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暗い部屋の中で貴方に

作者: 設楽 夕


 いつぞやの夢の中で真っ暗な世界の中で貴方は言った。


「君は、何を感じ何を思い。どれくらい辛く。そしてどれだけの強い気持ちを持ちながら、一体何の為に前を向いて歩んでいるのか。」


暗い部屋の中で人の気配はなく、私は椅子の上に座りながら問われている。足首まで浸っている水はとても冷たく何故こんな事になっているのか理解ができない。

普通に仕事から帰宅し、入浴や食事を済ませ布団に入って寝ていた筈なのに……。


「君は、誰かに怨まれて、妬まれたりされた事はないのだろう。だからこそ今この現状が理解ができず恐怖に怯えていたりするのだろう。」


そう貴方はクスクスと小さく笑いながら言葉を繋げる。


「では、想像をしてみよう。もしこの下、この水の奥のほうに鮫がいたとしたら君は一体どうするんだろうね。」


手足を椅子に縛り付けられ、感じるのは先程も言っている、水の感覚と足の裏から感じるひんやりとした物のみ。きっと一枚の板でも引いてあるのかもしれない。

そう考えると恐怖心は少しだが薄まるように感じる。


「おや、君の中から恐怖心を少ししか感じない。ではもう少し水の量を増やすとしよう。」


足首まで浸かっていた水の量が膝まで浸かる量まで増えた。一人暮らしをしていた為ネグリジェのまま寝ていた私の体を冷やすのにはちょうど良かった。

冒頭でもいったかもしれないが、何故こんな事になってしまったのだろう。普段からの行いが悪かったのだろうか……。

思い当たる所はない。だが、こういった現状になってしまったの以上、何か打開策を考えなければならないと考える。

しかし、両手両足は縛られている。どうしたものか……。


「素晴らしいね。やはり君を選んで正解だったかもしれない。では質問に戻ろう。君は何を感じ何を思い。そしてどれくらい辛く、そしてどれだけ強い気持ちを持ちながら、一体何の為に前を向いて歩んでいるのか??」


そう再び貴方は私に問う。

私は声を出そうとしてみるが、恐怖あまり声が出ないのだろうか。頭では恐怖を感じていなくても、身体でそれを理解してしまっているのだろう。

頬に一粒の涙が伝う。何故こんな目にあっているのか、本当に分からない。


「では、こうしよう。君はこんな目にあってしまっている事に疑問を抱いている。ならヒントをあげよう。普段の生活している上で、自然を目を瞑っていたり逸らしてしまっていたりしている事はあるのではないか??」


ヒントをもらってから再び考えようとするも、身体は更に冷えて震えだす。思考は上手くまとまらず、ひたすら貴方からもらったヒントを頼りに必死に、無我夢中で考える。

そして、答えを得る。

私は、きっと弱い者は強い者に押しつぶされてしまったとしても『仕方がない』で片付けていたのかもしれない。学生の時や、会社勤めをしていると自然と目を逸らしていた。

自分はああなるまい。そうならないように周りに身を任せ生活をしていた。

そうなると、怨まれてしまったとしていても『仕方がない』で片付けられてしまうのだろう。そう考えると心が痛みだし、苦しくなる。

もしかしたら、弱き者もこんな気持ちだったのかもしれない。初めはいつか終わる、いつかは救われる。そう思ってたとしても救いがないのが現実で周りはそれに手を差し伸べない。

まさに今の現状。私もまた弱き者の一人であった事を知る。皆人間きっと強くないのだ、どんなであったとしてもきっと……。そう私は考えついた。


「君が得た答えは、正解に近い形のものかもしれない。またそうでないのかもしれない。だがしかし、それに気づけたと言う事はまた1つ前に進み歩む事が出来る。どうか、この痛みを忘れずに……。」


そう貴方は言った。

『ハッ』と目が覚めると、身体中汗まみれになり、ベットも湿っていた。

もちろんこの痛みを忘れる筈もなく、夢の中とは言えど体験してしまったのは事実であり心に刻んでおくべき物だと……。

読んでくださり、ありがとうございました。

これは、純粋に私が見た夢物語です。


胸糞悪いお話だったかもしれませんが、最後まで読んでくださり本当にありがとうございました。

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