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僕はソファ

作者: 佐倉志依

僕はソファ。

ごく普通のふかふかソファ。

僕の夢は人の役に立つこと。

みんなにありがとうって言われるソファになるんだ!


僕はソファ。

僕の主人はみさきちゃんという女の人。

おーえるっていう仕事をしてるんだって。

いつも疲れて帰ってくる。

僕の仕事はみさきちゃんの疲れをとって愚痴を聞くこと。

みさきちゃん、僕はいつでも君の味方だよ!


僕はソファ。

主人のみさきちゃんは結婚して家族ができた。

ごしゅじんのただしくんとちいさなちいさな女の子のまりちゃんの三人家族。

僕の仕事はまりちゃんをあやすこと。

ふかふかソファに寝転べば一瞬でまりちゃんは泣きやんじゃう。

みさきちゃん、僕は子守の天才でしょ?


僕はソファ。

ちいさなちいさなまりちゃんも大きくなってじょしこーせーになった。

まりちゃんははんこうきになったらしく、いつもみさきちゃんやただしくんとけんかしてる。

僕の仕事はみんなをなぐさめること。

みんな僕の前では泣いて本当の気持ちを話すんだ。

まりちゃん、僕は君が誰よりもみさきちゃんとただしくんを好きなこと知ってるよ!


僕はソファ。

あのまりちゃんが、結婚して家を出た。

まりちゃんもみさきちゃんみたいにママになったんだって。

今はみさきちゃんとただしくんの二人暮らし。

僕の仕事は二人を暖かく見守ること。

みさきちゃん、子育てお疲れ様。


僕はソファ。

ただしくんがびょーきになってなくなった。

こうれいだったから仕方がないんだって。

でもみさきちゃんはとっても辛そう。

僕の仕事はみさきちゃんに寄り添うこと。

みさきちゃん、僕はいつまでも君のそばにいるよ!


僕はソファ。

みさきちゃんはまりちゃんに引き取られた。

みさきちゃんを一人にしておくのは心配なんだって。

むこうにはすでにソファがあるらしく僕ははいきされることになった。

みさきちゃんとまりちゃんは僕に向かって泣きながら言ったんだ。

ごめんね、ありがとう。

みさきちゃん、僕はその言葉が聞けてとても嬉しいよ?


僕はソファ。

ごく普通のふかふかソファ。

トラックに乗せられて、しょうきゃくろに向かっている。

僕の夢はかなったよ。

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