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ため息から始まる異世界ライフ

不定期に上げていくので、こんな感じでゆっくり進んでいきます。

……ここは、どこだろうか………


 目を開けるとそこは暗い部屋。周いには用途不明のオカルトチックな小物たち。そして俺の真下には自転車に乗っていた時と同じ模様の魔法円が薄く発光している。


 正直、すごく不気味で恐怖心を煽ってくる。


「成功かのう……?」


「ええ。そのようですね……」


 老人と青年の声?後ろからだ。


 振り向くとそこには、いかにもロールプレイングゲームや映画から飛び出してきたような黒いローブ姿の老人と青年がいる。


 自転車を飛ばしていたら5分後には御伽噺の住人二人に見つめられているとか……どんなドッキリ番組だろうか。


「あなた方は……」


「うむ。わしはクローシェン。クローシェン=イジェーラじゃ。ここで召喚魔術の研究をしとる。横にいる若いのはわしの弟子じゃ。」


「私はウェーベルです。クローシェン師の弟子で、師とともに召喚魔術の研究をしています。召喚対象さんは我々の実験で異界から呼び出されたんですよ。」


 話は通じているから言語調整魔術は動作しているということじゃろうーーーー興奮気味に呟きながら羽ペンを動かしている。


「実験は終わったのじゃ。実験室にずっといても仕方がない。わしらの応接室にでも行って詳しい話をしよう。」


 クローシェンは扉を指差し、ついてくるよう指示を出す。とりあえずついていこう。


 部屋を出ると、元の世界でいう中世か近世の宮殿や城といった感じを思わせる作りの廊下に出た。ただ、装飾自体はそこまで華美な感じはしない。


 廊下を直線に進み続けて2分くらいがたったところでクローシェンは立ち止まり、すぐ左にある扉を開ける。部屋に入るとテーブルと椅子が中心にあり、暖炉や絵画などが部屋を装飾している。全体的にはシンプルにまとめられていて、きちんと整理整頓されている。


 目の前の老人の第一印象で部屋は紙が散乱していてどうしようもない状態になっていると考えていたが………人間は見た目じゃないってことだな…



 椅子に座り、クローシェンが自分の研究内容について簡単に話していると、ウェーベルが紅茶のようなものを持ってきた。見た目は紅茶だが、味はなんとも言い難い。強いていうなら烏龍茶だろうか。


 ウェーベルが席につき、クローシェンは再び口を開く。


「3人が揃ったところで、詳しい説明を始めようかのう。ウェーベル、補足を頼むぞ。」


 ウェーベルは相槌を打つ。


「まず、ここについてじゃ。ここはクライス魔導学院。名前の通り魔術や魔導具についての学び、教授とともに研究や開発を行う教育施設じゃ。んでの、わしはここで教鞭をとっている。先ほど言ったように、お主はわしらの実験で呼び出されたわけじゃ。」


「実験って、帰れるんですか……?」


「こちらから異界に転送する魔術はまだ初歩段階でしか研究できておらん。」


 このジジイ……悪びれもせずに抑留宣言しやがった。無茶苦茶腹立つんだが。


「そんな状態で呼び出さないでくださいよ!!こっちにも生活があるですよ!?なんたって勝手な実験なんかに付き合わなくちゃいけないんだ………」


 込み上げてきた怒りに任せて思ったことをありのまま告げたら、正面の2人のうち、若い方は申し訳なさそうに、ジジイの方は何か言いたそうにしている。言い訳でもあるのだろうか。


「そ、それは確かにすまないことをしたが、偉大な実験じゃ。この魔法を発表すればきっと世界はもっと便利になるんじゃよ! だから、もう少し協力して欲しいんじゃ!いや、協力したまえ!」


 てっきり必死になって言い訳を述べるのかと思っていたら逆に損した。途中から熱入って早口で理想を語るわ、最後なんか命令してきたし。


 ……まあ、その隣がこちらの様子を見てか、ジジイを止めてるからそれに免じて許してやろう。どちらにしろ帰れないなら異世界こちらでの唯一の人脈である2人とは仲良くしたほうがいいだろうしな。


「導師!少しは押さえてください!怒っちゃってるじゃないですか!」


「いいよ、もう。……どちらにしろ帰れないんだろう?だったら実験に協力しよう。ただ、その代わりにこちらでの面倒を見てくれ。」


 ジジイの目が輝いた。こいつ全く反省していないのか……


「ありがたい!……そうじゃ、お主、名前はなんというんじゃ?」


 そうか、そういえば名乗ってなかったな。


「平岡翔です。あ、苗字が平岡で、名前が翔です。」


 苗字と名前が逆だろうから、一応どちらが苗字でどちらが名前か明言しておく。


「そうか。ではショウ。実験の手伝いをする代わりに、衣食住の面倒だな。わかった。サービスとして私の講義とこちらの世界についての諸々も教えてやろう!これから頼むぞ!」


 はぁ………研究者って……みんなこうなのかなぁ……


 こうして、俺、平岡翔……改め、ショウ=ヒラオカの異世界生活は始まったのである。


これから少しの間、説明回が続く予定です。


しばらくは日常系のような雰囲気になりますが、兵器作るために必要なステップなので、お付き合いください。

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