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世界終末時計あるいは祈りの果て

作者: 秋葉竹


 


なんびゃくねんも

生きられないのは

ひとだからでは無くて

生物というものは

そういうものだからだ


宇宙のはなしのなかで

何億年何十億年とかいう歴史がかたられる


のは過去のはなしだからべつにいい

その歴史のうえに立つわたしたちがいるから


ただ地球は何億年後には

こうなっているとか

もっと身近なはなしなら

何万年後には

こうなっているという未来のはなしがある

何万年後

地球はいまとあまり変わらず

存在しつづけているのだろうか

だれにもわからないだろうが

何万年後

ひとは

生存していられるだろうかという問いには

無理だろうと答えてしまうかな

わたしなら

何億年

何千万年

何百万年

何十万年

何万年もむかしから

生物は産まれて生き

生き

生き

生き

生きつづけて来ただろう

そしてひとも何十万年かむかしに

その祖が産まれた

そして何十万年か経って

ちいさな進化を遂げて

進化をつづけて

つづけて

つづけて

裸でなくなり

陸上を足で歩かなくてよくなり

海上を泳がなくてよくなり

あまつさえ

空まで飛べるようになり

さらには宇宙をゆけるようになり

月までたどりついたのは

西暦1969年という年

それから何十年経っただろう

もはやこの世界では

架空の空間に架空の世界をつくりあげて

その架空の世界を行き来できる術を

簡単に可能にした

あと

何十年経てば

どうなるだろう

あと

何百年経てば

どうなるだろう

あと

何千年経てば

どうなるだろう

無数にあるほかの星へ

その居住空間を広げられるだろうか

『銀河帝国』や『地球連邦』は

つくりあげられるだろうか




曲線だと感じるのだ


地球の歴史を

縦軸を進化

横軸を年数

としたグラフをつくったとして

ぜろからいまにたどり着くまでは何十億年

ほぼ横ばいの直線にみえる一直線の線

それが引かれているようにみえる

そして最後のひとマスで

進化度数が突然縦軸何十億を指す

直角のような曲線


イメージできるだろうか


なら

直角にあがったその線は

いくらでも上には伸びてゆくだろうが

右横には伸びることが出来ない

右横に伸びられないということは

それ以上時間が前に進まないということで

そこで歴史は終わるのだろう


それは地球の歴史ではなく

むろん

宇宙の歴史なんかでは到底ないにしても

少なくとも

ひとの歴史はそこで終わる


感じざるをえない

そんなグラフが想い描かれる

逆ナイアガラの滝のような

怒涛の終末がやって来る未来

を示唆する極端な曲線グラフ


たぶんおそらくこの時代に棲む

ほとんどのひとが感じている

終末の未来の予感


そしてけれどもひとが滅びたとして

地球は回りつづけるし

宇宙は膨張しつづける


そしてこれは

わたしは宗教的に信じているのだが

宇宙が存在するかぎり

わたしたち知的生命体は滅びない

なぜなら

知的生命体がこの宇宙に存在するための

大いなる奇跡

それは全て宇宙の企みだからだ

という教義の

宗教


宇宙は孤独である

じぶんひとりしかいないのだから

じぶんひとりしか感じられないのだから

そして

その孤独に耐えられず

じぶんを知っている存在が欲しくて

欲しくて欲しくてたまらなくなり

じぶんに気づける『ひと』を創りあげた

それがわたしたちなのだ

いう神話のような宗教のような真実のような


ならば

だからわたしたちは滅びないのか

わたしたちはこのまま

宇宙の希みどおりに

奇跡のような存在になって

存在しつづけることが出来るのかもしれない




そんな

夢をみた


今夜

雨が降っている


この雨は

酸性雨という雨だろうか


そんなことも知らないまま

ひとの絶望を想い描き


ちいさな救いのような

夢のなかで生きている


それがたったひとつわたしたちに許された


祈りの果ての希望なのだろうから








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