ブロローグ
___ここは…何処…?
少年は辺りを見回す。そこは密閉された空間であった。
___何…?コレ…
少年の手足には頑丈な鎖が繋がられている。更に少年は金属製の大きな椅子に腰掛けられている。
少年は身体を動かそうとする。しかし、頑丈な鎖の力には到底及ばない。ガシャン!ガシャン!と、大きな音を立てて、少年は身体を動かそうとする。しかし、びくともしない。
___お父さん…お母さん…ボク…怖いよぉ…。助けてよぉ…!
少年は泣き叫びたい気持ちを抑えて、心の中で助けを訴える。
しかし、無情にもその想いは届きやしない。
その時、誰かがこの密閉空間に入ってきた。それも二人。
一人は、黒髪で眼鏡をかけて白衣を身に纏う二十代半ばの男性。
もう一人は、薄いピンクの長髪で、もう一人の男性と同じ白衣を身に纏う二十代前半の女性。その背から白い翼が生えている。
そして、その二人こそ…
___お父さん!!お母さん!!
少年の愛する父と母だった。
だが、次の瞬間、少年の両親は軽く少年に微笑むと、突然父親の方が少年の左腕に何らかの薬が投与されていると思われる注射器を突き刺してきたのだ。突然の苦痛に断末魔の悲鳴を上げる少年。すると、今度は母親の方がうるさいと言わんばかりに少年の口を抑え込む。そして少年の口を強引に開けさせ、何らかの錠剤薬を飲ませた。
___どうして…どうしてこんな酷いことをするの!?
泣き叫んでいるような瞳で、二人に訴える少年。
___僕はお父さんとお母さんのことが大好きなのに!もしかして…僕のこと嫌いになっちゃったの!?僕が弱いから嫌いになっちゃったの!?ねえ!どうなの!?答えてよ!
少年の父親と母親は黙ったまま少年を見つめる。
そんな二人を少年は鋭い眼差しで睨み付ける。
次第に少年は全身が酷く焼けるような苦痛に襲われた。
___やめて…やめてよぉ…!
少年は苦痛と共に叫ぶ。
___昨日まで一緒に楽しく遊んでくれたじゃないか!それなのに…何でこんな酷いことをするんだ!
少年は泣きながら訴える。
___嫌だ…嫌だぁ!!死にたくない!死にたくないよぉ!!
苦痛に侵され、死ぬことを拒絶する少年。父親はそんな少年を鞭のようなもので引っ叩き、何かを叫んでいる。同時に母親も何かを何かを叫んでいる。そして、それは次第に明らかになってきた。
「この悪魔め!!!」