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結星門の巫女  作者: 安田座


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6/26

6:謁見

 

 巫女三日目です。 今日はお城へ行く予定らしい。

 そうです、王様に謁見する日がとうとう来てしまったのです。 とうとうって言うか、そういう人が居るのとかあんまり考えてなかった。さらに、こうゆう場合のマナーも何も知らないのだけど、まぁなんとかなるかな~。神殿長も、けっこうそんな感じの人だったし。はぁ~。

 でも、お城にある音楽堂にも入れるみたいなので、それがとても楽しみなのです。

 あ、ちなみにこの王様と言うのは、この星にある国の一つの国の王様で、星の代表と言う訳でも無いみたいです。侵略者の結星門があるから、現状この国のみが対処してる感じ、過去もそうだったみたい。

 それで、王様に挨拶した後は、音の聖騎士様に合うのです。なんてったって、居るのが音楽堂ってことなのです。きっとすごい音楽家とかよね。違うかなぁ。 この流れだと音楽関係ないじゃんとか落ちが来そうな気もしつつ、勝手に考えながら呼ばれるのを控室で待ってます。

 しばらくすると、コンコンコンとドアノッカーの音が響く、そしてカラナさんの声が聞こえる。来た。

「高橋様、馬車の準備ができました」

 ああそっか今日は馬車なんだ……え、馬車? 馬もそうだったけど、馬車も乗ったことないというかメリーゴーランドちっちゃい固定のくらいしか知らないですよ。

「は、は、はい、すぐに参ります」

 シートベルトをさせられてすっごい速さで走るとかだったらやだなぁ。 それだとメリーゴーランドのイメージさえ無いじゃん。


 カラナさんに案内されたのはホテルの車寄せみたいなところで、馬車が止まってた。 確かに馬車だ、四頭立て?で、王室御用達みたいなやつ。すごい綺麗でかっこよさげ。

「かっこいい」

 つい口に出た。

 声が届いてはいないと思うけど、馬車の横にいた燕尾服のおじさんが扉をあけてお辞儀してくれた。

 待たせるのも申し訳ないのであわてて近づく。

 近づいてそのまま乗り込もうとステップに足を掛けたところでおじさんが慌てて手を貸してくれた。すいません、がさつで……。

「ありがとうございます」

 お礼を言って乗り込む、中には誰も居なかった。大人六人くらいは余裕で座れそうだけど、後方の窓側にくっつくように座る。

 おじさんはわたしが座った事を確認したのか扉を優しく閉めた。

 すぐに馬車がゆっくりと動き出す。 エンジンの音とか当然無いですし、馬の足音?はうるさくもなく、意外と心地よいです。

 窓から見える景色はとりあえず昨日と同じ、ゆっくりと眺められるのはこれはこれで良いかも。

 畑を横目に進み、白い住宅地の方には行かずに進むとお城が見えてきた、洋城みたいだけどあまり屋根がとんがって無いかな。詳しくないからイメージですが。ほんとわたし知識がとぼしい……。

 しばらく進むと別な住宅地、これは城下町っていうのかな、に入った。 今走ってるのは、けっこう広い道で、車線は区切って無いけど、一定区間で旗が立っているのが中央の記しかな。

 人の往来が多いのは、お店がたくさん並んでいるからだろうか、行く機会があるかは分らないけど、ぜひ覗いてみたいです。あ、お金無いや、そういえば巫女のバイト料みたいのあるのかなぁ。


 お城に着くと早速大人数でお出迎えされ、わらわらと王様の前まで案内された。ちなみに皆女性で、神殿のカラナさんの格好に似ているけど、顔を少しベールみたいなので覆ってた。

 広い、まさに広間、豪華な絨毯とあちこちにある装飾、柱も神殿のもそうだったけどギリシャっぽいかも。

「ようこそ我が城へ。

 わしが国王のサザムーアじゃ」

 王様は、王冠とかはかぶって無くて、夏だからか着こんでもいない、ただ少し段が上の場所に大き目の椅子に座っている。 少し太り気味なのは貫録を見せるためとも思えた。 年齢五、六十くらいだろうか。

