外の世界へ飛び出しました
あくる日の朝、俺は結界に触れる位置に立っていた。ここに来たばかりの時は見えない壁がある程度の認識しか出来なかったが、今ならこの結界をどう解けばいいのかも、そのための魔法の使い方も手に取るように解る。この二、三日のうちに世界の見え方ががらりと変わった。
「どう、大したことないでしょ、この結界」
と神様がいう通り、この程度の結界、魔法さえ使えれば簡単に解けるだろう。そして勿論張る事も。魔法が使えない事に驚いていた神様のいるこの世界、動物除け程度に張られたものなのではなかろうか。
「これくらいは自力で解けないと外に出てから困るだろうし、これは試験みたいなものかな。さあ、やってごらん」
と促され結界を解いた後、
「ふーん……。あっ、うまくいったね。じゃあ、行こうか」
暫く黙っていたので何かと思っていると、神様がそう言った。
「あの、ついて来るんですか」
「まあね、一緒に行かないとは言ってないし。もしかして嫌だったりする?」
「いや、そんなことはなくて、むしろ心強いと思いますけど」
今まで送り出されるだけだと思っていたが、神様は外まで一緒に来てくれるらしい。
神様が暮らしていた家もあるので結界を張りなおすと、俺は召喚者の居そうな方向へ歩き出した。召喚失敗の影響で中途半端に残ってしまった繋がりを辿って行けばいい、と以前神様が言っていたからだ。しかし、
「そっちに行っても森の奥深くまで入り込むだけだよ。まずは道に出ようか」
と言われ、まずは神様が歩き出した方向へ進む事にした。落ち葉と木の根があるだけでそこまで草も生えておらず思ったより歩きやすい。と、そこへ狼のような生き物が現れた。狼は群れを成すと聞いた事があるが一匹しかいない。
「魔物か。とりあえずあれを魔法で倒してごらんよ」
と神様が言ったのであれは魔物らしい。そんなことを考えていると、その狼のような魔物がこちらへ襲いかかって来たので、慌てて衝撃波を起こして魔物を弾き飛ばした、つもりだったが。
「すごいね、一撃でここまでやるなんて。ただ一匹の魔物にここまでする必要もないんじゃないかな」
と神様がいうように、魔物は木っ端微塵になり、その先の木々も薙ぎ倒されてしまった。そして俺は俺で魔力を思いっきり消費したせいで疲労困憊、油汗が止まらない。襲い掛かって来られた焦りもあり無駄に威力を出してしまった。
「まったく、魔力に余裕があるならまだしも、これじゃ避けられたらおしまいだよ」
「すみません……」
魔力は神様が回復させてくれました。分けてくれたと言ったほうが適当かもしれない。
暫くすると道があったが、その付近は藪になっている。
「道があれば木がない。木がなければ光が届く。藪はその結果で別に人がそうした訳じゃないよ、どうせなら魔法を使ってみたら」
と神様に言われとりあえず火の魔法を使って藪に穴を開けた。魔法を使うという選択肢がぱっと出てこなかっただけだったが、神様には躊躇っているように見えたらしい。
そうして道へ出た後、火事にならないように藪に水をかけてから先へ進んだ。焦りさえしなければ後始末まで魔法で出来るのだ。便利なものである。
魔法を教わり、それを実際に使って、行動範囲の制限が無くなったり初めての敵と対峙したりと、この話まではゲームでいうところのチュートリアルステージみたいな位置付けです。チュートリアルで敵を一撃で葬ったりはしないでしょうが。




