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『芋ケンピ』を両親が貰ってきたので世界を救ってくる  作者: 鴉野 兄貴
後日談。友人がVRMMORPGに誘ってきたのでリアルMMOに挑戦してみる

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Good day!(ごっつぁんでーす!)

「さっちゃん。このゲーム面白いから一緒にやろう」


 連載終了してから久しぶりに登場。大学生になった佐倉サチ。そして友人である英子と美子はスマフォ片手にゲーム中。


 女の子はあまりネットゲームの類にははまりにくいという。


 なんせ現実が忙しい。お洒落する。アルバイトをする。学業もある。

 友達と遊びに行くこともあれば部活もあるしサークルの付き合いもある。


 この上男の子と付き合うとなるとそりゃそりゃもう忙しい。


 仲間キャラクターと一緒に怪物みたいなのと戦ったり、コミュニケーションしたり特別なアイテムを手に入れたりとかは楽しいと言えば楽しいだろうが。

『わけわからない』

 この一言に尽きる。


 女の子はオトコノコほど暇ではない。


 お洒落とか友達付き合いのほうがゲームより時間を使う。


 長身でスタイルがよく性格も明るい英子はカッコいい彼氏がいるし、その正反対で小柄でかわいらしいが大人しい美子は男性が苦手なせいで彼氏はいないが異性に人気がないわけではない。

 二人とも何事も程々に楽しんで、青春を謳歌している。


『ネットゲームみたいなのどこが面白いのかあんまりよくわからない』


 サチの考えは逆にいえば人生が充実している証拠である。


『まぁ、パチンコみたいに延々と次は勝つと言ってさらに不幸になる。今の妖怪時計みたいに子供の射幸心をあおって関連グッズを親に買わせたり、いろいろ問題があるな』


 そうなんだ。Twitterの知り合いに指摘されていろいろ思うことはある。


『と、言うわけで今回は現実にゲームの中での努力が反映されるゲームを開発した』


 佐倉嬢がこの発言に気付くのは当面先になる。


「なんか、ものすごく体中が痛いんだけど」

「私も」


 なぜか全身筋肉痛。身体の弱い美子に至っては休むという連絡が。

「暇だしゲームしよう」

 英子の提案には特に反対する理由もないのでスマートフォンを出す。


『GoodDay』

 ……こんなタイトルだったっけ。まぁいいや。


「わんもあせッ わんもあせっ?!」

「ばぶっ?!」


 画面の中で筋トレに励む自分のキャラクターを見て噴きだす。

「どうしたの? さっちゃん」

「え、え~ちゃ? こ、これなに?」


 なにって。

 英子はスマートフォンを操作し、何事もないかのようにふるまっている。

 英子のキャラクターは何十人もの他のキャラクターと一糸乱れぬ動きで踊っていた。エアロビクスである。

「『ぐっど あんど でいず』略して『ごっつぁんでーす』だけど」

 略していない。そしてそんなタイトルのゲームじゃなかった?! 少なくとも昨日までは?!


「ポイントを貯めてガチャでオリジナルプロテインが当たるのよ」


 いやいやいやいや?! 思わず携帯を落としそうになった佐倉嬢。

「おっと」

 機敏な動作で英子はそれを拾う。大した反応速度である。

「ガチャにあたると現実世界で一ミリ背が伸びたり、ウエストを一センチ細くしたりできるね。身体能力もこの通り上がるわ」

「やります」


 是非もない。


 『ごっつあんでーす』のキャラクターの疲労や怪我はプレイヤーに反映される。回復魔法の回復量は低いが回復量がそのまま成長になる。

 程よく身体を鍛えて休めば超回復の要素があるのも現実と同じである。

「意外と楽しい」

 リズムゲームだったりダンスゲームだったり。そもそも運動がどこでもできるのは画期的だ。指を動かしているだけで全身に程よい筋肉疲労が襲ってくる。


「なんか腹筋がゾクゾクしてくる」

「効くわねぇ。さっちゃん。そのうちそれも楽しくなってくるよ」


 確実に身体能力が上がるのだからなおさらだ。これは楽だ。そう思う。

 無理な運動をすると怪我をするので程よくやらねばならないがどこでも全身運動と同等の効果があるため極めて便利である。

「世界ランキングとかあるのよ」

「やるやる」


「これはよくできているなあ」


 やればやるほど筋力がつくし、できなかったことができるようになっていく。ログアウトしなければ超回復ポイントが使えないのがもどかしいくらいだ。

 それだけではない。講義中に眠くならない程度には体力もつく。行動時間が身体能力の上昇とともに短縮されたのが自分でもわかるのが大きい。

仲間も増えるし皆気のいい人々ばかりだし。


「はまっちゃうかも」

「だねぇ」


 画面を見ると『本日からイベント』の告知があった。


 回復魔法の制限撤廃でいくらでも鍛えてガチャができるとのことである。


「超回復期間はあるにはあるけど、回復魔法と鍛えるのをいくらでも続けられるから超回復を無視してずっと遊べるって」

「おおおおッ?!!」


 彼ら彼女らは夜を徹してゲームをプレイした。


 睡眠? 回復魔法でスッキリだ。

 排便? 回復魔法に不可能はない。

 風呂? 回復魔法で身体は常に清潔だ。

 食事? 回復魔法がある限り空腹はない。むしろゲームの食事のほうが美味いし現実に反映される。


 気になる勉学。


 『単位』というスペシャルアイテムが配布された。偶然ガチャで手に入れた単位は『一〇〇〇〇』。


 佐倉嬢と英子は目をむいた。そんなにいらない。


「三つ買う?! ひとつ5000ポイント?! 買った?!」


 理工系の友人が飛びついた。


 通常の腹筋にして5000回だが、ドラゴンフラッグ腹筋なら2500回。上位レア技ボルーガフラッグならさらにその半分。複数の技、ボルーガ&アブソローテーション100&トーソローテーション100などなどの上位技コンボを決めればあっという間の話になる。