 そして、左右に従者の方々が整然と並んで控えている。

「高橋舞子と申します。

 まだあまり多くは目にしておりませんが、すばらしいお国ですね」

 傅いてから答える。

「お褒めの言葉、嬉しく思うぞ。

 わしもそう思っておる。

 ぜひ、侵略者から守るのに力を貸して欲しい」

「お力になれる様に頑張って勉強します」

「まぁ、そんなに力を入れずともよいですぞ。

 巫女様にはなんの責任もございません。我らがただ頼るだけですからな。

 ご自分が危険にならないことを第一に気を付けてください。

 もちろん我々は全力でお守りいたします」

「ありがとうございます」

 なんだろう、王様もそうだけど、これまで会った人達、どうも危機感を感じられないのは戦況が良いからなのかな。 被害者も出てないみたいだし。

 本当にわたし必要なのかな? 歓迎されまくりだし、今のところ、観光気分になってないかと自問してしまう。

 でも、皆さん、きっと気を使ってくれてるのも間違いないから、今は自分にできることを頑張ろう。

 その時、王様に横に立っていた人が何か耳打ちした。

「お、そうか、これから音の聖騎士殿と面会があるのじゃな。

 せっかく、別な星の者と話せる機会は名残惜しいが、

 限りある時間、わしの様な座ってるだけのじじいの相手に使うのは申し訳無い。

 ほれ、音楽堂へ案内して差し上げなさい」

「では、こちらへ」

 一番近い女性が声をかけてくれた。

「舞子さん。 戦が終わってからになるが、いずれゆっくりと話をさせてもらえるかね?」

 王様は、終始笑顔だったが、この時は少しだけ素になってた。 戦争がどうなるかを明確には言えないのだろう。

「はい、ぜひ。

 では、サザムーア王、失礼いたします」

 少し、下がり気味に離れてから女性に付いて行く。

「幸運を祈っておるぞ」

 少し離れてから、そう聞こえた気がした。


 音楽堂は、お城とは別な建物で連絡通路を使って移動する。

 歩いてる時に窓から見えた感じではかなり大きな建物みたいだった。

 中に入って、ホールなどの横の廊下を奥に進むと螺旋階段があってそこを上って行く。 意外と遠い。

 一番上につくと扉があって、案内してくれた方は躊躇なくノッカーをトントントンしてから声を掛ける。

「ミュークラウン様、巫女様をお連れいたしました」

「ああ、ええとぉ、下のホールで待っててもらえるかい」

 と声だけ返ってきた。 少しイントネーションがおねぇっぽいような。

「承知いたしました。

 高橋様、申し訳ございませんが、一階のホールにてお待ちいただいてもよろしいでしょうか?

 先にわたくしが聞きに上がってくるべきでございました。重ねてお詫び申し上げます」

「ああ、ぜんぜん大丈夫ですよ。

 じゃ、下りましょう」

 本当に大丈夫ですけど、あまりしつこく言うと逆効果よね。

 すぐに元気な風に下りる。 これも演技っぽいけど、いいよね。


 ホールには、待合用のテーブルセット等が並んでいて、窓に近い場所を自分で選んで座る。 いちおうそこでいいかは確認してオーケーはもらっている。

 窓を少し開けてあって、そこから入ってくる風が気持ちいい。

「来られたようです」

 そう言われて、辺りをあたふた見て、思い出したように階段の方を見た。 あら、誰もいない。

 横から空気の流れを感じて振り向く。

「お待たせして申し訳なかったわね」

 細身の男性がお辞儀した姿勢で立っていた。

 鎧は着ていない。あ、左腕だけ着てる?籠手っていうのかな。 まぁ、でもそうよね、戦うわけでも無いのに着ないか……な?

 試着の時、ガンドレルさんが鎧を着ていたのは、神殿の警護中だったからなのかな。なるほど。

 で、緑のラメの入った半袖シャツは胸元のボタンを外してる。 ズボンもぴっちり系で紫のラメ入り。

 年齢は二十代後半くらいかな。

 見た目だけなら、今のところ、ちょっと苦手なタイプかも。話し方はまぁなんとか。

「では、わたくしはこれで」

 案内の人が去って行く。 もう少し居て欲しかった。

「ありがとうございました」

 お礼を言いつつ目で訴えてみたけど、気付いてもらえなかった。 いや、実はこの人から逃げた?なんてね。

「ファンタレスちゃん、案内ご苦労さんね」

 ミュークラウン様が手を振りながらねぎらう。 ちゃん付けって、ううむ、やっぱりちょっとちゃらい系なんじゃ。

 そして、目の前の椅子に座って向かい合う。

「よく来たね。

 わたしはミュークラウン、音の聖騎士って事になってるの」

「高橋舞子です。

 巫女って事になってます」

 あ、あんまり考えもせずノリで返してしまった。

「おや、あまり機嫌がよろしくない?」

「あ、いえ、そういう訳では、ちょっと緊張して地が出たと言うか」

「ほう、面白い子だ~」

「は、はあ」

 地を面白いと言われた。うが~。

 ああ、掴みに失敗したお笑い芸人の気分。たぶん全然違うだろうけど。

「あなたの役目は知ってるわ。

 わたしはたぶん大丈夫よ、彼のこと大好きだからね」

「彼……です?」

「ランデットくん、風の聖騎士よ」

「仲良いんです?」

「それがね、ランデットくんはちょっと冷たいのよ」

「はい?」

「だから、あなたにぜひ取り持っていただきたいの、ねっ」

「はい? ええと、そうですよね。 役目ですもんね。

 それで、ランデットさんが冷たいって、理由わかります?」

「よくわからないの。

 だから、あなたにぜひ取り持っていただきたいの」

 重ねて来たってことは、このまま問答してもエンドレスかも。

「わかりました。

 では、ランデットさんとお話してみます」

「わぁ、助かる~。

 それじゃ、まだ時間あるから、わたしの演奏聞いて行く?」

 おお~、やっぱり音楽の人なのね。

「あ、聞きたいです。

 お願いしてもいいんです?」

「もちろんよ、では……」

 その時、左腕の籠手が変形してバイオリンの様に変わった。 弦は無いけど、弦がついてそうなあたりには小さな隙間が見える。

 そして、右手には短剣を持っている。 短剣じゃないかも?

