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アンチ・コミューン  作者: グレネード安雄
2/3

世界は変わった

なんかファンタジーから離れちゃいましたが、

なんか急にポッ!って思い付いたので設定とプロットを思い付いたままに作成!


文章の方は試行錯誤しましたけどね…。



「―と、このように2000年代初期における日本はいろんな風俗が発展していて、当時のどこの国よりもアニメは負けていなかった。それだけでなく技術力も豊富で常に最先端を走っていた。ただ、今じゃ世界的に停滞気味で従来の技術を何度も模倣するのみだ。もっと何でもいいが開発してほしいものだがな。あと今じゃ羨ましい限りだが、毎日何トンもの食料を期限切れという理由で廃棄を繰り返していたらしい。数年前まで配給制だったから今の常識じゃ考えられん。」


狭くもないが決して広くもない一室でネクタイをだらしなく締めた男が、黒板からチョークを離しながら彼の講義を聞いている10人ほどの生徒達へ話しかけた。


「ですが、先生。下手に新しいものを作っても今の世の中では富裕層が独占するだけです。実際、どこの放送局も富裕層をターゲットにしていて私たち庶民には見向きもしません。例外は国営放送ですが…。」


「村本くん?国営放送なんて当たりもしない天気予報と富裕層をべた褒めするだけでしょ?」


教師に対して反論をしたが、すぐに隣に座っていた女子生徒に正論を言われて押し黙った。


「ま、女子はさ~お偉いさんに取り次いで愛人にでもしてもらったら人生安泰だよな…。」


「は?ふざけたこと言わないで!」


別の男子生徒が、正論を話した女子をからかうと、すぐさま女子生徒はその男子生徒を椅子で殴った。


それをきっかけに部屋全体で生徒同士での諍いが始まってしまった。男も女も服装はお世辞にも綺麗とは言えず土埃が付いていたり、服の端が破れていたりする。


「おい、茨城。お前よくこんな状況で寝てられるもんだ。わざわざ一番前の特等席だってのに堂々と寝やがって。」


「いつものことでしょう…。今回はちょっと過激ですけどね。みんなお腹も減ってその上、ホームレス共との小競り合いでイライラが溜まってたんだと思いますよ。」


こうして二人が話している間にも、諍いは変わらず起こっており床に倒れ付している者もいた。最早ストレスの捌け口を求めるように無差別に互いを言葉や拳で傷つけあっていた。


「巻き込まれないうちにずらかるぞ。俺はこいつらを指導する義務はないからな。ただ学問を授けるのみだ。」


「それじゃ指導がいらない僕は優等生ってことですね。」


「馬鹿言え。お前には、今の社会を生き抜くための知恵と方法を授ける予定だ。あの殴りあってる馬鹿共にはその資格はない。」


もう教室の中の生徒には、眼中にもないように気だるそうな男―幕橋杉蔵は自らが気に入っている教え子の茨城一誠に話した。


「それはそれは嬉しいお言葉ですけどね、生きる知恵と言いましてもクーデターでも起こすおつもりで?それじゃ、そこらの浮浪者どもと何ら変わりはないですね。」


「一誠…。それもいいが現実的じゃねえな。俺としては、古来から各国の軍で使用されてきたサバイバル術を教えてやろうと思ったんだ。それさえあれば余程酷い場所でも生きてけるからな。」


蜘蛛の巣が張られたり蜥蜴が卵を産みつかせている手入れされていない廊下を二人は並んで歩く。


先程、幕橋が授業を行っていた教室も相当ガタついていたが二人が通る道すがらにあるどの教室もとても使えるものではなかった。辛うじて建物という概念は残ってるが、大学…もとい教育機関という機能はすっかり失われていた。


