ヲタッカーズ2 セイレーンを狩れ
ある日、聖都アキバに発生した"リアルの裂け目"!
時空海賊、ギャング、宇宙人の聖都侵略が始まった!
聖都の危機にアキバのCharlie's angels
"ヲタッカーズ"が立ち上がる!
オトナのジュブナイル第2話です。
今回は、秋葉原でヲタ芸師のヲタ芸死が多発し、アイドル現場に激震が走ります。しかも、死因は約200年前からの歌声?
"ヲタッカーズ"は、江戸時代の秋葉原に飛びますが、そこで彼女達が見た怪物とは?そして、怪物との対決の行方は…
お楽しみいただければ幸いです。
第1章 謎のヲタ芸死
スターパックスコーヒーはエラい。
スタパの珈琲はワンコイン払う価値がある。
何しろ他チェーンの珈琲を蔑視出来るから。
で、アキバのスタパは駅ホームの横にあるンだけど、実は入口を探すのが割と難しい。
特に、駅ビルの開店前だと目の前に店があるのに入れない砂漠に浮かぶ蜃気楼状態だw
だから、外はラッシュアワーなのにカフェの中はガラガラとかタマにあるワケだ。
今朝がそうで、僕は結婚パーティで貰ったギフトカードでラッシュ片目にお茶中←
すると…やや?
ホーム寄りの窓際にいたヲタクが突如立ち上がり、周囲をキョロキョロと見回す。
何事かと思ったら、ヤニワに掛声を発して何度もジャンプ、空を指して腕を引く!
PPPH?ロマンスからのサンダースネイク?
アイドルヲタクの芸を打っているのか?
君、ヲタ芸師?僕と何処かで会ってる?
しかも…
なかなかの打ち師だ!芸にキレがアリ、動きも澱みナイ。恐らく誰かのTOだろう。
しかし、さすがアキバのスタパだ。突如"独りヲタ芸"が始まっても誰も動じない。
まぁ僕も彼に声をかけるワケでもなく、そのママ店を出たのだが。
今にして思えば、全てはソコから始まったのだ。何しろその直後…
彼は、絶命したのだから。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
「"ヲタ芸死"?」
僕も、ミユリさんも思わズ絶句スル。
ヲタ芸師は数いるが、死んだ人って…
「そうなの!最近"ヲタ芸師"の"ヲタ芸死"が増えてるわ。既に10数人」
「ええっ?そんなに?ってか、そんなにヲタ芸師がいるコトこそ驚きだ。激しい宴会の隠し芸による事故死とかも含む?」
「今や地下アイドルは星の数、彼女達を推す自称ヲタ芸師は満天の星の数ほどいるわ。10人単位で死んでも大勢に影響ナシょ」
深夜のゲーセンで銀のコスモルックに身を包むエリズに逝われて、頭を抱える僕達。
あ、エリズは恥ずかしいコスプレではアルがコレでも日本防衛秘密組織の司令官だ。
因みに、僕の推し、ミユリさんはメイド服。
御屋敷をヘルプに任せ、僕とココに来てる。
「しかし、不審死であるコトに変わりはナイょね?ヲタクばかりを狙ったテロの可能性もあるンじゃナイか?」
「ソコょ!実は私達も、ソコに着目してる。だから、ミユリさんとテリィたんを呼んだの。"ヲタッカーズ"の出番ょ。ヲタク殺害現場を精査したら、奇妙な事実がわかったの」
「奇妙な事実?ソレは…」
超高周波だ。
現場の音の中に、周波数が高過ぎて、人間の耳には音として聞こえない高複雑性超高周波が、多く含まれているコトがわかったのだ。
高複雑性超高周波は、人間の脳深部にある中脳、視床、視床下部などに直接作用し、甚大な影響を与えかねないコトが知られている。
「つまり、何らかの"音波兵器"が使用された形跡がアルのょね。ヲタクを狙い、難聴、頭痛、鼻血、目眩、吐気を催させては、死に至らしめるという…」
「ええっ?音波によるヲタクのホロコーストが起きてるワケ?また"時間ナチス"絡みかな?マタハに聞いてみる?」
「彼女の作戦内容は、全て三国同盟の事務局で詳細に把握してるけど、少なくとも"時間ナチス"は"音波兵器"には関わって無いみたいだわ」
