彼女の絵を描き続ける
愛している女がいる。
しかしその女と恋仲になろうだとか、一生を共に歩みたいなどとは思っていない。
ただ、愛しているのだ。
だから俺は、キャンバスに彼女を描き続ける。
俺は画家だ。
しかもただの画家ではなく、恥ずかしいことに売れない画家だ。
そんな俺が、彼女を幸せに出来るはずがない。
たとえ彼女が俺と同じように俺を愛していたとしても、それを受け入れるべきではないだろう。
だからこの彼女を想うこの気持ちを、キャンバスに閉じ込める事に決めた。
彼女の瞳が、髪が
彼女の体のラインが、その色が
笑顔が泣き顔が怒りに触れた顔が頬を染めるその顔も
全てがただ愛しい
あのとき彼女に触れた髪の感触や、手の温もりを忘れないように
また今日も1枚の"彼女"が部屋に飾られる