「ふぅ…。この大学?もいつまで続くかどうか分かりませんね。何せこのご時世に教授の学友である…何さんでしたっけ?」


「アルノリドだ。あだ名はアルで、ここらじゃメドベージェフ中尉の名で通ってるな。」


「そうそう。その中尉が、大学に巣食っていた浮浪者達をその…‘駆除’して色々運営に必要な人員を集めてくれたとか。」


「そうだな。アルは名前からして分かると思うがロシア皇国の軍人でな…戦争後期に敗戦色が濃厚な皇国から亡命してきたんだ。そのとき俺が所属していた部隊が手引きしたのがアルと出会ったきっかけだ。」


感慨深く話す幕橋だったが、ある部屋の前を通りすぎかけたので足を止めてその部屋へと入った。


[家庭科室]


部屋に入ると、ほぼ一面にどこからか拾ってきた鉄屑が散開していた。その中には猫のような生き物のぬいぐるみや立方体のゲーム機らしきものなど様々だ。教授室は軒並み荒らされて、机から敷物まで全て持ち出されていたため、幕橋は家庭科室を自らの居城としていた。


「喉が渇いたな…。一誠よ、そこのバケツの水を煮沸してくれ。部屋の隅のガス台でな。他のは全部解体したりしたからな。」


「それは分かりましたけど…ガスはあるので?ここには電気も水道もガスも通っていない筈では?」


「アルがキャンプ用のガス缶を数本調達してくれたからな。暫くはそれで持つ。」


言われた通りにバケツの水を傍に置かれてたやかんに移しかえガス台に設置し、点火した。


「おお…俺、久しぶりにガス台使ったような気がします。家じゃ焚き火ですからね。」


長年の戦争により資源や物資が足りておらず、その数少ない物資は最優先で富裕層と国の中枢に回されるので国民に行き渡るのは稀だった。


なので国民は戦によって荒れ果てた都市や廃棄された研究所、瓦礫当然の店舗から品物を発掘など各々生きる対策をしていた。治安が日を重ねるほど悪化しているので近い将来、物資を巡って本格的な戦も起こるかもしれない状況だった。


「そういえば教授。世の中には玉露という茶葉があったらしいですね。」


「なんだいきなり…。ああ、昔は少し奮発すりゃそれなりのものが買えたからな。今じゃパックのお茶をたまに飲めるくらいだ。そもそもこの町じゃ、もう金銭取引なんてもんはないから最早手に入れるのは夢のまた夢だ。」


「ここから数十キロ離れた…藤井市でしたっけ?そこではまだ通貨があって不定期ですが市も開かれ賑わいがある町らしいです。」


そんなこんな話しているとヤカンから煙が吹き出した。どうやらお湯が沸いたようだ。


「教授、白湯ですか?」


「当たり前だ。その為に殺菌したんだからな。生水ほど恐ろしいものはない!」


何か体験談があるようで、この日一番の声で一誠に言い聞かせた。


そうして幕橋と一誠は、のどかにティータイムならぬ白湯タイムを楽しんだのであった。


時は、第三次世界対戦の終戦から10年後。終戦直後の動乱が終息してすぐ、浮浪者などの元々社会から外れていた者たちによる暴動が起こるようになり、ある日はホームレス達による物資略奪、またある日は警察隊との衝突といったことが世界各地で起こっていた。

日本も例外でなく一誠達の周りでも略奪や小競り合いが起こり、そのストレスから皆が苛立っていた。


そんな中でも幕橋と一誠は―


「教授~。白湯も意外とイケますね。元は雨水とはいえ、共用の井戸水とは大違いです。」


「井戸水なんて名ばかりだ。適当に掘って偶々出てきた水を井戸水と言い張ってるだけだ。それよりは雨水を溜めて飲んだ方がいい。」


―暢気に白湯を飲みながら、水についての世間話?をしているのみだった。世の中の波乱を知っていてそれを体感しているが、二人にとってそれは些細なことだった。二人が考えることは、今日の夕飯どうしよ?くらいのことのみだった。

第三次世界対戦…。リアルで起こったら嫌ですけど、小説の内容としては良いんじゃないかなと思いました。

本編開始が終戦から10年後ということですが、何故直後にしなかったって?戦後処理とか全く分かんないので10年経過させました。


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