「ホントかょ?また1945年の陥落寸前のベルリンで、マッドサイエンティストが変な発明とかしてンじゃナイの?」
「テリィたん、鋭い!でもね、今回のターゲットは1945年では無いのょ。ソレに、ネットワークを調べて気づいたの。ココ数日で"音波兵器"からの信号は増幅され、約10倍にもなってる。今も急激に上がり続けてる」
「ええ?で、どうなるの?」
「頭痛を訴えるヲタクが病院に殺到してる。このママ、音波信号が増幅され続けると、やがて彼等の頭はスキャナーズみたいに破裂するわ。誰かがアキバのヲタクを皆殺しにするコトを決めたの。ヲタク全員をね」
「何処のドイツが?」
「ドイツやナチスじゃ無い誰かょ。当初、信号は神経に作用するレベルだったの。でも、今は周波数を急激に上げて来てる。テラヘルツょ。波動砲で蚊を打つレベルね」
「ヲタクは蚊かょ?」
「電磁エネルギーで脳内の圧力が高まり、限界値に達すると…ヲタクが全員殺される」
「猶予は?」
「23時間」
「最悪のカウントダウンだな。で、音波の発信源は?」
電子音で賑やかなゲーセンの真ん中で、エリズが声を落とすから僕達は聞き耳を立てる。
「ソレが…アキバなの。200年前の」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
「200年前のアキバだなんて…ソンなコト、どうしてわかルンだょ?」
「"音波兵器"が発する音波からは、微弱ながら放射線が出てる。私達は、その放射線をトレースする技術を持っているの」
「音波から放射線?うーん。理解する気が余り起きないンだけど、その追跡技術とやらは、未知なる敵の隠れ家とかも特定出来ちゃうの?」
「和泉橋北詰の辺り」
「書泉ブックタワーの辺りか。スケボー暴走族の縄張りだ。連中の御先祖様じゃないのか?」
「ソコに何がアルのでしょう?」
「200年前だと佐久間河岸が材木河岸だった頃かな?パンケーキの美味いファミレスは、無いだろーな」
「材木問屋の倉庫?土蔵かしら…とかは理想の隠れ家ですね。ターゲットはソコに?」
「よし。乗り込むぞ」私が止める。
「テリィたん単独じゃ危険だわ。許可出来ない」
「私も参ります。御主人様の逝かれるトコロは何処であれ、お供します。私は、テリィ様のメイドですから」
「あらあら早速イチャイチャ始まったわね?でもね、ミユリさん。聖地のヲタク全員の危機なのょ?"ヲタッカーズ"全員で逝けば?」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
「ええっ?そんな昔から、誰かが音波兵器で現代のヲタクが攻撃してるの?」
「プラマイ10年位の幅はアルけど、ほぼ間違い無い数字ょ。信じて」
「じゃ、やっぱりマタハだ。"時間ナチス"のUFO型タイムマシンで、200年前に飛ぼう」
「だ・か・ら!ウチのUFOじゃ1900年までが限界。ソレ以上の過去には飛べないの…と逝うか、飛んではいるけど誰も帰って来ない…」
"時間ナチス"のマタハは、遠い目w
ココは、神田川沿いの地下700階に設置されたAMCの"時間トンネル"基地。
AMCとは、戦後、旧日本軍の科学兵器を継承したスタートアップ群の総称だ。
中でも"時間トンネル"は、国家プロジェクト級の巨大計画で極秘裏に進められている。
リング状の構造物が大型ハドロン衝突型加速器に沿い円型に並ぶ据置型タイムマシンだ。
「あらあら。マタハったら"ヲタッカーズ"初のタイムトラベルなのに、御自慢のUFOが使えナイなんて。ホント"時間ナチス"も大したコト無いわね」
