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※これは認めたくありません。

3 ※これは認めたくありません。



「それでは席替えを行う!みんな順番にくじを引きに来てくれ。」


担任の暑苦しい声が教室に響き渡る。新学期が始まってまだ一週間しか経たないというのにもう席を替えるそうだ。なんとも多くの人とコミュニケーションを取らせ、クラスみんなをはやく仲良くさせるのを目的としているらしい。


考え方は良いと思うのだが、一週間ってあんま早すぎなんじゃないだろうか…。

みんな仲良くなる前に替えられて逆に仲良くなれなそう…。


一列目から順に教卓に置かれた箱の中からくじを引いていく。

「ハイ次の列!」

前の席のやつに続き教卓へ向かう。

まあ、どこの席になってもどうでも良いのだが。


くじを引き、黒板に書いてある教室の平面図にくじの結果を書き込んでいる学級委員長に番号を伝え、席に着いた。


周囲は何処だったの、どこが良かったの、あの子の隣が良かったのなんのと、わー、きゃーと騒がしい。


何が楽しいのかさっぱりわからん。


「よしみんな引き終わったな。じゃあ移動開始!」


教師の号令に、机の中の荷物をバックに詰め込み、黒板に表記されてる席に向かう。


俺の席は良くある主人公の席の対角線上の位置である一番右の列の前から2番目席だった。


「悪くないな。」


この席ほど目立たない席は少なかろう。

椅子に座り荷物を横の引っ掛かりにかける。そして机に突っ伏す。これで俺だけの世界の完成だ。


相変わらず周囲はざわめいている。隣の人は隣の人と仲良さそうに会話しており、前の人は休みで今日は来ていない。後ろの席は後ろと隣の人と話している模様。だがそれにしても後ろの席の声は少し遠く聞こえる。

少し気になって後ろを振り返ってみると、そこには、


「あっ!やっぱり朝のメガネの人だ!」


あのメガネ女子がいた。


「何故お前がここに…。」


正直すごい驚いたが、さも冷静を装い、問いかけた。


「何故って、同じクラスだから当たり前でしょ。変なの。」


気づかなかった。てかクラスの人とか委員長以外わからないし。むしろ委員長の顔も今さっきしったまである。


それにこの子の見た目もメガネ、おさげ、スカートも長いし、学校にとっては理想的な格好である。こんな地味な子を覚えれるわけないだろ。


「ねぇ。これも何かも縁だし、友達になりましょ!」


その見た目に反して何故かかなり積極的である。


「ごめんなさい。」


そう告げ、再び机に突っ伏そうとしたその時、いきなり首根っこを、捕まれ頭ごと起こされ、今度もう片方の腕で頭のてっぺんをアイアンクロウ。


無理やりもどされてしまった。


「何に謝ってるの?謝ることなんて何もないじゃない。私たちもう友達なんだから。」


いつの間にか友達認定されていたらしい。最近はこういう友達の作り方が流行っているのかもしれないな。最近友達作ったことないからわからないけれど。


このときの俺は精一杯のおもいを声に込めてこう言うしかなかった。

「あがっ…、うっ…、首っ!ガハッ!、死ぬ…。」


伝わってくれると良いな。俺のこの想い。


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