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『芋ケンピ』を両親が貰ってきたので世界を救ってくる  作者: 鴉野 兄貴
芋ケンピを両親が貰ってきたので世界を救ってくる
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悪夢

 佐倉サチはいつものように目を醒ました。

 お母さんが活けた可愛いお花の出窓にはお父さんがくれた『象とうわばみ』の縫いぐるみ。『星の王子さま』のキャラクターで、可也可愛い。

 お母さんの活けたお花の香りは、舌に乗って甘い。

 窓を開けると爽やかな風が彼女のパジャマを揺らす。今日もいい日になりそうだった。

「助けて。サチ」


 サチの携帯が鳴り響き、それを何気なく手に取った彼女の耳朶に友人の声が聞こえるまでは。


栄子えいこ? どうしたの?」

「誘拐されたみたい。今すぐきて!」


 大変だ。警察を呼ばないと。サチは両親を呼ぼうとしたが。

「友人の命が惜しければ今すぐ来い! 警察を呼ぶなよ」

 機械のようなガラガラ声に阻まれた。

「お母さん。ごめん」

 手早く着替えたサチは、念のため何処に行ったかを示すメモを机の上に残すとカーディガンを羽織って駆け出した。

「あれ? サチ。お出かけ?」

「うん」

 特に母には言うなと言われている。

「でも、書くなとは言ってないもんッ」

 サチはそう呟き、近所の廃ホテルに自転車を走らせた。


 廃ホテルはサチの思い出と大きく異なっていた。

 異臭を放つ施設、風とともにガタガタと音を立てる壊れた遊具のウサギの像にサチの脚が震える。震え、恐怖にクラクラする頭を抑えて建物に入ると、あちこち砕けたガラス、暴走族が書いたと思しき落書き、砕けた家具。


「ここに。栄子がいるの?」


 何処からかガスの洩れる臭いがする。その異臭も今のサチには恐怖が勝る。ゆっくりと探索を始めるサチ。何処からか栄子の声が聞こえた。

「栄子ちゃん?!」

 サチは駆け出すが、瓦礫を踏んでしまって転ぶ。

『痛ッ』

 膝を押え、足を引き摺りながらその部屋に飛び込んだ。


「栄ちゃん!?」

「サチ! 助けてッ?!」


 乾いた空気。埃っぽいその風の味。

 砕けた窓の上から廃ホテルの光景が見える。


 ボロボロの部屋の一室に唯一残った鉄のパイプで出来たベッドに友人の栄子が縛られてる。必死で彼女を助けようとするサチだが、その縛られた縄は硬く、栄子とサチの汗で縄は滑る。


「サチ。栄子のことはほっておきなさいよ」


 知り合いの声。助かった。


美子みこッ?! 一緒に栄ちゃんをたすけてあげてッ!」


 部屋に現れた少女に助けを求めるサチ。


「みっちゃん?」


 美子のにおいは、いつもの柑橘系の消臭剤の香りではない。もっと、もっと生臭い。舌に絡みつく。

「血の、臭い?」

 くすりと美子の口元が笑みの形になる。

「じゃまなのよ。栄ちゃん。私達の仲を邪魔しないで」

「うそ……」


「ホント♪ 他にも邪魔な人たちには、消えてもらったから♪」

 美子は微笑み、包丁を振り上げる。

「私か、そいつを選んでよ」


 ありえない。サチは首を振った。必死で栄子の縄をほどこうとする。

「え~? サッちゃん。そいつを選ぶんだ」


 ゆっくりと瓦礫を踏みしめる音。近づく血の香り。急がなきゃ、栄子を助けないと。サチの口に涙と鼻水の味が広がる。震える手はおぼつかず、縄を解くに至らない。

「美子ッ! 正気に戻ってッ! 私達仲良しでしょ?!」

「そうねぇ。じゃあ栄子ちゃんに選んでもらおうかなぁ」

 振り上げられた包丁が視界に広がる。


 胸に熱い衝撃。

『刺されたんだ』

 抜こうと伸ばした手に広がる刃の傷み。どくどくと溢れる自らの血を見ながらサチの意識は墜ちていった。


「夢。なの?」


 サチは目を醒ました。乾いた空気。埃っぽいその風の味。

「よかった」

 砕けた窓の上から廃ホテルの光景が見える。

 サチのベッドは、夢の中で栄子が縛られていた鉄のパイプで出来たモノだった。


 悪夢は再び。

(原作プロット)

 友Aが誘拐されて助けに行ったら主犯が友Bで、私は悩みながらもAを助けるって選択したらBが殺すよう部下に言ったんですよ!で、逃げるんですけど、追い詰められて殺られる!てなったら起きました!子供っぽい夢ですみません;;

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