「うるさいわね。ウチのUFOは、双極螺旋形状のパイプに水を通し、そこから発生する求心的な負性抵抗から無限増殖する反重力エネルギーを制御する反重力円盤ナンだから…って、そんなコトより、エアリ。貴女、地球が冷え固まった頃から生きてルンなら200年前なんて、つい昨日でしょ?何があったか覚えてないの?」
「そんな昔のコトは覚えてないわ」
ボギーかょw
僕を囲み3人のメイドがいる。1人はミユリさんで、もう1人は妖精のエアリ。
そして、もう1人は"時間ナチス"で"ロケット兵装備"を背負ってるマタハ。
全員が各御屋敷のメイド長。
僕達は"ヲタッカーズ"だ。
「さて"ヲタッカーズ"のみんな。我々は、約200年前の御先祖様から謂れの無い攻撃を受けている。君達には、正体不明の御先祖様が約200年前から撃って来る"音波兵器"を破壊してもらいたい」
「うーん。コレで"約200年前"さけ無ければ"反射衛星砲"の爆破に向かうヤマトな気分に浸れるのにな」
「ソレだけ"音波兵器"は"反射衛星砲"や"ナバロンの要塞"より手強い、というコトょ」
"時間トンネル"のリングを前にブリーフィングしてくれるのはエリズだ。
彼女の防衛組織で持て余した作戦ばかりが"ヲタッカーズ"に回って来るw
「"音波兵器"は、恐らく、メタンと酸素の混合ガスを燃焼室で1秒間に1000回連続爆発させ、発生した超高周波を約200年間の時空を通すコトにより共鳴・増幅させた上で衝撃波として発射、敵の内臓を破壊する…」
「あれ?脳中枢にある"基幹脳"に作用するンじゃなかったっけ?」
「え?内臓グチャグチャでしょ…まぁ良いわ(良くナイょw)!とにかく、ヲタクばかり狙い強く作用して殺すの!だから、コレは絶対"ヲタクの危機"なのよっ!」
そして、エリズは気持ち良さそうに叫ぶ。
「"ヲタッカーズ"、発進せよ!」
第2章 時間トンネルを超えて
いきなり江戸時代だ!
確かに200年前なら江戸時代だが、タイムトラベル系の定石で、ココは普通に西部劇とか沈没前のタイタニックとかを期待してたが…
しかも…大火事だよっ!
火事と喧嘩は江戸の華とは良く逝われるが、江戸は大火が頻発、市街地が繰り返し何度も灰燼に帰す、世界にも例の無い火災都市だ。
「チクショウ!火は神田川を飛び越え、新橋、佃島まで燃えてるそうだ!この忌々しい北風め!」
「てやんでぇ!またも火元は悪魔町の材木問屋だ!」
「ツベコベ能書き垂れてねぇで、火を消しやがれ!ベラボーめ!」
(えっと作者は3代目の江戸っ子ではありますが、山の手育ちなので、現場はベランメェ調が飛び交っていたでしょうが、以下は標準語にしますw)
焔で夜空を染め、武家や長屋を焼き尽くして迫る大火に、家屋を取り壊し延焼を阻止スル破壊消防で立ち向かう町火消しの鳶人足達。
通りは、現場に向かう火消し人足や用慎籠を背負い逃げ惑う町民でごった返してる。
そのタダ中に…やや?明らかに場違いなセクシーくノ一軍団に囲まれたスケベ爺が…
「あ、あれ?ミユリさん達、いつの間にセクシーくノ一に?生地がシースルーで超ミニwしかも見せパンがTバックだと?過激過ぎるでしょ」←
「だって、逝く先は江戸時代だと聞いたのでつい出来心で…そーゆーテリィ様は、水戸黄門ですょね?単にコスプレ女を侍らせたスケベ爺にも見えますが…」
「いや。間違い無く水戸黄門だ!と、とにかく、このドサクサに紛れてRMFで"音波兵器"を探そう」
僕は、ポケット…じゃなかった、懐から端末みたいなメーター付きの計測器を取り出す。
「あ、ソレ。EMFですょね!悪霊とかが現れると針が振り切れる奴。海外ドラマでやってました」
「ソレはEMF。コレはRMFだょ。人でも物でも"音波"でも、タイムトラベルすると時空から放射される特殊な放射線を浴びる。コレは、その特殊な放射線を探知スル機械だ。まぁ、元はマタハの国が開発してた秘密兵器の戦利技術ナンだけど」
