年異世界一昨年は過去世界。

 神話の世界まで行ったり来たり。

 小説の主人公でも生活というものがある。

 特にやることもないけどやらなければいけないことも多数あって、目の前のしたいこともある。

 理由はないけど夜更かし続行。


 すっと青白い手が彼に飲み物を差し出す。

「ありがとう」

 何気なくそれを受け取って口に含む。少し血の臭いがするが気のせいだ。青白い手の持ち主が長い髪の奥から頬を赤くしているけどきっと気のせいだ。彼は一人暮らしの筈だし。


「何も書くことないですよね」



 知り合いに薦められ、暇そうにスマートフォンをいじってみるも自作のその文章は小説の体に至らない。


「読むのは結構好きなのですけど」


 そう呟く彼の背の後ろ。バチバチと帯電するイタチのようなイキモノが彼のスマートフォンに充電をするとぱっと虚空に消えた。

 彼は後ろを振り向いたが当然何もない。

 その間、書きかけのエントリーシートの上で彼の書いた文字が手をつないで机の上に飛び出しタップダンス。彼が振り返ったためあわてて元に戻るが。


「あれ。誤字があった。おかしいな」


 書き直しか。面倒だ。

 書き直しではなく、文字たちの悪戯である。

 彼は傍らにあったフカフカの芋を口に含む。舌に柔らかく広がる甘みに少し安らぐ。


 カシャンカシャンウィーン。

 隣の家具が変形して一瞬老婆の姿になった。芋の差し入れもコヤツの仕業である。

 背後に立つ亡霊の少女とバチバチ火花を散らす。

 おかげで良い感じに今日も芋が焼けた。


「特技、趣味、写真……かな」

 履歴書に書くべきか悩む。



 前に会ったヒト曰く、写真家になればいいとのことだが他人と言うものは往々にして無責任な生き物だ。


「だよね~」

「うむ」

「人間だしな」


 彼女たちの台詞はいっしー氏に聴こえていない。

 この部屋は一人部屋である。妖怪なんてこの世界にいない。


 暑かった昼間は何だったのか。

 気が付けば一枚羽織ってケータイぽちぽち。

 パジャマなんて着ているのは寝るときだけでいい。

 友人は中学のジャージだけど。


 かるく足を延ばしていっしー氏は寝床に向かう。


 夜更かし酷いけど改善する気はない。

 ねこまっしぐら、就職活動はあっちこっち。

 人間は猫に勝てない。


 妖怪たちは夢の中。

 存在はしないが常に彼を見守っている。

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