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『芋ケンピ』を両親が貰ってきたので世界を救ってくる  作者: 鴉野 兄貴
後日談。友人がVRMMORPGに誘ってきたのでリアルMMOに挑戦してみる

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魔法少女になれそうにない7 ねこのえの年越し

 今年の目標は彼氏を作ること!

 美沙斗嬢はそうつぶやき、就寝することにした。


 二〇一五年もすぎ、二〇一六年になった。

 中学生だった彼女も現在大学生。あと数か月で誕生日を迎える。


 暖かな寝具のぬくもりに揺らぐ意識の片隅で聞こえる声は今まで苦楽を受け続けた『猫の絵』のそれ。

 勿論、耳栓完備の美沙斗嬢には聞こえない。


「大学生になっても魔法少女」


 この歳になって魔法少女なんて非常に痛いと文句を言っていた少女も今や恋や将来を具体的に考える大人となっていく。


 コンクリートブロックで動きを封じられた彼は肩をすくめるようにしてするりと床から近くの円盤状のロボット掃除機に移動。

 そのまま掃除機はふわりと重力を見失ったかのように舞い、自然に開いた扉から旅立つ。


「うーん」寝返りを打つ彼女に無言で前足ふりふりお別れ。


 そっと寒波を防ぐ魔法を残し、窓を念力で閉めて、彼は一人魔法の世界に戻っていく。

 年越し三が日くらいは一人でも大丈夫だよね。いや、ひょっとしたらもうずっと。



「マジカルプリンセス☆み・さ・と!」

「美沙斗ちゃん。いや美沙斗さま」


「大学生になったら魔法少女とは言えない」

「だね。一応未成年だけど世間一般では小学生から中学生くらいだし」


「だから、マジカルプリンセス!」

「なにそれ。賢い」


 前後する。帰宅した彼女を出迎える猫の絵。

 妙にハイテンションな美沙斗嬢にあきれ顔だが猫なので実に微妙な顔立ちである。


「大学生になったのに魔法少女を卒業させてもらえなかった」

「それは本当にごめんなさいと思っている」


 素直に謝る猫の絵。

 受験と魔法少女業(何が不満かって無給なのだ!)を兼任させられた美沙斗嬢にあえて逆らわない。


「塾のバイトなんてしたくないのに」

「それは、本当に本当にごめんなさい」


 でも、満員電車を尻目に何度か飛んで大学に行っているわけだし、見た目人間にしか見えない氷像に講義のバイトにいってもらう等、まったく魔法少女の力を使っていないかといえば嘘になる。



 氷像は自立起動し、記憶共有。便利な能力だが熱に少々弱い。具体的に。


「仕事したくない。バイトもう(´・д・`)ヤダ」


 本当に貴様氷の像か。


「わかる」

「だよねー!」


 熱に溶解はしないが、主人のコピーを完璧に勤めることができる程度の性格は持っている。欠点なのか良いことなのかわからないが仲が良い。

 最近習得した新しい能力である。


「子供もういや。うっとおしい」

「でも照れながらお礼をいってきて超かわいい」


『わかる』

「二人とも意気投合していないで、片方はさっさと塾に行きなさい」


 呆れる猫の絵は掃除機に乗り移り、空を飛ぶ体制に入っている。

 地味に美沙斗嬢、単体では空を飛べないらしい。

 普通空を飛ぶほうが先に習得する能力だと思われるが。



「どっちも嫌だよね」

「ん? 何が? 美沙斗ちゃん」


 空を飛ぶ掃除機。それに膝ついて乗る美沙斗。


 振り落とされないのか。寒くないのかなどの諸問題は魔法なのでクリアしている。魔法って便利だ!


「塾のバイトもこれも」

「本当に申し訳ない」


「何がって彼氏がいないこと」

「僕のせいじゃないから?!」


 げしげしと膝で小突く美沙斗に抗議する猫の絵。


「解っている」


 小さくつぶやいて空を飛ぶ。

 冬空は冷たいが頬に当たる風は感じない。


 嫌なものは嫌。

 好きなものは好き。


 当たり前のことだけど当たり前じゃない。

 本当に世の中不思議ばかり。



「ただいま」

「あ、おかえり」


 年末年始自堕落モードの彼女に苦笑いの猫の絵。


「掃除機が消えて地味に大変だった」

「あ。それはうかつだった。勝手に持ち出してごめん」


 お土産をぶら下げて部屋の中をふわふわ飛ぶ掃除機。

 それを受け取る美沙斗嬢。


「今年の目標。マジカルプリンセスからマジカルクイーン」

「がんばれ。恋人作りは協力できない。魔法と関係ないし」


「つっかえね~!?」

「無茶言わないでよ?!」



 ひとしきりののしり合う二人。


「ところで初夢はどうだったの?」

「うーん。わからん」

 ……わからんって?

 すこしためらってから美沙斗は言葉を続けた。



「えっとね」

「うん」



「……UFOに乗って宇宙人とフルマラソンしたあと、歴史の狭間にて蠢く深淵なるものどもの存在を推理して見つけ出し、一緒に宴会をしてSAN値チェックテンションで大笑いしながら空の国に飛び立ち、みんなと天使の野球戦記を病院で見て、落ち葉を眺めながら明日の寿命はあと何日と呟く女の子を連れて宇宙戦艦に乗って滅ぶ前の星に行って転生生き返り装置を取り戻し、詩に戻る(※ 死に戻るではない)男の子を救ってハッピーエンドかと思ったら二人が抜け駆けして学園にて結婚式を挙げて、生まれた子供に童話を聞かせて二人のエッセイを読んでいたら成長して両親を失った薄幸の少女になっていたので私は彼女を鍛え上げて陸上選手としてオリンピック金メダリストにするべく鍛え」

「ストップ。よくわかった」



 魔法少女は働かない。

 日本は今日も平和である。

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