「ホント、ナチスって色んなコトをやってたンですね…あ、危ない!」
武家火消が珍しい"竜吐水"を手押し車に載せて通り、くノ一軍団は間一髪で避ける。
僕達"ヲタッカーズ"が時空転移したのは"文政の大火"の真っ只中だ。時に1829年。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
「文政の大火?さっき誰かが"火元は悪魔町"とか逝ってましたが…」
「神田佐久間町のコトだ。江戸城普請で大儲けした佐久間平八を筆頭に材木商の町だったが度重なる失火から"悪魔町"と揶揄された。後に材木置き場だけ深川に移されたけど"今日"の大火は、その前の話で材木小屋の失火が原因だ。僕達がいるのは約200年前の神田佐久間河岸だ。今の書泉ブックタワーがある界隈」
「え?この辺りに21世紀のヲタクを狙撃スル"音波兵器"が隠されてるのですか?」
確かに手元のRMFの針は大きく振れている。
時間旅行に伴う放射線が感知されてるのだ。
因みに、この特殊放射線に関する理論体系の構築にアキバ発スタートアップ以外は失敗、欧米では時間旅行の計画自体が頓挫してる。
「静かにして!ねぇ何か聞こえるわ」
「え?あら、ホント」
「誰かが…歌ってるの?」
我がセクシーくノ一軍団が、超ミニのコスプレでヒソヒソ囁き合ってる。
確かに"文政の大火"の真っ最中なのに、誰かの妙なる歌声が…微かに…
「あ、アソコに誰かいる!」
「え?何処?」
「神田川の真ん中に人がいるわ!」
"文政の大火"の火は、とっくに神田川を渡っており、川の両岸は大炎上中だ。
普段は真っ暗な川面も今は真昼のように明るく、その川面から歌声は聴こえる。
目を凝らすと…
「人ょ!ソレも独りじゃナイ!」
「確かに!1人、2人、3人いるわ!」
「漂流してるの?でも、歌っている?」
RMFに目を落とすと針は見事に振り切れてるw
彼女達が"音波兵器"?あの歌が兵器なのか?
第3章 血戦!くノ一忍法帖
スターパックス珈琲のシンボルマークを知ってるか?あの人魚みたいのがセイレーンだ。
あくまで"人魚みたいの"であって"人魚"では無いょ。見分けるポイントは尾鰭の数。
スタパのセイレーンは尾鰭の先が2つに分かれてるょね?つまり尾鰭2本だ。
対する"人魚"は尾鰭1本。OK?セイレーンの尾鰭2本、マーメイドは1本。
ほーら。無駄な知識がまた1つ増えたねw
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
「彼女達が…僕達が探してた"音波兵器"だ。あの歌声が200年の時空を超えて、アキバのTO達を死に追いやってルンだ」
「ええ?テリィたん、その変な機械を見せてょ?ねぇ、もっと近くで」
「エアリ!ドサクサ紛れにテリィ様に乳ごとモタレるのやめて頂戴!」
セクシーくノ一がキャピキャピやってて何か盛り上がルンだけど、とりあえず、破壊スル前に謎のセイレーン達と何か話してみよう。
「マタハ。悪いけど、あの3人をココに連れて来てょ。少し話してみたい」
「ソレもそうね。川に落ちて溺れてるのカモしれないし」
「じゃ、ひとっ飛び頼むわ。お願い」
ミユリさんとエアリにも促されて、マタハが背中のロケットを噴射し川面を飛ぶ。
同じく背中に羽根のあるエアリも飛びかけたが…もう少しのトコロで思い留まる。
と逝うのも飛ぶとマタハはパンツ丸見えで…
しかし、見せパンのTバックって…凄いなw
「テリィたんがお話があるそーだから来てくれる?あ、無理。3人同時は。1人ずつ私に捕まって…そう、じゃ貴女から。はい、そんな感じ。じゃ逝くわょ」
てな感じでマタハがロケット噴射しながら1人ずつ河岸に連れて来るンだけど…
何?歌いながら連れて来られる彼女達は足が尾鰭になってる!尾鰭で立ってる!
