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結星門の巫女  作者: 安田座


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18/26

18:白い敵

 


 学校の昼休み、今日もふみちゃんとランチ中です。

「アークさんって私の従者ってことでいいのよね?」

 ふみちゃんが、鋭い目つきで聞いてきた。 ええと、できれば聖騎士様は敬称”様”にしません?と言うべきか。 ああ、でもガンドレルちゃんって呼んでたりするよね。

「そんな分けないでしょ。 従騎士です。 ペアみたいなものかもしれないけど……。

 ん?? それに、どうなんだろ、正確にはふみちゃん雷の聖騎士じゃないじゃん」

「あ、そうなのか、でも私ってどういう立場なん?」

「いやぁ、全くわからないです。

 ただ、そういう戦いに連れて行かれて、じゃぁ、がんばって……的な?」

「うわぁ。

 いや、そういうのは解ってたけどね。

 ああぁ、なんとか中の人と話しでき無いかなぁ」

「それ、みんな困ってるのよね」

「でもね、追い出すだけなら、最終手段はあるのよ」

 なんかどや顔?

「え? 方法思いついたの? すごい」

 マジか? 本当なら、ふみちゃんは天才か? 

「わたしが巨乳になる」

 ぐは、どや顔すぎるけど、言っててむなしいでしょうに。

「は? いや、そうなんだろうけど……。

 無理じゃない?」

 もしそれが出来たとしても、他の人にはなんの役にも立たないじゃん。

「失礼な……うぅ、そうよねぇ。

 まぁ、でもせっかく中に居るんなら、こう、ピンチとかに呼び出せたらかっこいいかも?

 わたしの万倍強いらしいし」

「どういうピンチよ。

 でも、出て来てる時って自分の意識無いのよ?」

「はい」

 ふみちゃんはがっくしと肩を落とした。

 まぁ、わたしもそういう場面では充てにしようかとちょっと考えたけどね。



 そして、ガンドレルちゃんの部屋。

 ふみちゃんの衣装は、カリヤちゃん用に準備されていた素材を流用して鋭意製作中だ。

 ただ、ふみちゃんがいろいろと注文を付けてたので、その分の余計な時間がかかるので今日の完成は無理らしいです。

 で、ガンドレルちゃんの部屋。

 フミさんをマイサさんに会わせてみよう作戦だけど、殺気の無い者相手に出てくるわけも無く、三人で手持無沙汰となり、じゃお茶会しよう、からのオルテミアス様もお誘いして四人でテーブルを囲んでいます。

「次はわたしをお願いしてもよろしいか?

 わたしも力が欲しい。皆を守れる力を」

 とりとめもない会話、主にふみちゃんの、が一段落した時、オルテミアス様がわたしに向かって提案された。途中でチラっと視線がガンドレルちゃんに向いたのを見てしまったけど、気付かないふりっと。

「了解しました。

 何時がいいですか? お忙しいですよね?」

 わたしに出来ることはなんでもやりますよ~。

「明後日でよろしいでしょうか?

