5日目『朝②』
市場につくと、まだ開店準備している店もちらほらあったが、ほとんどのの店は商品が並んでいた。なんだかパリの市場みたいだった。
「確か小麦粉と・・・あと何がほしいんだ?」
「塩と胡椒、砂糖もあれば欲しいですね。肉や魚もあれば欲しいところです。野菜はどんなのがあるかわからないので、今日は一種類ずつ買ってみて、必要だったらさらに買い足そうかと思ってます。あと、薪・・・あ、地図もでした。」
「地図はギルドにあるから後でいい。じゃあ野菜からいくか。」
日本では見たことない、色とりどりの野菜が並んでいた。どう調理するかもわからないから、積極的に売り子と話をする。
「お姉さん、これ。この赤いの欲しいんだけど。」
「あぁ!昨日の子供を助けてくれた旅人さんだね!サービスしとくよ、これもっておいき!」
「この赤いの、どうやって食べるの?」
「家では湯がいて食べるね。生では食べれないからね!」
「ありがとう。いくら?」
「20個で銅貨1枚だよ。」
多い。
「ちょっとずつ欲しいからこれと・・・これ、あ、これも。」
「随分とめんどくさい買い方するね。」
「初めて見る食べ物ばかりだから、色々食べてみたいんだよ。」
「ならうちの商品全部2個ずつもっておいき!それで銅貨3枚だ!格安だよ!」
「ありがとう。助かるよ!」
ここぞとばかりに医者時代に培ったコミュニケーションスキルを発揮してやった。
その結果、バックパックに入りきらずドゥさんの手を煩わせたるほどの野菜。野菜のみでこの有り様だ。しかもまだ一件目の店にも関わらず。
「いや、なんか、すみません。まさか最初の店でこんなことになるとは。」
「まぁ、最初の店は品質はもちろん、品揃えも豊富なところにしたからな。野菜に関してはあの店だけでこと足りると思うぞ。どうする?一度戻って荷物を置いてからまた来るか?」
「はい、その方向でお願いします。」
二度目の市場。
さっきよりも人が増えている。
最初に市場を見てわかったんだが、ここには『袋に包む』というサービスはない。まぁ、これは当然だけど。野菜は特に問題はないだろうけど、肉や魚になると話は別だ。そこまで考えてなかった俺はクーラーボックスを持ってきた。
折り畳み式でしかもキャリー付き(取り外し可能)を。勿論ボブのオススメだ。
「ヤマダ、肉はこの店が、魚はあの店がこの界隈では評判がいい。どっちから行く?」
「じゃあ、肉から見ます。」
「わかった。」
肉屋の前に行くと、これまた筋肉質でガタイがいいおっさんがいた。
「いらっしゃい!って、ドゥじゃねーか。冷やかしなら帰れ。」
「バカ。客だよ。まあ、俺が買うんじゃなくて、こいつが買うんだけどな。」
「あー、お前があの『死んだ人間を甦らせた旅人』か!この町について早々ご苦労だったなぁ。で、何が欲しいんだ?」
「えっと、何の肉があるの?」
「今日は角ウサギと、一角鹿。あとは巨大豚と、牙鶏だな。」
は?
え?
個体名がひとつもピンと来ない。
「なんだ、ヤマダ。知らないのか。」
「はい、聞いたこともない動物たちで。」
「そうか、なら野菜とおんなじで全部少しずつ買ってみりゃいいじゃねーか。」
「え、あ、はい。」
食えるのか?食えるのか!?
「おい、今の全種類、癖のない部分を少しずつくれ。」
「え?めんどくせーな。」
「ヤマダが食ったことないんだとさ。」
「そうなのか?じゃあ、うまいところを包んでやるよ。で、少しってどれくらいだ?まーこんなもんか。」
話ながらザンザンと肉切り包丁が炸裂。
肉は大きな緑の葉っぱに種類毎に包まれた。
「どれがどの肉かわからなくなるから、おしえてもらっていいかな?」
「それもそうだ、これが・・・・」
おじさんの話す単語を、マジックで巻かれた葉っぱの上に書き込んでいく。
「よし、肉はこれでいいな。次は魚か。」
肉だけでクーラーボックスの7割合が埋まった。これ、50L入るはずなのに。
「ここが魚屋だ。ねーちゃん、この店にある全ての魚、一種類ずつ、包んでくれ。」
ドゥさん、先読みして頼んじゃったよ。
結果、クーラーボックスに入りきらず、10匹ほどはクーラーボックスの上に置いた。
「あとは塩と砂糖と胡椒だったな。塩はあるだろうけど、胡椒は・・・難しいだろうな。」
「そんなに胡椒が貴重なんですか?」
「そりゃそうだ。胡椒ひと瓶で銀貨2枚だぞ。」
それはお高い。なんせこんなに肉や魚を買っても、しめて銅貨7枚だ。早々手を出せるものではないだろう。
「じゃ、あの店で塩と砂糖を買っていくぞ。」
塩5キロ、黒砂糖1キロ購入。白砂糖はもっと都会に行かないとないそうだ。
薪を持てる余裕がなかったので、また車に戻ることになった。帰り道、材木屋のおじちゃんとドゥが話をつけてくれて、後で薪を車まで運んでくれる算段となった。ドゥさんに感謝だ。小麦粉は売っている店がまだ歩くとのことだったので明日にすることになった。
車につく頃にはもう時刻は12時過ぎ。
「悪いが、午後は仕事に戻らなくちゃなんねーんだ。地図は夕方でもいいか?」
無論ですとも。この食材たちの下処理や保存をしなければならないしな。
この山のような食材を前に目眩が起きそうになるが・・・さて、やりますか。
感想を頂きました!ありがとうございます。




