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合格発表

時間指定投稿って便利ですね。

 コンコン!


 玄関ドアを叩く音が家の中に響く。


「ショウ=H=イジェーラさんはいらっしゃいますか?」


「はーい。今行きます!」


 今日は合格発表日だ。そして今玄関前にいるのは恐らく魔導学院の職員だろう。


 現兼扉を勢いよく開け、目の前にいる女性に挨拶をする。


「こんにちは!」


「あなたが、ショウ=H=イジェーラさんで間違いありませんか?」


「はい。」


「ではこれを。中に合否通知が入っています。」


「ありがとうございます。」


 そういって、彼女は魔導学院の方へ向かっていく。なんだか随分と淡白な会話だったな。


 そのままの足で居間に戻り、呼吸を整える。


 手渡された封筒の封を丁寧に切っていく。そして中に入っていた紙に書いてある内容に目をやる。


「ショウ=H=ヒラオカ クライス魔導学院への編入学を認める」


 いやったぁぁぁぁ!


 と叫びたいところだが、案外あっさりいってしまったことに少し違和感を覚える。とはいっても正直、他の受験者がどの程度入学できているのかもわからない上に、ここ以外の魔道学院の難しさを知らないので、他との比べようもなく、こんなものなのか……?と割り切った。


 下に書いてあることも続けて読む。


 内容は、俺が魔道具枠で入ったこと、授業は2つ以上受講しなければいけないこと、制服=ローブの採寸日などだ。それ以外にも注意事項がいくつか書かれているが、特筆する必要はないだろう。


「帰ったぞぅ!」


「お邪魔しま〜す。」


 クローシェンとウェーベルの声だ。


「「どうじゃった?(どうでしたか?)」」


 無事受かったことを報告すると二人とも喜んでくれた。


「これはお祝いじゃのう!」


「ええ!よかったです。色々合格祝いの宴のために色々買ってきたのにだめだったらどうしようもありませんでしから……」


 安心したようにウェーベルは言う。


「なぁに、ショウのことじゃ。受かるのは当たり前じゃわい。」


 しばらく雑談をしていると、火が傾いてきた。


 ウェーベルとクローシェンの2人が買ってきた料理を並べていく。こちらの世界は食糧事情が21世紀日本と比べれば非常に悪いので、味も薄く、食べられる料理も地域によって限定されている。


 そして、今日のようにお祝い事の時は高い金を払ってでもいろいろな料理を用意するのだ。やはり祝いごとの時くらいはたくさんの食材に囲まれたほうが幸せな気分になれる。残念ながら味は薄いが。


「すまないね。遅れたよ!」


 だいぶ遅れてコルバルが到着。クローシェンとウェーベルが4人分用意していたのはそういうことか。


「では、ショウの編入試験合格を祝って、乾杯!」


「「「乾杯!」」」


 クローシェンの乾杯の音頭で宴が始まる。


 こちらの成人は16であるため、酒は16から飲めるようになる。タバコやそれに準ずる嗜好品はこの世界にはないようだ。


 どちらにせよ、俺の今の体は14歳ということになっているため、まだ酒は無理だ。日本でもあと2年の所まで来ていたが召喚され、この体になってしまったため、すごく興味が湧くが、だめなものは仕方ない。



 あれから2時間が経った頃だろうか。周りが地獄と化している。


 食い散らかされた跡が無惨に残る食器、溢れた飲み物、潰れるウェーベル、踊りという名前の酔拳を披露するクローシェン……


 コルバルはこの事態を予測していたのか、ほどほどで酒を飲むのをやめ、お茶にシフトしている。


 ってか、クローシェンがこんなことになってるってことは、片付けるの俺だけじゃないか!なんで主役が片付けないといけないんだよ……


「あはは……あははは………」


「まあまあ、そう怒るんじゃない。片付けなら私が手伝う。」


「いつもこんな調子なんですか……?」


「いや、クローシェンの奴、普段はこんなに飲まないんだがな。よっぽど孫の入学が嬉しかったんだろうよ。」


 ニヤニヤしながらこっちも見てくる。苦笑いで返そう。


「ところでショウくん。入学後はどの授業を取るんだい?魔法が使えないということはとれる授業も限られるだろう?」


「迷ってはいますが、魔道具と魔石の授業は取ろうと思っています。他は考え中です。」


「そうか!魔石の担当は私だぞ?その本人の前で宣言してしまっていいのかな?」


「ええ。魔道具を作るのに魔石への知識は必要ですから。」


「嬉しいな。バンバン当ててあげよう。」


「そ、それはご勘弁を……」


 コルバルはハッハッハと上機嫌そうに笑う。これからおおよそ6年間お世話になるのか。


 せっかく高校卒業したのに、また6年間学生生活か。まあ、日本でもその運命だったかな。


 とりあえず、在学中に色々試して、向こうの道具を作ってみるとしますか。




同時刻、ロツベール王国軍務省


 ショウらが合格祝いをしているちょうどその頃、王都レンドールに存在するロツベール王国国防が要、軍務省庁舎3階の大臣室では、軍部のトップであるガタイのいい初老の男に、諜報機関の長である細身の中年の男がある報告をしようとしていた。


「ティルデン元帥!フィアドレット=ユーメン少将であります!」


「入れ!」


「失礼します!」


…………



「不法入国?詳しく聞かせたまえ。」


「ハッ!ここ2週間で隣国、ウェンデリアからの不法入国の量が増しているようです。拘束できた物がほとんどですが、取り逃したものも何人かいるそうです。また、こちらの偵察魔導士の情報によると、ウェンデリア政府の物資の買い付け料が増加しているとか。輸入量も右肩上がりだそうで、国際市場にも影響が出始めているようで……」


(……ウェンデリア王国、6年前に国王が変わって以来、天才的な政策で国力を増している国か……確か3年前に当時格上と言われていたヴィドレット王国に圧勝したとかいう……またどこかと戦争をおっ始める気なのか……?)


「うむ。行商人を装って偵察を増員しろ。向こうに感づかれてはいかんぞ?」


「ハッ!」


(一応、大臣会議に上げておくか………)

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