いや。器用なモンだ。両足が両鰭?になってて、そのママ、スックと立ち歌い続けてるw
「尾鰭が2本?君達はセイレーンだな?あの美しい歌声で船乗りを惑わしては遭難させて喰い殺す海の怪物だ!」
「何てヒドい言い掛かり。でも、そうよ。今宵の舞台は海原じゃなくて"川"だけど(歌いながら)」
「モノは相談だけど、その歌、ヤメてくれないかな?歌声が"リアルの裂け目"を通じて200年後にヲタクを殺してルンだけど」
とりあえず、マタハがパンツ丸見えで3人運んでくれたから、リーダーっぽい子に話す。
すると3人は、おみな、おいゆ、おゆまと名乗り3姉妹だと話す。長女おみなが答える。
「私達はセイレーン。歌声で魅惑し船人を喰ひ殺すのがお仕事(歌いながら)」
「え?そりゃ因果な仕事だな。海外ドラマならハンターか天使が来て、退治されちゃうトコロだゼ?」
「その代わり、アンタ達くノ一軍団が来たわ。だから、私達3姉妹は、くノ一軍団と闘うの(歌いながら)」
"文政の大火"を背景に女達が 3vs3 に別れ一斉にファイティングポーズをとる。
…まぁくノ一側はともかく、セイレーンの足元が尾鰭なのが、可愛くて笑えるw
あぶれた僕は…行司?笑
「私達は"ヲタッカーズ"。貴女達セイレーンには何の恨みもないけれど、消えてもらうわ」
「お前が女ボスね?では、私達セイレーンは歌で3本勝負ょ。1本目は"美しい声"。さぁ歌うわょ!私達の歌を聞け(歌いながら)」
「え?3本勝負って、プロレスじゃあるまいし納得出来ないわ。あ、コラ。勝手に歌わないで。卑怯ょ!」
女ボス指名を受けたミユリさんが慌てて遮るが、時既にお鮨でセイレーン達は歌い出す。
…う、美しい歌声だw女声3部合唱で、しかも姉妹と来てるからハーモニーもバッチリだw
慌てて、後攻の"ヲタッカーズ"も昔のキャンディーズを歌ったけど差は歴然。ヤバいw
フフンと鼻で笑った(歌いながら)長女のおみなが勝ち誇ったように2本目の前説に入る←
「2本目は"金切り声"ょ。悲鳴を上げるが良いわ!キャー(歌いながら)」
「え?え?何なの?悲鳴なら戦場で鍛えた絶叫ょ負けないわ!ギャー!」
「うっ。濁点の分だけ負けたカモ(歌いながら)」
3姉妹全員が唇を噛む(歌いながら)ので、どうも2本目は"ヲタッカーズ"の勝ちらしい。
さぁコレで1対1だ。だが、この展開はプロレスだと3本目は先攻側が取るのがお約束?
さて、このワケわからン勝負の行方は?
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
その頃、2020年の"時間トンネル"基地では
"ヲタッカーズ"を江戸時代へ見送ったエリズ指揮官の下に、続々と情報が寄せられる。
「殺人音波、危険レベルに到達!」
「残り時間は?」
「残り6分です。ヲタク達の頭が爆発を始めてます!」
「音波の信号強度、限界値の80%…90%に上昇!あと5分です!」
「頼むわょ"ヲタッカーズ"!」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
運命の3本目w
果たして、長女のおみなが自信満々、晴れやかな顔で勝ち誇ったように高らかに宣言スル!
「レディース&ジェントルメン!今宵のメインイベント3本目は…"処女の声よっ!どうだっ!(歌いながらドヤ顔)」
ああ!コレはマズい!
致命傷だ!勝負アリ?
恐らく処女の鉄板3姉妹は挑むような視線で"ヲタッカーズ"を睨みつける。
一方の"ヲタッカーズ"側は…全員目が点になるか、フト遠い目になったりw
すかさず、僕はミユリさんに耳打ち。
「とりあえず、何か歌って。処女のフリでOKだから!」
「えっ?む、無理です。いまさら処女のフリなんて。どーすれば良いですか?恥じらうの?」
「痛そうに?」←
モチロン、曲は"Like a Virgin"で決まり!