 筋トレは複数バランスよくやるモノなので、腕立て六種目コンボなどをさらに組み合わせれば一日で一単位修得などそれほど難しくはない。


「いくらでも買う!!!」


 理学部の友人は14単位ほしいとのこと。


「50単位売って?! 佐倉さん?!」

「余っているからいいけど」


 『単位』をアイテムトレードする佐倉嬢。歓喜する工学部の友人。


「でも、改めて一単位当たり5000ポイントを手に入れて消化しないと効果な」

「スペシャル技をガチャでゲットする!」


 なんでも『毎日50キロランニング』の上位技、『タフラマラ』を手に入れれば可能らしい。

 メキシコのカッパーキャニオンに住む実在の民族で、老若何女問わず100キロ単位の走行を日常的に行える民族だ。怪我もしないし鬱にもならないらしい。およそ現代人がかかる現代病とは無縁とも言う。


 しかし。佐倉嬢が何かを言おうとするより早く。


「佐倉さん。単位百コ持ってない?!」

 物理科の友人が述べており。

「『タフラマラ』あっても無理なのでは」

 友人の将来が不安である。


「『ステロイド』をゲットしたからたくさんポイント手に入った!」


 たまる一方の二人のポイント。あまりの量に二人は少々引いていた。


……。

 ……。


『昔の人はネットゲームなんて知らなかったから、はまりに嵌って気が付いたら四〇歳だったとかあるみたい』


 信じがたい。


 でも今の子もスマートフォン依存症な子がいないわけでもない。射幸心といって幸せになりたい気持ち、他人より幸せになりたい気持ちは誰もが持っているが。画面に出てくる知り合いの言葉に頷く二人。


『ネットゲームの世界なら一番になれるっていって現実をあきらめちゃうんだな。そのほうが楽だから』

「うわ~。きっつい」


 英子がその発言に続く。


 教師になろうと思ってたら四〇歳とかちょっと嫌だなと漠然と思う。でも、ちょっと遊ぶのは楽しいよね。


『射幸心って恐ろしいんだぞ。パチンコ依存症は言うに及ばず、妖怪時計みたいな商法の危険も前に言ったっけ? あとSNSの更新を見て自分がある一定の地位にいると確認できないと眠れないとか。作家志望のワナビだと人間をアクセス数でしか測れないとか』


 で。


 佐倉サチと英子はつづけた。


「身長が二メートル超えちゃったんだけど」

「ムキムキで男の子にしか見えないんだけど」


『俺は結構イケ』


 身体能力の高いニンゲンはたとえボクササイズ程度に軽く殴っても凄い破壊力とスピードを持っている。二人が構えたのでその男は発言を控えた。



 『単位』需要で大量にもたらされたポイント。

 それをアイテムや技などに使わなかった影響。


 その膨大な消費カロリー分の運動負荷と魔法による超回復効果は一夜にして二人の容姿を激変させていた。


『レアアイテム。ステロイド剤は効果はデカいが極めて危険だからな。寿命も減る。そんだけ運動したポイントを付与されたらそうなるかも』


 ちょっと運営間違えたかなぁ。そう続ける作者に。


「もとに戻してください」


 二人は切実に訴えた。


 翌日。

「夢か」


 手を見てみるといつもの小さな手のひらだし、タコだらけでもない。

 身体は昨日までと打って変わって信じられないほど重いし、眠いしだるいし、瞼は乾き気味。学校の勉強は残っているし、今日は大学に行かねばならない。


 今日は早めに出かけよう。朝食を口に入れ、歯を磨いて靴を履く。


『教師って三年で成長が止まるんだそうだ。理由はコーチングの技術を磨きつづけることができず、あとはルーチンワークになるから』


 そうなんだ。Twitterに返事。


『だから、最近は各学校で連携して優れたコーチングを動画で共有したり、生徒たちがそれを選んだりできる試みがなされている』


 ふうん。


『将来的には経験そのものを知財として販売できるかもしれないけど、今は自分で自分を磨かないとね』


 そんなことはわかっています。


 彼女は携帯を仕舞い、大学に向かう。



 良い日々を。

 参考資料(一部)

 Wikipedia日本語版

 『射幸心』の項


 TED日本語(デジキャスト版)

 ビル・ゲイツ:『教師へのフィードバックでもたらせる変化』

http://digitalcast.jp/v/17192/

 クリストファー・マクドーガル: 『人類は走るために生まれたのか?』

http://digitalcast.jp/v/11700/

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