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殺人鬼の前でやってはいけないこと

台風十九号は、とても大きい台風でした。皆さまはご無事でしょうか。

私は実家の畑の小屋が崩壊してその後処理に追われました。

お陰で投稿がやや、遅れる形となってしまいましたが、そんなのは言い訳

前々からちゃんとやっておかないのが悪いんです。すみません。

「もう、出口か」


 僕は、転生した祭壇から一本道を歩いていったが、外にでる穴は早く見つかった。どうやらそんなに深い洞窟ではないようだ。


「なんだこれ、ああ、杭か」


 洞窟の出口付近に、金属製の杭が何本か落ちていた。ここは元来立ち入り禁止だったのかもしれない。


「これ、曲がってないし、ほとんどさびてない。何かに使えるかもしれないから、もらっておくか」


 その中で、一番状態のいい杭を頂いていく。長さ50㎝ぐらいの細長い杭だ。もしもの時、戦闘でも使えそうな最低限度の強度がある。


「よいしょと、おー、すげーな。こりゃ。まるで、カリフォルニアのヨハネス国立公園(テーマパーク)に来たみたいだぜ。テンション上がるな~」


 穴に手をかけて洞窟を顔を出すと、余りにも高い木々がそびえ立っていた。一本一本がアメリカのメタセコイヤのように高い。どうやら何処かの森の中に出てきたらしい。背の高い木々が葉を生い茂らせており、地上には、木洩れ日が残るだけ。中々に物騒な森だ。お化けか殺人鬼が住み着てそうだ。


「どこかに道はないもんかね」


 さっき拾った杭で草むらをかき分け、暗いところはランタンを照らして道を探す。取りあえず、今は情報とまともな生活ができる拠点が欲しい。大半の殺人鬼は、一定のテリトリーを持つものだ。キャンプ場だったり、街の下水道や廃焼却炉、それにガソリンスタンドや肉の加工場まである大きな屋敷など。勿論、そんなものがない蝋人形殺人鬼とかもいるが、今後の指針を決める為にも活動拠点は必須だ。そのためには何処かの街に滞在するべきだろう。生活が安定するまではで殺人鬼としての仕事(殺し)はお預けにするべきだろうな。健全な殺人は健全な生活習慣からてよく言うものだからな。


 しかし、俺なんかが果たして殺しなんてできるのだろうか? 幾らガタイが良くなったからって現代社会(温室)で生きていたタダの社畜にそんな度胸あるのだろうか。


「あの光はなんだ」


 そんな俺の第二の人生設計(殺人鬼計画)を思案していると薄っすらとした光を見つけた。もしかしてこの森を抜ける街道かも知れない。


 下を見ながらゆっくりと光に近付くと


 人に見つかる可能性を考えてなるべく足音を消して、ランタンもローブで隠して近づく。すると大きな道に出た。さすがにアスファルトではないが、森の中にあるには余りにも不自然な平坦で広い道だ。光の正体も分かった。どうやら馬車のライトようだ。周囲に馬が見えないが、何台かの馬車が向かい側の脇で集まっている。光があるのに喋り声どころか、物音一つ聞こえない。どこか、水浴びにでも行っているだろうか。ここは、戻って来た時に偶然を装う。そして、街か村の場所を教えてもらうべきだろう。そもそも、言葉って通じるものだろうか。異世界の言葉を日本語か英語(スラング混じりの簡単な会話)しかわからない俺の語学力で習得できるだろうか。しかし、そんな考えは杞憂に終わる。


「誰か、誰か助けてぇぇぇーーーー」


 緑髪の小さな女の子が悲鳴と共に馬車から駆け下りてくる。そして街道を走りだした。しかし、草むらに隠れる俺の目の前を通った先で転んだ。服は何故か引き裂かれていてボロボロ。足枷もしている。そして、顔は真っ青に染まり切っていた。


「オイオイ、もしかして外でしたいのかい。中々ツウだね」


 次に馬車から降りてきたのは、長い白髪に赤い目をした背の高い男だった。服装は日本でも高級感が感じられるタキシードで右手にワイングラスを持っている。唯一おかしい点として、背中からコウモリのような翼を生やしている。何者なんだこいつ。