 右手を胸の方に寄せて、弦のありそうな位置に短剣を移動させると音が出た。 なんとなくキラキラと紫の小さな光が舞ってる様にも感じた。

 管楽器の様な音が響く、メロディーも綺麗、何これ、不思議、気持ちが落ち着く。

 五分ほどの曲だった。 すごい、本当に感動した。

「どうだったかな?」

「とても素敵でした。

 称える感想が出てこないくらい、すごかったです」

「この戦心装備のおかげだけどね。

 音波ってわかる?楽器の端から出てるんだけど、それをこの音剣で加工するのよ」

「なるほど、全くわからないですけど、すごいです」

「可愛い感想ができるじゃない。 ありがとう。

 さて、表に馬車が着いてるから行きなさいな」

「はい、ランデットさんと仲良くなれる様に頑張ってみますね」

「頼りにしてるからね。 ばいばい」

「では、また来ますね~」

 ランデットさん、風の聖騎士、風だしふわふわな印象の名前、騎士相手にそれはなんとなく失礼か、どんな人なんだろ。



 家に向かう帰り道、送ってくれている颯矢さんに聞いてみた。

「ランデットさんってどういう方なんです?」

「なんで俺に聞く?」

「聞かない方がいいんです?」

「そういう訳じゃない」

「じゃ、教えてください。

 向こうで聞いてる時間無くて……」

 そう、向こうでの時間が無いのだ。

 実質二時間の枠でも、着替えと待ち時間と移動時間だけで半分以上なくなるし、とにかく慌ただしい。

「真面目なやつだ」

 わたしのこと? いや、ランデットさんのことを答えてくれたんだ。 でも、それだけ?

「ランデットさんのことですよね? あの、他には?」

「会ってみればわかる」

「それはそうなんですけど、その前にちょっと考えたいことがあるんです」

「真面目な人間は苦手か?」

「はぁ~。

 他に、やさしいとか、綺麗好きとか、力が強いとか、ないんです?」

 ちょっと溜息。 

「やさしいな」

 う、ああ、これもわたしでは無くランデットさんのことを答えてくれたんだよね。

 これでは、質問が悪いのか、参考にならない。

「あっ、ええと、こっちの友達とかに相談しちゃだめですよね?」

 そしてこれも気になってた事も聞いてしまう。

「かまわんだろ」

「そうですよねぇ……えっ? いいんです?」

 なんですって? もっと早く聞けばよかった。

「ああ、だからかまわんだろ?

 それとも、向こうでダメと言われたのに聞いたのか?」

「そういえば、言われて無いかも?」

「お前の判断で決めればいい。

 話したやつが面白半分に吹聴しても、世間の笑いものになるだけだと思うがな」

「確かに……でも相談したいのは、あんまし世界観的なの関係無いのよね」

「なら、尚更好きにすればいい」

「それで、もしもですよ、向こうの世界にも連れて行くとかいいのかな?」

「それも同じだ。

 ただ、祈心装備は造られないだろうから神殿内に留まる事になるだろう」

「それがあったか。 でも行くのは良いんだ」

 別な意味でそれがあったか、あの姿見られるのは躊躇しちゃうかも。 う~む、まぁコスプレと思えば大したことないか、笑われるだろうけど……ん? 先に颯矢さんのかっこ見ればわたしの姿なんて可愛いだけじゃん。

「そういう風に言われると俺が許可を出した様になるから、先に神殿長には話を通せよ」

 おっしゃる通りですが、言われなくても先に聞いとかないと連れて行くときにびくびくですよ。

「ご迷惑はお掛けしない様にしますね。

 答えてくれてありがとうございます。

 明日、神殿長に聞いてみます」

「いや、答えるよ、こっちが協力をお願いしてる立場だ」

「それもそうですけど、嬉しいから、ありがとうございます、です」

「勝手にすればいい」

「そうしま~す。

 あの、今更ですけど、もう一つ聞いてもいいです?」

「なんだ?」

「あの日の朝って、どうして助けてくれたんです?」

 ほんとに今更だ。

「あんたが困ってそうだった」

「巫女だと分かったからじゃないんです?」

 これ、ちょっと思ってしまうのよね。

「関係無いが、巫女かもしれないとは近づいた時にすぐに思ったよ」

「そうですか、ありがとうございました」

「その件での礼はもういい。 それに忘れた方がいいぞ。

 それに、今思えば、俺が助けなくてもあんたは自分でなんとかできただろうな」

「いえいえ、ぜんぜん無理でしたよ」

 まじで人生終わったと思ったくらいですし……。

「まぁ、そういう事にしておこう。

 さて、もういいか?」

 あ、いいの? いろいろ聞いても? 好きな食べ物とか?、好きな色とか?、誕生日とか?、ペンギン好きなのかとか……やっぱ、やめておこっと。

「はい、では、今日はこれで」

 ちょうど家の近くまで来たので、手を振って駆け出す。



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