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曇り空から月明かり

Food court

 

 昼時のフードコートは戦場だ。


 入った途端、人、人、人。


 そう、まずは席を探さなくてはならない。昼時に空いている席など皆無と言ってもいい程だ。同行している人数が多ければ多いほど空席の希望は絶望的なのだ。


 つまり、席をとるにあたっての戦い。


 ふらふらと歩き回り見つけた席には荷物を置いてとりあえず確保。ちなみに、一人でいる場合、この時に貴重品を置いてはいけない。当たり前だが。一人の場合は先に食事を買いに行った方が正解だろう。


 複数いる場合は2グループ程に別れるべき。全員が一斉にいない場合、席を取られる可能性もあるし、最悪の場合盗難される可能性もある。なので、常に席には人がいる状態が好ましいのだ。


 さて、次に店を物色していく。当然多数並んでいるところには行きなくない。相手を待たせたくないし、待ちたくもないし。なのでハンバーガーショップやドーナツショップには素直に諦めるべきだと考える。

 うどん、ラーメン、チャーハン、たこ焼き、お好み焼き、クレープ、アイス―――そう、大量にある店の中から1つを選ぶ。これまた戦いだ。自分との、財布との戦いである。


 そしていよいよここからが超難関な戦いである。今回はラーメンを頼んだ。麺、汁物……いや、食事を席に運ぶまでの道のりが過酷な試練といえよう。


 いつどこで現れるか検討がつかない幼い子供。それを追いかける老人。スマホやらDSに没頭して歩きながら前を見ない少年少女、大人達。きちんと机にしまわれていない椅子。そして、こぼされた残飯。

 そう、全てが敵なのだ。食事を運ぶにあたってのフードコートは孤独な戦いなのだ。


 不注意な人間にぶつかり、汁が自分や相手にかかるケース。

 椅子や机の足につまずくケース。

 こぼれたものに足を滑らせてしまうケース。

 そう、これが起きないなんて保証はない。むしろ、起きるべきと考えるべきである。


 こうして無事席を確保し、食事を運んでいる最中にだって先程のように席を求めてふらりふらとしてる人たちは何人いる? いないわけが無い。

 また、食べ終わって勢いよく立ち上がる人だとかもいるだろう。その人の後ろを通っていたとしてみろ、接触事故じゃないか。


 そう、安心なんてしちゃあいけない。それに、すたすた歩くと汁がこぼれてしまう。(体幹とかは別)


 そして席に帰っていたら椅子が取られていることだってあるかもしれない。



 そう! フードコートは戦場だ!



 席、食、人、自身との!





 そうは言っても、美味しいのである。外で食べている時などは、落ちたポテトを鳩がつまんでいる。


 食べ終え立ち上がる。そして、食べ終えた食事を持ち、再び戦場へ向かう。空とはいえ、あの敵たちには注意すべきである。


 そして、無事食事を頼んだ店に辿り着き、食器返却コーナーにそっと置く。

「ありがとうございました~」と店員さんは言うだろう。いや、静かに置いていると気付かない可能性だってある。

 しかし、ここで言わなければならないことがひとつあるだろう。


 戦場をくぐり抜け、無事生還することが出来たことに感謝。こぼすことなく残すことなく食べきれたことに感謝。



 それを伝えるために、店員さんに目を合わせて言うのだ。



「ごちそうさまでした!」



 するともし向いていなかったとしても、必ず店員さんは向いてくれるだろう。そして笑顔で「ありがとうございました」と言ってくれるだろう。


 それでいいのだ。戦場(フードコート)を去る時の言葉はそれでいいのだ。



ありがとうございました。


「いただきます」「ごちそうさま」大事なんです!

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