「君のような美少女を最後に残して本当に良かったよ。半妖精(ハーフエルフ)という、妖精種(エルフ)の美貌に、原種(人間)の血の旨さ。まさに我々吸血種(バンパイヤ)のエサに最も相応しい。その中でも君は特別な美貌だ。何度も食った半妖精(ハーフエルフ)中でも特に美しい。血の旨さも良さそうだ。さっき食ったやつらの中で一番味は良かったデブ親父の娘なんだろ」


 クソ吸血種(バンパイヤ)のありがたい一人解説のおかげで、状況がつかめてきた。要するに、この屑が馬車を襲って、この子以外皆殺しにしたらしい。殺人鬼生活一日目して、現在進行形の殺害現場するとか、ついているのかいないのか。


「嫌、嫌、嫌、嫌、イヤ―――――――――」


 半妖精(ハーフエルフ)の女の子も必死に抵抗しているけれども、足枷と転んだ時の怪我か、全くもって動けない。そんな女の子に吸血種(バンパイヤ)野郎は抑えつけながら馬乗りになる。そして、手に持っていたワイングラスのワインを女の子にかける。草むら挟んだこちら側にもワインの芳醇な臭いがする。


「安心したまえ、君は特別だ。だがね。君かけたこのワインも、金貨1000枚は下らない魔王領逸品の特別な品だ。そして、何よりも、この私は、魔王軍十二大幹部の一人。不滅不朽の吸血鬼 ジャック・パープレトル公爵なのだよ。選ばれし特別な者が、特別な物を食す。これに一体なんの間違いがあるというのだね。しかし、偶には寄り道もするもだね。このようなご馳走にありつけるのだからね」


 この魔王軍十二大幹部がどれほどものかは、全くもって分からない。だが、薄暗い森の中とはいえ、あの男はこのまま呑気にモグモグタイムをするらしい。正直、俺がいることはバレていない。このままドラキュラ野郎の飯テロ生実演を鑑賞していれば、事なきを得るだろう。このドラキュラ野郎は強い、強さ故の傲慢と慢心がヒシヒシと伝わってくる。このまま何もしない。それが最も効率的で安全な選択だ。だが、

 

「その前に、下も味見をするとしよう。なに、子供のことを心配する必要はない。スッキリしたら、君は血を吸われて、死ぬんだからね」


 ドラキュラクソ野郎は、ズボンに手をかける。食い殺す前に、レ〇プまでご所望のようだ。玩具で遊んだ後においしく頂く。ハッピー〇ットように欲張りな奴だ。


 もう、殺すしかない。別に女の子に同情したとか、正義感云々の話ではない。なんなら、奴を殺せる算段すらない。答えは常に一つ、奴は殺人鬼の前でやってはいけないこと犯した。


 殺人鬼の前で、薬物、違法酒、同意のない〇ックスは、一発役満。 R18Gを守る殺人鬼による鉄の掟だ。


 こればっかりは殺せる殺せないの話ではない。俺が殺人鬼を名乗る以上、この場面で、確実に殺さなくてはならない。良心や身の安全よりも大切な俺の殺人鬼としての生きていくための面子と自信(プライド)に関わってくる重要な問題だ。これこそが運命というやつなのだろう。

 そして何より、殺したい。この自分が悪事を働いても、死ぬ危険がないと完全に緩み切ってる男を殺してみたい。一体どんな呻きで、どんな抵抗をして、どんな顔をして死んでいくのだろう。想像しただけでワクワクしてくる。

 殺意を固めると、頭の中がスッキリした。まるで、十二時間爆睡した後の目覚めのような爽快感だ。昔の俺(死ぬ前)今の俺(殺人鬼)は違う。健全な(殺人鬼としての)精神が健全な(殺人鬼らしい)肉体に宿っている。


「じゃ、君の処女膜をね、貫通させてもらおうかね」


「その前に他に貫通させるものがあるだろ。てめぇの心臓だよ」


「な、なにや、グハッ、、、」


 俺はすでに、奴の背後に音もなく近づき、洞窟で拾った杭で背中を刺した。


 俺の刺した杭は真ん中を完全に捉え、このあふれんばかりの出血量。心臓を確実に刺した。間違いなく致命傷だ。俺は更に、貫通した杭を右に滑らすように引き抜いた。ホラー映画の序盤特有の正体を見せない映さない単純明快な殺し。これで終わりに見えたが、


