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試験対策

 今日は試験用に、手榴弾を複数作っている。ただ、試験だけのためではなくて、誤作動や不発がどの程度の確率で発生するのかを調べるためもある。


 すでに20個ほど作ってしまったが、これもひとえにローベルトたちの協力の賜物だ。彼らには感謝が絶えない。


「えっと、ここに魔粉を入れて……次は蓋か、どれだっけ……」


「なんで威力はそんなんでもないのに、構造だけは複雑なんだよ!」


 俺の隣ではカトレアとカールも手榴弾の制作に挑戦している。ただ、元々金属加工の研究をしていたカトレアと、魔法に頼りっきりだったカールでは経験も慣れも雲泥の差があり、手際にも差が出ている。


 どちらも楽しそうだし、ほっといても大丈夫そうだな。


「ちょっと作ってきた分の試験してくるわ。」


「いってらっしゃい。」


「ぐぬぬぬぬ……ここが、嵌まらっ……ない!」


 ガキが苦労してら。いい気味だ。



 外にある運動場で投擲試験を行う。持ってきたのは全て自分制作の手榴弾20個。これのうちいくつが綺麗に動作して、いくつが不良品なのだろうか。




「………結構精度が低いな………」


 結果から言うと、五分五分だ。まあ、正確には12発がしっかり着火して、6発が不発。2発は着弾前に爆発するという危険なものだった。


 今は撃針が量産できないため、手榴弾に撃針を搭載することは手間的に難しいが、フィアジェドに行って複製機をもらうことがかなえば、もっと安定した手榴弾を作ることもできるようになる。そのためにも、早く自衛手段を確立しなければ。



「とりあえず私も20個出来たから持ってきたよ〜」


 一通り考えをまとめたところで、カトレアが自身の作った手榴弾20個を箱に入れて持ってきた。


「カールは?」


「カールくんは、まだかかると思う。まだ慣れないみたいで。」


 苦笑いを浮かべながらカールの状況を説明する。さてはあのガキ、手先はそこまで器用じゃないな?



 カトレアの手榴弾の試験を行った結果、こちらもだいたい結果は同じ、13対7だった。やはり、このシステムでは信頼に欠く。早急な修正が必要だろう。


 カールの方は、日が傾いてもまだ終わる気配がなかったので、明日に持ち越すこととなった。


「もうすぐ!もうすぐ終わるから!」


「どう見てもまだあと5個はあるじゃないか。お前15個作るのに朝から夕方までかけてんのに、残り5個でもうすぐっていうのはねーだろ。」


「い、今までは本気じゃなかっただけだよ!」


 付き合ってられん。強制的に明日やらせることにしよう。


 しょんぼりしながら男子寮へ帰っていくカールとにこやかに笑いながら女子寮へ帰っていくカトレアを見送り、家へ帰った。




「おう、ショウ。帰ったか。」


「やあ、ショウくん。今日の夕食は3人分で頼むよ。」


 ……なぜコルバルがいる?


「いやあ、実は共同研究の資料をまとめていたらすっかり遅くなってしまってね。今日は夕飯をこっちでいただくことにしたんだ。クローシェンの許可も得ているよ。」


 クローシェンめ。誰が飯を作ると思ってるんだ。


「はぁ……そうですか。わかりました。で、なんの共同研究なんですか?」


「い、いやぁ……ちょっと秘密じゃのぅ………」


 机を覗き込もうとすると、慌てた様子で二人が書類のうち何枚かを隠す。机の上に出ている書類には『魔石を動力源とする転送技術とその汎用性』と書かれている。なんだかすごく便利そうだ。


「転送魔法ですか。別に隠す必要もないじゃないですか。」


「そ、そうじゃの!ほっほっほ!」


 なんだか変な感じだ。まあ、人には秘密の一つや二つくらいあるだろう。ここは探らないでおこう。


「あ、そういえばショウくん。今度編入試験を受けるそうだね。君だとやっぱり魔道具枠かい?」


「はい。入学後は大差ないんですよね。」


「うむ。入学後は平等に扱われるよ。なんの魔道具をプレゼンに使うか決めたのかい?」


「はい。手榴弾っていうものです。これも元は向こうの世界のものなんですけどね。いつも真似ばかりですよ。」


「いや、それの動力を魔石にして、しっかり動作する形まで持ってきているだけでもすごいことだよ。自信を持ちなさい。」


 自信を持つ、か。まあ、できるだけやってみるさ。


 クローシェンもコルバルも身内贔屓が嫌いなところがあるため、推薦書とかを書くのは嫌がりそうだから、今回は自分の力だけで受けることとした。


「それはそうと、その『シュリュウダン』というものも、やっぱり相手の殺傷を目的としたものなのかい?」


 コルバルは『武器』と言うものを嫌っている。理由はよくわからないが、だいたい武器に関して話をするときはいい顔をしない。最近は向こうも表に見せないようにしてくれているため、こちらも、彼の前では極力そういう類の話はしないよう心がけている。


「え、ええ。まあ。」


「……そうか……あまり武器であることをおおっぴらにすると王国軍が興味を示して、試験官に技術将校を入れてくるかもしれん。見事お眼鏡にかなってしまうと、軍からの勧誘がしつこくなる。面倒だからあまり武器であることは言わない方がいい。いいね?」


 軍からの勧誘。明らかに面倒臭そうだな。まあ、ミリタリーは好きだから絶対に行きたくないわけではないが。まあ、現時点で勧誘されても困るし、今は隠しておこう。


「そうですね……」


 編入試験、なかなか難儀しそうだ。

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