セクシーくノ一3人が歌って踊れば最強だw
すると"Like a Virgin"を聞いた3姉妹は…
第4章 セイレーン、果てる時に
絶命寸前のセイレーン3姉妹を前に呟く。
「こんなコト、したくなかったンだ」
「恐るべし、テリィたん。私、負けましたわ(回文)」
「心を強く持て。君達姉妹は、怪物の中で1番強い。魔王も君達を誇りに思ってる(ウソw)」
「でも"リアルの裂け目"の向こうには、征服すべき街があるコトもわかったわ」
「え?どうスルつもりだ?」
「いつかケリをつけてヤル。ヲタクは皆殺しょ。そして、テリィたんの寵愛を受けたミユリだけを残してやるの。死んだアキバの女王として…」
「そりゃ手の込んだ復讐だなwとにかく!君達が、おみな、おいゆ、おゆまの3姉妹であるコトは誰にも変えられない。さらば」
僕達は2020年に帰還スル。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
地下700階は、歓喜の渦に巻き込まれる。
"時間トンネル"のスタッフ全員が拍手し、大喝采する中、僕達は…"凱旋"する。
そう。コレはきっと"凱旋"なのだ。ただ、どーしてもイマイチ、ピンと来ないが…
「僕達は…何をしたのかな?」
「おかえり、テリィたん!"ヲタッカーズ"は、アキバを救った。アキバのヲタク全員の命を救ったのょ。もう"リアルの裂け目"から漏れ聞こえる殺人音波に怯える日々は終わったのょ!」
「でも、誰かに伝えて。今回の名誉は、全て特殊放射線の追跡技術を開発した、スタートアップのエンジニア達のモノだ。僕達は、江戸時代に逝き、火事の見物をして来たに過ぎない」
すると"ヲタッカーズ"を取り囲むスタッフ達から大拍手が起き、歓声が飛ぶ。
まぁ僕より、イケてるコスプレした僕のメイド達を取り囲むスタッフ達だけどw
「さっき首相官邸と話したわ。みんな"ヲタッカーズ"に感謝してる。特に、テリィたんの勇気ある決断が賞賛されてる。ねぇ。今後は私達は仲間ょ。隠し事はヤメましょう。秘密も良くないわ。ソレらは、むしろ私達の努力を損なうわ。団結しましょう。私達は、セイレーンを倒したけど、まだヲタクの敵は存在するわ。依然、聖地は大きな危機にある。敵は、この街だけでなく、世界中にいる。そして、過去にも、未来にも」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
明け方の御屋敷。
"時間トンネル"基地を後にして地表に出たら、朝の7時だ。
どうやら、タイムトラベルの途中で昼夜が逆転したらしい。
早朝で逝くトコロもなく、高層タワー最上階の御屋敷に集合。
遠く眼下で目覚める聖都に目をやりつつ、マタハが僕に聞く。
「私達"ヲタッカーズ"は…どうして3姉妹に勝てたのでしょうか(処女は1人もいないのに)」
「ソレは…そーゆー物語だからだょ。セイレーンって、歌を聞かせたのに生き残った人間が現れると…そのセイレーンは死ぬ運命ナンだ(そうだ)」
「へええ。じゃ無理を承知で処女のフリして正解だったのですね」
そーゆー逝い方だと、何だかミもフタもナイが、まぁ、その通りだ。
セイレーンの歌には、扁桃体と前帯状皮質の連携を断つ作用がアル。
ソコは人に希望を感じさせる脳の部位。
僕は"ヲタッカーズ"を前に語り出す。
「聖地アキバは、攻撃を受けた。僕達ヲタク全員がだ。誰もが突然史上最大の悪に襲われた。意思を奪われ、個性も魂も人間性そのものも。こんな攻撃を受けたら、一般ピープルだって打ちのめされる。絶望し、気力をなくし、自分を見失う。僕も、初めてアキバに来た時は、悲しくて孤独だった。でも気づいたンだ。この街は、愛に満ちていて、ヲタクは助け合っている。僕は、この街に支えられてきた。今の僕があるのは、この街のおかげだ。僕に使命を与えてくれた。想像しなかったほど、強くしてくれた。僕は"ヲタッカーズ"が大好きだ。君達の中には、消せない"あかり"がある。不屈の魂を持つ"ヲタッカーズ"の力が必要だ。どうか希望を!女の子は、誰でもスーパーヒロインになれる。魂を滅ぼされそうになっても、立ち向かえば、必ず打ち勝てる。君に背を向けた人も、いつか必ず助けてくれる。愛する人には、いつかまた会える。例え、もうこの世にいなくてもね」
ミユリさんが、僕の方を向き微笑む。
朝の陽光の中で彼女は女神のようだ。
「"ヲタッカーズ"は、何処へでも、お供致します。で、次の事件ですけど、既に16秒前から始まっていますわ。早くいらして、テリィ様」
おしまい
今回は海外ドラマでよくモチーフになる"セイレーン"を軸に、ヲタッカーズ、ヲタ芸死するヲタ芸師達、AMCの"時間トンネル"、江戸時代のセイレーン3姉妹などが登場しました。
海外ドラマで見かけるNYの都市風景を、パンデミックに揺れる秋葉原に当てはめ展開しています。
秋葉原を訪れる全ての人類が幸せになりますように。