希望・カウンセリング
歯医者さんへ行くと治療の希望を聞かれ、場合によってはカウンセリングを受けた経験がみなさんもおありだと思う。
例えば問診票の質問欄に
「今日はどうされましたか?」
「治療のご希望はありますか?」
と書かれていたとする。
みなさんはその通りに
「歯茎が腫れている。」
「歯が揺れるせいで、痛くて物が噛めないので抜いて欲しい。」
「虫歯を早く治したい。」
「歯を綺麗にしたい。」
「痛いのが苦手なので、痛くしないで欲しい。」etc.
このように、症状や希望を記入すると思う。
その後、お口の悩みについて歯科医師や歯科衛生士に相談をし、実際にお口の中を確認され、治療のご提案やご説明があるはずだ。
これは歯科治療を開始するにあたり、とても重要な作業で患者さんとの擦り合わせだ。
どちらに意見が偏っていても上手くいかないのは明白であり、先生との相性も大切である。
同様に、私たち歯科衛生士もクリニックや院長先生との相性がとても重要だ。
特に常にチームワークを要求される身近なスタッフとは、上手く連携が取れていなければスムーズに治療が進まない。
そして幸か不幸かここは「圧倒的女子の世界」なのだ!
だが、就活においてクリニックの内情を知る機会は「噂・検索」「見学」「面接」に限られてくる。
狭い業界なので噂や歯科衛生士繋がりで内情を知ることもあるが、大抵はどんな人が働いているかわからない。
仮に患者さんとして通っているクリニックがとてもいい雰囲気で、就職したいと憧れを抱いたとする。
「綺麗だしここで働いてみたい!」
「先生も優しいし、歯科衛生士さんも受付の人もいつもニコニコしていて素敵だなぁ~♪」
…と、こんな風に患者さん視点でいつも感じていても、裏の現実は違うのだ。
就職、あるいは実習生となり実際に働いてみると、あの優しいと思っていた院長は常にスタッフに高圧的で物凄く怖かった…などよくある。
スタッフはスタッフで、裏で患者さんや同僚の悪口を言ったりしている。
患者さんのカルテを勝手に選別し、熟練度が要求される作業や難易度の高い、要は「面倒臭い・大変な治療」を弾いていく。
そして弱い立場の歯科衛生士に全て押し付けて、挙げ句、作業スペースや死角となる場所でサボっていたりする。
悪気はなくても運悪くお局様のご意向に逆らうと、次の日から誰も口を聞いてくれなくなったりする。
故に、実習中に心が折れて実習継続できなくなり、それを理由に辞めてしまった同級生の子もいたほどだ。
更には
「あの子○○校出身なの?だから使えないのか~!納得www」
「マジでウケるから、アイツにはこのままあの作業やらせようよw」
「ウチら院長から気に入られてるし、あっちのグループにあの仕事押し付けても平気っしょ!」
「アイツ逆らうなら、明日から面白いことになるけど、どう?みんなでやろうよwww」
など、ディスリ大会、いじめ、派閥結成と、まるで白衣の下には特攻服でもお召しになられているのかと思うような女子も五万といる。
まさに「戦場」なのだ。
ディスバイオーシス歯科が実際にあるのだ…。
細菌叢崩壊のような劣悪な状態など、本気で口の中だけにしくれと思う。
なぜなら、口腔内なら治療法が確立されているからだ。
(ディスバイオーシスとは、簡単に言うと細菌叢のバランスが崩れて、悪玉菌が優位になっているような状態のことだ。口腔内細菌や腸内細菌、腸内フローラなどと検索すると見つかると思う。)
歯科業界に限ったことではないのかもしれないが、実際に働き始めてみたらドブラック!という場合もある。
田舎に行くほどそういうクリニックは多くなるのかもしれない。
そして、ど正論であったとしても問題を起こして辞めたら最後。
院長同士でお繋がりがある場合、履歴書を送ると…
「あぁ、その子ね。ウチで働いてたけどヤバイよw」
その一言で採用はなくなる。
大袈裟かもしれないが、院長のご機嫌を損ねることは死を意味する。
事実とは異なる場合であっても院長からのその情報が相手方に伝われば、無実を証明する機会など与えられず、秒で不採用になってしまう。
クリニックを辞める時には何があっても
「絶対に汚名を着せられてはならない!!」
これが歯科業界における退職時のお作法、鉄則だと私は思う。
実際に現場でこれを目にした私だからこそ、はっきりとそう言えるのだ。
技術職であるとはいえ、こんなドロドロした質の悪いプラークみたいな場所にいたら、酸欠になり嫌気性菌に侵されて、離職率・未就業率が高くなるのも納得がいく。
歯科において私たちが戦うべき相手は「口腔内」に存在しているのに、一緒に戦場に向かう仲間をどうして攻撃するのか本当に意味がわからない。
その戦うエネルギーを同僚に向けるなど本末転倒だ。
歯科の就職においても「希望やカウンセリング」を実施してくれるのであれば、私はこう即答するだろう。
「仕事や治療だけに集中できるクリニックを希望します。絶対に痛くしないで下さい。」と。