 明日のうちに警備の代行を手配しておきますので。

 ガンもいいかな?」

「わたしも同行大丈夫です」

 ガンドレルちゃんも同意してくれた。

 心なしか嬉しそうな感じだ。

 それにしてもこの二人、美し可愛いにもほどがある。

 ふみちゃん、そのにへら顔は気持ち悪いです。 と言いつつわたしも他人の事言えないんだろうなぁ。




 翌日、突然、いや、わたし達の居ない時に決まったらしいのですが、あの当初の作戦を実行するらしいです。

 先日の港の方で一般人に被害が及んだことで、そういう結論になったそうです。

 当初の作戦とは、ガンドレルちゃん単騎特攻作戦です。 ただ、古の聖騎士が三人になった事で単騎特攻では無いとのこと。

 マイサ様は、闇の聖騎士が門を消せるって言ってたけど、まだその方法もわかってないし、神聖騎士のイベントも残ってるけど、まずは敵を押し返すということみたいです。

 ちなみに、ふみちゃんは留守番です。衣装は今日できるらしいけど、実質戦力には入れ無いそうです。

 つまり、回りくどいですけど、マイサ様とドレッド様、一緒に居て大丈夫か……は、神のみぞ知るみたいな二人でって感じらしい。

 う~ん、なんかぶっつけ本番みたいな作戦って……素人のわたしにはなにも言えないですけどね。

 それどころか、もう部隊は出発したとのこと。

 私たちは、神殿長からその話を聞いて今日はもう戻る事になりました。

 今の神殿の守りはダリアン様、アーク様、ランデット様の三人の聖騎士様方がいらっしゃるのですが、前回襲撃された時の事があるので、戻って地球側の出入口の今日と明日の警備を依頼して欲しいとのこと。

 そして明日は、ミュークラウン様と合流して音の聖殿に行きます。 オルテミアス様もガンドレルちゃんも留守になるので、オルテミアス様との約束はしばらく延期となります。

 ミュークラウン様とランデット様の仲は大丈夫なはずなので行けばなんとかなるでしょう。

 ところで、雷の聖殿に行った日以降颯矢さんに会って無いのです。学校にも来てないので。 もしかして、作戦の準備だろうかとか勝手に想像するけど、ちょっと寂しいです。 いや、ちょっとでもなく、心配かな。




 敵星に繋がる結星門の前の砦。

 先発した部隊は到着していた。

 アスカール様は指令室に居て指揮をされていて、ガンドレルちゃんは別な部屋で待機中です。道中もガンドレルちゃんは馬車で隔離されていたらしいです。

 オルテミアス様、ミドラリウス様も指令室で待機中です。

「敵の状況は?」

 アスカール様が戻って来た斥候に聞く。

「見張りが増えておりましたが、他には特に気付く点はありませんでした」

「まぁ、そうだろうな。

 戦力が増える訳では無いだろうし、元々守りを固めてるだけだからな。

 君は、休憩したら交代要員を連れてもう一度向かい、少しでも動きがあれば知らせてくれ」

「はっ」

 斥候はそのまま指令室を出て行った。

「さて、ガンドレルに会っておくか……

 ミドラリウス、ここを、いや以降の指揮を任せる」

「了解しました。

 しかし……」

「まぁ、俺が変わら無いとしても、作戦も変わらん」

 アスカール様は、言いながら大剣を傍らに立て掛ける。

 何が起こるか解らないのだ。

「そうですね。

 お任せください」

「オルテミアス、お前には悪いが、事態の収集が必要になるかもしれんから待機で頼む」

「はい、理解しております」

「本当にすまない」




 敵星側結星門封印神殿前、敵設置陣内での会話。

「ご報告申し上げます。

 向こうに集結しているものの中には、聖騎士らしきものを四名確認しております」

「四人で仕掛けてくるか。

 陽動作戦が少しは効いたか、半分しかおらんなら黒戦士だけでもなんとかなるか」

「いや、撤退だ」

 白い鎧の男が扉を開けて入るや否や進言する。

「撤退だと?」

「よしんば殲滅するつもりで赴いてみたが、とんでもないのが二匹も居たぞ。

 俺が二人と言えば通じるか?」

「それほどか?

 もしかして一人は黒い鎧の少女か?」

「そうだ、知って居たのか?」

「いや、黒戦士を倒したとは報告されていたが、そこまでの者とは想像もしておらなかった」

「あれが二人で来れば、俺は生き残れるが、あなたを含めて全滅させられるだろう」

「では、撤退か。

 よし、撤退を囮にして黒戦士を巫女暗殺とトウ潜入に向かわせる」

「それでいい。

 相手は、この場所の占有を優先するだろうからな」

「次に門が開いてからが本番だからな」



 少し前、

 ガンドレルちゃん控室。

 ガンドレルちゃんは椅子に掛けて窓から外を見ています。

 コンコンコンと扉をノックする音。

「どうぞ」

 ガンドレルちゃんが窓から扉へ視線を移して静かに応える。

 扉を開けてアスカール様が入室した。瞬間、アスカール様の雰囲気が変わった。殺気?

