不穏な情勢
すっっごく遅くなりました。
すみません!
マリメリア城で過ごして3日目、ようやく明日、城に軟禁された状態から解放される。だが、これから、最後のお茶会が俺たちを待っているのだ。
…………………………
茶会が始まってはや1時間が経過した。貴族が飲むような茶はそこらにはない際立つ香りがあるし、出される茶菓子の数々も美味いのだが、話す内容はくだらない世間話や貴族の噂、そしてちょくちょく自分の顔を売っておこうとする自分の家の印象上げ。
それを聞きながらみよう見真似の貴族の作法とやらを続けるのもいい加減疲れてきた。お手洗いとでもいって抜け出してやろうか。という視線をロウィスに向けるが、首を横に振る。
どうやら何があっても席を立つことは許されないらしい。
横を見ると、同じように苦痛に耐えているカトレアの顔があった。まあ、こいつも我慢しているみたいだし、こっちも頑張るか……
そう決めた時だった。
「そうそう、そういえば今日の朝、ウェンデリアとロツベールが開戦したそうです。無事に国境を抜けられてよかったですな。」
!!
戦争……ウェンデリアは西方の国……西の国境に近いクライスは激戦地になってしまうのでは?
今すぐロッツに詳しいことを聞きたいところだが、この場では詳しいことを聞くのは無作法なのだろうか、ロウィスに視線を向けると首を横に振っていた。
歯痒さを覚えていることに気がついたのか、カールがロッツに尋ねる。
「その戦争、どちらが優勢なんだ?」
「今のところはロツベールと聞いています。まあ、周辺国を飲み込んだとしても所詮は小国の成り上がりに過ぎませんよ。そのうちにロツベールの反撃を受けてズルズルと撤退するでしょうね。」
「まあ、ウェンデリアの民以外は皆そう考えていただろうな。調子に乗った結果がこれだ。哀れなものだな。」
「ほっほっほ。左様ですな。ウェンデリア軍の主力が消えたら我々も参戦して、恩恵を被りましょうかのう。」
「それは国王陛下がお決めになることだ。」
「その際はお互い、名をあげましょうぞ。」
「ああ。」
今のところはロツベール軍が優勢。他のものも皆そう考えていたというが、それならウェンデリア軍も馬鹿じゃないだろうし、分かっていただろう。本当に彼らの慢心なのか……?
「ん?どうした、ショウ。」
考え込むような顔をしている俺に、カールが話しかけてくる。
「いや、ちょっとね。この戦争がウェンデリア側の勝てるという希望的観測から始まったものなら、こんなに真正面から戦うとは思えないんだ。だって、西方の小国郡を併合したとはいえ、ウェンデリアとロツベールには国力に大きな隔たりがあるだろう?」
「うむ。平民にしてはいい目を持っているな。確かにロツベールは強い。小国でも複数国で協力すれば話は変わってくるかもしれないが、小国が協力してロツベールと戦争をしたとしても、先に自国の国庫が空になってしまうだろう。自国を干上がらせないようにしつつ、ロツベールと対等に戦える国といえばゼールティア帝国だが、あの国は今、国内に蔓延る改革派の弾圧で手一杯だろう?」
『改革派』とは、救世主教の腐敗を正し、現在の生活にあった新しい競技を作ろうとする一段だ。ロツベールやセルフェン、それに目的地であるフィアジェドは国全体で改革派を推している。そしてゼールティアは改革の志が芽生えた程度なのだろう。
ゼールティアは内情が不安定ということか………だとしたら、本当になぜ、ウェンデリアはわざわざ負けに行くような真似を……
考えているうちに時間は経っていき、あっという間に茶会は終わった。
「なかなか行儀良くできていましたな。」
部屋への帰りにロウィスに話しかけられた。
「ええ……ありがとうございます。」
苦笑いで返す。
「ただ、時間が長くてそこが大変でしたね。」
「貴族の会合はいつでもあのような感じですぞ。」
「面倒ですね。」
「そうおっしゃらないでください。」
「…………ウェンデリアとの戦争ですけど……」
「ええ、私も何かおかしな感じがします。周辺との戦争を終えたばかりの国はだいたい、その国の民の慰撫を行う必要があります。そうでないと反乱を起こされてしまいますから。なので、戦争を多数抱えた国というのは、勝利しても数年間は他国に戦争を仕掛ける余裕などないはずです。」
「そしてウェンデリアは、ここ最近でも5つの征服活動を行った……平時の時刻よりも国力が高いロツベールを今攻めることは………」
「自殺行為ですな。」
やはり……なぜそんなことを……?
「功を焦ったとかは……」
「どこかの諸侯ならまだしも、中央集権を進めた国家がそのようなことを考えるとは思えません。」
「食糧難とかは……」
「だとしたらますますロツベールに仕掛ける意味がわかりませんな。戦争には通常の何倍もの食料が必要になりますから。当然、ウェンデリア1国では賄いきれなくなります。それに、今年のウェンデリアは豊作だと聞きます。」
「……わかりませんねぇ……」
「……はい。祖国が攻めいられるのを傍観するのは、私には想像できないような辛さを伴っているのでしょうが、幸い、ロツベール王国が優勢だと聞きます。特にクライスは王国内で最重要都市に数えられるので、そう簡単には落ちないでしょう。」
「そう……ですね……」
やはり何か、嫌な予感を感じざるを得ない。これからも注視する必要がありそうだ。できることならクライスから自分の関係者だけでも連れて来てしまいたいものだが、国境が封鎖されている以上、助けに行くこともできない……
ともかく今は、フィアジェドに行って複製機をもらう。それが自分たちのなすべきことだ。
……ロツベールは大丈夫……
そう言い聞かせて、俺は部屋へと戻った。
プロットを書き直し、話自体も書き直したバージョンを制作しております。
完成自体順次別作品として投稿しますが、話自体が追いつくまではこちらも更新する予定です。
話自体の互換性は持たせるので、話が意味不明になるといった心配はありません。
これからもよろしくお願いします。




