1 腰痛
この桜庭探偵事務所には、様々な悩みを抱えたお客さんが訪れます。
桜庭探偵事務所は妖怪を専門にしています。
私、三上沙彩は十二歳。小さな頃、両親を亡くし三上家に引き取られ、その後この事務所のお手伝いをすることになりました
「先生、そろそろ依頼の方が来られます。しっかり準備してください」
「分かってるよ」
桜庭は面倒くさそうに背伸びをした。
年は27歳。スラリとした長身で、端整な顔立ちをした男。気だるげな雰囲気をまとい、色気があると思う女性も多いだろう。
私は思わないけど。
「腰痛がひどくて…」やってきたお客さんは、暗い顔で言った。
「妖怪の仕業ですね」桜庭は即答した
妖怪関係ないでしょ、それ…
沙彩は思った。
「間違いなく妖怪の仕業です」
桜庭は断言した。
「腰痛の8割は原因が不明とされています。それらはすべて妖怪の仕業です」
桜庭は依頼人の腰に湿布を貼り付けた。
「霊験あらたかな方の気を注入した、特別な湿布です」
沙彩には、どう見てもどこにでもある湿布にしか見えなかった。
客は礼を言って帰っていった。
これは詐欺ではないのか?
後日、客がやってきてお礼を言った。
腰痛がすっかり直り、とても感謝しているという。
まぁ、「病は気から」とも言うから…
客が帰った後、桜庭は前髪をかき上げながら
「自分の才能が怖い」と言った。
なんだこいつ。




