Stage1-2 危険な橋/小さな橋
《浩一郎ビジョン》
我々パーティーは大河の傍を慎重に歩いて行った。すると、今にも壊れそうな橋がある。どうやらこのジャングルを抜けるには、この大河を横切らなければならないらしい。そのためにはこの橋を渡らなくてはならないのだが、どうも怪しい。もしかしたら敵の仕掛けた罠かもしれないしな。
俺は、近くに落ちていた木の棒で橋をつついてみた。この程度なら大丈夫そうだが、人間が乗るとなるとどうなるか……。全く予想できない。
取り敢えず我々は、悩んでいても仕方がないという事で橋を渡ることにした。まず、俺の方が賢者よりもはるかに軽いので、俺が先に渡る事にした。
抜き足差し足で慎重に歩く。もしも落ちたら終わりだ。覗き込んでみると、ピラニアのような凶暴な魚がいる。小さいが、それでも俺程度ならば簡単に噛み砕いてしまうだろう。
俺は何とか橋を渡り切った。少し軋んだが、慎重に渡ったので何とかなった。
しかし俺が思うに、賢者は逆に走った方が良い気がする。そうすれば、もし崩れても渡りきれる可能性が高いからだ。
俺は賢者に走るように指示した。賢者はそれに従い、急いで渡った。
危ない! 橋の一部が壊れてしまった! 早く、速く渡るんだ!
賢者は何とか大河に落ちずに済んだ。これも俺が走れと言ったおかげだろう。
ふと見ると、俺が先程橋をつついたのは、『ひのきの棒』だった。よく考えてみれば、俺は何も装備していない。最弱の武器とは言え、何も無いよりはましな筈だ。俺はひのきの棒を装備した。
《祖母ビジョン》
わたしたちは川の上に架かっている橋を通りました。わたしはごく普通に通ろうとしたのですが、浩一郎が許してくれません。俺が先に渡る、と言って聞かないのです。わたしは別に誰が先でも良いと思ったので、特に反論はせず、浩一郎を先に渡らせました。
浩一郎は渡る前に、落ちていた棒を拾って橋をつつきました。どうしてそんな事をしているのかは謎ですが、取り敢えず反論はしません。
浩一郎は橋を慎重に渡りました。それこそ抜き足差し足と言う感じで、渡るのに結構時間がかかりました。わたしも早く渡りたかったのですが、浩一郎はそこで待てと言います。なのでわたしは待っていました。
浩一郎が渡り切ると、わたしは橋を走って渡れと言われました。面倒ですが、別にどうでもいいので走りました。途中で浩一郎が「危ないっ!」と叫んだので何かと思いましたが、後ろにも何もいないし、何だったのでしょう。
下を見ると、可愛い小魚が泳いでいます。さっき浩一郎は、これを見て酷く狼狽していましたが、魚も嫌いなのでしょうか。浩一郎の好き嫌いはよく分かりません。
わたしが渡り切ると、浩一郎は、「これはヒノキノボウじゃないか!」とか言って喜んでいます。よく分かりませんが、最近の中学生はこんなものなのでしょうね。
わたしたちはさらに歩き続けました。