表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

4/53

クライス魔導学園とこの世界

説明回です。

 クローシェンに体調など実験のレポートの記入に必要な色々を聞かれ、今はウェーベルの案内で学園の施設を回っている。


 クローシェンからの調査中に気づいたことなのだが、体が縮んでいた。というよりは中2くらいの見た目になっていたのだ。これには自分はもちろん、クローシェンもウェーベルも驚いていた。


 本当はクローシェンの案内で回る予定だったのだが、いろいろ聞くだけ聞いたら「良い発見がいくつも!」と言いながら奥のデスクに消えてしまったので、代理としてウェーベルが案内してくれているのだ。


「導師はいつもあんな感じなので…」


 ウェーベルはもう慣れたと苦笑いしながら言っているが、何かに集中したら周りが見えなくなるのは正直直して欲しい。


 そんなことを考えていると教室が並んでいる建物に入った。


「ここは教室棟ですね。教室以外にも職員室もあって、授業の時は大体この棟のどこかの教室で受けることになってます。」


 ウェーベルの話を聞くと、この「魔導学院」は大学と高校を足して合わせたような性質を持っている気がする。もっとも、俺自身大学進学は決定していたものの、実際に通っていたわけではないため大学についての詳しいことはあまりわからないのだが……


「ショウさん。ここは食堂です。せっかくですしこの世界についてお話ししながら食事でもどうですか?もちろん私の奢りです。」


「ありがとう。じゃあお言葉に甘えさせてもらおうかな。」




 そこから1時間ほど、この世界について色々な情報を教えてもらった。


 この世界は平たいことになっているらしい。地球球体説のような学説は提唱されてはいるようだが、この世界(少なくともこの地域では)圧倒的覇権を握っている宗教である救世教の教典から外れているらしく、毎回弾圧されるらしい。


 ただ、この宗教はほぼ全員が入信しているらしく、もっというならば入信していない方が少し不思議なのだとか。無論、ウェーベルも、クローシェンも、クローシェンの研究の助手をしている他の学生も皆、救世教徒だ。


 魔物という生き物(?)がいることを聞いた時はとても驚いた。なぜなら、学園の雰囲気を見る限り、全くそう言った気配を感じなかったからだ。というのも、魔物は基本的に人間の支配の及んでいない領域にしか発生しないらしい。しばしば森や洞窟で遭遇することはあるらしい。


 魔物を生き物と断定せずに“?”をつけたのは魔物の研究が全く進まないからだ。彼らは死ぬとすぐに非常に濃度の高い魔力を含む気体となってしまうから、サンプルが一向に持って帰れないらしい。また、冒険者らによって持ち帰られた魔物の体の一部、ゲームでいう『素材』や『ドロップ品』も、生物のような性質を持つものやただ物体といった感じのものまで、種類が多いため、予想もつかないらしい。ただ、科学者の間では『生物である』と考えるのが主流らしい。


 ただ、魔物は人間に害を及ぼし、時に毒も使ってくる。知能も高かったり低かったりするらしいが、都市間を移動する時には注意が必要で、護衛に冒険者が雇われることが多い。


 この世界には『人間』でありながら、狭義には『人間』に属さないものがいる。これは社会的な地位というわけでも、宗教の違いから生まれる蔑視というわけでもない。簡潔に言えば、人間は『ひと種』意外に『獣人じゅうじん』『小人こびと』『魔人まじん』がいるのだ。


 人種は地球こちらでいういわゆる人間である。もっとも個体数が多い『人間』らしい。


 次に獣人は文字通り獣と人の両方の特性を持ち合わせた『人間』だ。一概に獣人とは言っても、様々な動物の特性を持った人がいるので、細かく分けると色々な人々がいるらしい。社会的弱者になりがちなのだとか。


 次に小人。彼らはいわゆるドワーフだ。手先が器用だが、体が小さい。職人気質な人が多いらしい。……もしかしたらクローシェン、小人だったりして……


 最後に魔人。彼らは言い伝えでは魔物と人間の血が混ざっているらしいが、ただ他の3種族と比べて非常に大きな魔力量を持っているだけで、魔法学や科学的には魔物との関係性は証明されていない。ただ、そのいい伝えのせいで迫害の対象になることが非常に多いらしい。科学者たちは反対しているが、宗教的な問題も絡まって非常に厄介な問題らしい。


 そして魔法がある。自分の存在自体が魔法による召喚であるからこれに関しては疑いようがない。


 魔法は大きな区分だと火、水、風、土、空間の5つに分類され、それぞれ得意不得意があるとか。これとは別に神聖魔法という主に浄化やら傷の回復促進などを行う魔法があるものの、これは他の5つとは術式が根本から違うらしく、全くの別物として扱われることが多いらしい。また、魔法自体が使えない人も多く、使える者と使えない者の比率はだいたい2:8らしい。


 次に魔力について。魔法が使えないものが全人口のおよそ8割とは言うものの、実は全ての人間、もっというなら全ての生物が多少は魔力を持っているらしく、これは専用の魔道具を使えばすぐにわかる。ただ、調査の結果、地球(異世界)からきた俺には魔力が全くなく、クローシェンもウェーベルも強い興味を示していた。


 魔力が少なく魔法が使えない者も、魔石ませきを媒体にすれば一部の魔法が使えるらしく、魔石を動力源とした魔導具も作られているらしく、人々の生活の至る所に使われているらしい。


 次に地理について。ここ、クライス魔導学院はロツベール王国、クライス特別市にあるらしい。ロツベール王国は教育や技術育成に注力しており、他国の研究者や魔導士を高度な設備を売りに勧誘しているらしい。実際にここ、クライス魔導学院は救世教勢力圏の各国から学生や研究者が来ている。


 言語は無意識のうちに言語調整魔法を万人が発動しているらしく、自動的に翻訳されるらしい。ただ、文字は違うためだいたい文字を見て出身国を推定するのだとか。ただ、救世教勢力圏は言語が統一されているらしく、言語調整魔法が使われるのは他の文化圏からの商人だとか旅人との会話の時くらいだとか。


 ついでに、おれの場合はクローシェンが「こっちにきてから文字がわからなくては困るだろう」と考え、文字や文法、発音に至るまで言語の一から十まで全てが頭の中に定着する魔法を陣に書き入れておいたらしい。たまには良いことするじゃん。


「何かあれば、また聞いてください。」


 そう言って異世界こちらの解説授業を終わらせたウェーベルと俺はその後、学生寮や運動場などを回ってクローシェンの研究室に戻ってきた。


 ついでに、学生寮は学生全員が入っているわけではなく、貴族などは近くに別荘のような形で屋敷を設けたり、貴族でなくても街の家にホームステイや下宿といった形で部屋を借り、毎日登校しているらしい。


 運動場はただの運動以外に魔法の実技授業などがあったりすると使うらしい。


「おう、戻ってきおった。ショウよ。試して欲しいことがあるんじゃ」


 またかよ………


 まあ、不安もあるが、異世界こっちでの生活も悪いことばかりでもなさそうだな。


「はい。なんですか?」


 日本に帰れるまでにはまだまだ時間がかかるらしいし、ゆっくり慣れていくとするか。

長ったらしくなりました。


次あたりから話が動き始めます。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