「どこのどいつだがしらんがね。こんな杭一本で私を{結界守護者}と{風の支配者(ストームエンペラー)}の二重役職者(ダブルホルダー)であるこの私を殺せるわけがないだろうが、食らいなね<氷結(アイス) (ストーム)>」


 翻った奴の両手から放たれた凍り付く風をもろに受け、街路樹に叩きつけられる。これが魔法か。


「どこの国の回し者かは知らんが所詮は<気配遮断(シャット・オフ)>で、この私の<検知(ソナー)>に引っかからなかっただけの低級役職者がね。なめたことしてくたもんだね。残念ながら、我々吸血種には、【血液(ブラッド)自動治癒(オートヒリーリング)】が備わっているね。ましてや、魔王軍十二大幹部の役職である{結界守護者}には【暗殺無効(アサシ・ゼロ)】が付与されている。貴様がやってきたことは全て無駄なんだよね」


 よく分からない固有名詞をマシンガンのように放つ。奴がなにを言いたいのか全くもって理解できない。説明口調なのは良いが、人にも分かるように説明しろよ。だが、

 奴へ与えた傷は、確かに恐ろしい速さで治療されてる。とても人間とは思えない。どうやら、簡単には、死んでくれないらしい。初っ端から、面白系黒人枠(割と長生きするタイプ)並みに殺し難い相手だ。


「愚か者の貴様の血など欲しくも何ともないね。貴様にはさっさと死んでもらうね。<(デス) (ストーム)>さあ、踊り死ぬがいいね」


「だめ、よけてーーーー」


 少女の叫びは虚しく黒い風が俺を包む。


「死を招く魔法<(デス)>を風魔法の<(ストーム)>と混ぜ合わせることによって何度も死を味合わせる。それが私の<(デス) (ストーム)>。<(デス)>自体に運によって成功率が変動する弱点がありますが、私の運は、A+。あの中で<(デス)>が一度も発動しなかったことはない」


 奴は、自慢げにそう言い放つ。もう少し、固有名詞少なくしてくれないかな。決め台詞なのは分かるが、数学をやってない小学生に大学物理を教えるようなものだ。なんの凄みもかっこよさも感じない。

 黒い風は確かに、俺を包んでいるが、何も起きない。なにこれ。発言からに、即死系の風らしいけども、まるで効果がない。第一、魔法で人を即死させようとする魂胆が気に食わない。そんなことをしたら、死という絶望を味わっている顔が見れないじゃないか。なんでそんなもったいないことをするんだろう。過程を楽しまないで、結果だけ求める。実につまらない生き方だ。


 俺はそんなことを考えながら、風の中何食わぬ顔で出てくる。もっとも、鉄兜被っててどんな顔してるの分からんだろうけれども。


「貴様どうして、私の<(デス) (ストーム)>を。いや、私の運命力A+で放ったを<(デス)>何度も喰らって生きていていられるんだね」


 奴は興奮気味で俺に話かけてくる。正直な話俺に聞かれても。この世界の魔法のシステムすら、理解できていないだが。ただ、運命力?要するに運の良さのようなものか。こいつがA+?こいつがツイてるってことか。ぜってぇありえねぇ。だってよ。


「あんたさ、自分の運命力とやらが、A+だって言い張ってるけど、俺のような殺人鬼に遭遇している時点で本当は運が悪いじゃなのか。もしくは、こうなることがあんたの運命だったんじゃないか。」


 それを言って奴を睨み付けた瞬間、奴の顔が凍り付く。


「その恐れの知らなさと知性のなさ、そして悪魔のような殺意。まさか、さ、{殺人鬼}なのか。英雄級(エピック)最悪にして最凶の役職(ロール)。最も人を殺すことに特化したあの役職持ちなのか貴様」


 奴は震えながら、言い切った。話は全く嚙み合っていないけど。奴の顔は血色が失せてている。急な貧血かな、可哀想に。


 暗殺は無効とか言っていたが、殺戮は無効ではないだろう。なら、


 殺戮(とどめ)のお時間だ。





 


言えない、言えない、ヒロインの名前まだ決まってないなんて言えない。

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