「何しに来た?」

 ガンドレルちゃんが、アスカール様に問いかける。ん?ガンドレルちゃんじゃなくてマイサ様? 鎧の青い光沢が消え、漆黒に変わっている。マイサ様だ。

「おまえ…………君、名前は?」

 振り向いたガンドレルちゃんを見てアスカール様の口調が変わる。 ん?アスカール様?ドレッド様?どこから?

「おい?」

 ガンドレルちゃんが聞き返す。そして、この低い口調はマイサ様だ。

「可愛いなぁ」

 あんた誰よ。

「おい?」

 マイサ様の口調にさらに怒りが混ざる。

「俺はドレッド、少しお話よろしいか?」

 あんた誰~?

「お~い」

 マイサ様の口調が呆れた感に変わる。それは解ります。

 そして、横に立て掛けてあった剣を取って抜くと、アスカール様、たぶんドレッドさんの首元に突き付けた。

「ん?」

 ドレッドさんの動きが止まる。

「ドレッドか?」

 マイサ様があらためて問う。

「あ……ええと、マイサだったんだ」

 今気付いた感。

「で、何しに来た?」

「ああ、何がだ?」

「ああ?」

「こいつに入ったのはお前と戦う為だが、今ここに来たのはこいつだ」

「じゃ、引っ込んでろよ」

「お前がひっこめ、その娘と話がしたい」

「貴様と戦う理由が増えたな。

 この子に手は出させん」

「いや、その娘相手じゃ、俺には戦え無いじゃないか」

「ところで、貴様、武器は?」

「置いてきたんじゃないか?

 だが、なんとかするさ」

「来たぞ」

 マイサ様が窓の方に視線を向ける。え、何が来た?

「お前はここに居ろ、俺が殺る」

 ドレッド様は、窓を破って表に飛び出す。

 外に立っているのは一人、その白い鎧は、月明かりを受けて夜でも目立つ。 アスカール様より少し大き目の体躯は、余裕のある佇まいとあいまって迫力が倍増しています。

 ドレッド様に向かってゆっくりと近づき始め、じょじょにかがり火の赤に染まる。

「お前は武器を取ってこい」

 ドレッド様の横に立つマイサ様が剣を構えながら言う。

「う~ん。 いや、少し見学とさせてもらうよ」

 ドレッド様は出て来た窓の横の壁に寄りかかって腕を組む。

「そうかい」

 マイサ様が一歩出る。

 白い鎧が止まる。

 そして、そのまま翻ると来た方に歩き去っていった。

「なんだよ、やらないのかよ」

 ドレッド様がぼやく。

「いや、引いてくれて良かったさ」

 マイサ様が剣を鞘に納める。マイサ様よね?

「何を弱気な、お前らしくない」

 わたしもそう思ってしまった。

「貴様も煽らなかったじゃないか」

「見たかっただけだし」

「俺は、この体にはかすり傷さえ付けたく無い」

「じゃ、やっぱ俺がやればよかったぜ」

「単騎で来た強者だ。 そして、その強さが測れなかったぞ」

「じゃ、測れよ」

「話を戻すな。 本当にめんどくさい奴だな」

「ああ、そうですか。 じゃぁもっと前に戻すぞ」

「じゃぁってなんだ」

「その娘と話がしたい。 お前は出ていけ」

「知るかよ。 そして、絶対にさせん」

「それでも、よい目的ができた」

「戻るぞ、俺の部屋には近づくなよ」

「さぁてな」

 二人は、壊して出て来た窓では無く、砦の入口に向かって歩き出した。

「あっちへ行け」

 マイサ様は、ドレッド様に当たりそうに剣を一振りして鞘に戻した。

「あぶっ。

 こいつには、常時帯剣して歩けと言ってやりたい」

 こいつとはアスカール様の事でしょうけど、だからこそ置いてきた事にはきっと気付きそうに無いかな。 そして、ちょっとこの人がわかって来たかも。




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