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『芋ケンピ』を両親が貰ってきたので世界を救ってくる  作者: 鴉野 兄貴
芋ケンピを両親が貰ってきたので世界を救ってくる

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何かが起こるよ(Sing Sing Sing)

 Sing Sing Sing はジャズの名曲だが、日本人が聞くと『何かが起こるよ』と聞こえる。

 通称。『ウっちゃん』は某N遊園地に向かうバスの途中。

「き、き、気分が悪い」車酔いになっていた。


 なぜバスというのは楽しいときは楽しく、ダメなときはひたすら気分を害するのか哲学的な思考を開始したうっちゃん。

「気分が悪い」

 思わずTwitter。なぜに電子画面。寝ておきましょう。


 級友の佐倉嬢から「大丈夫?」と心配のツイート。ちなみに同じバス。そこに「遠くを見ると気分がよくなるぞ」と謎のツイートが入った。


 あれ? 最近友人のフォロワーをフォローしたのは覚えている。

 不可思議なことは別にからむつもりがなくてもちょっとした発言に絡んでくるうっとおしい人物だったこと程度で。

「ナニコレ? 誰のツイート?」

「見ちゃダメっ?!」


 級友の声が耳に入った。今度はTwitterではなかった。


「……」


 次の瞬間。バスの窓から見えたものは。

「アレ? 今変な飛行機見えなかった?」

「遅かった」

 佐倉からのツイート。


「なに? 意味わかんない」

「あの人のツイートは今後無視したほうがいい」巻き込まれると謎のツイート。

 佐倉嬢が何をいっているのかわからない件について。


 バスの窓から一瞬見えたもの。

 飛行機にしては蛇の首みたいなものがあって、蝙蝠みたいな翼をもっていたが。

 というか、このバス、急に揺れがなくなってないか?なんかもやかかっているけど。


 ツイートを送ってきた友人のほうに視線をやると。


「ナガシマスパーランド」

 美子のつぶやきに。

「ドラゴンだっ!」

 英子が叫ぶ。

「はははっ 英子の負け」

 しりとりしている場合か。英子。美子。佐倉嬢。


 いや、あれ、美子じゃないけど確かにドラゴンに見えたよ。というか、このバスなんか揺れていないし。

 靄って。これホントに靄?!


 靄が晴れた。

 うっちゃんの視界にひたすら広がる青い青い光の空。


「ちょ? みんなっ 外っ!? 外っ?!」


 何故か皆気が付いていないらしい。

 うっちゃんの乗るバスの隣を巨大なドラゴンが平行して飛ぶ。

「カート」

 美子がつぶやく。

「飛んでるっ 飛んでるっ??!」

 栄子だけが気づいているらしい。

瑠璃るり

「ドラゴンっ?! みんな?! ちょっとまった? 竜っ?! 竜っ」

鵜飼うかい」

 しりとりではない。佐倉嬢。ちゃんと友人の話を聞くんだ。そして窓の外を見ろ。


 ドラゴンのそばを翼をもった乙女や青年が飛ぶ。

 竪琴やギターのような楽器をもって歌い、踊り、舞う。

 彼らは空飛ぶバスのそばで歌い、舞い、やがてうっちゃんに投げキスをすると空の彼方に去って行った。



「起きろ。ついたぞ」


 バスから降りたうっちゃんはやっと車酔いから解放され、胃を抱えながら外に出た。


「変な夢見た」

「そういう日もある」


 友人たちは特に追及はしなかった。

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