笹舟とオリオン
竹林がさやさやと風にかき鳴らされて
夜空には光る笹舟が浮かんでいる
雲を透かして白い波紋が波打って
波止場には船頭さん
わたしはあの笹舟にのってゆくように
良い夢をみたい
ムクドリの鳴き声、秋の虫音、
空を移動する鈍いゴオという風の音は
胎内で聴いた
母の静けさと安らぎの音
夜の森
獣も食べない毒キノコが白く光っている
そのキノコにわたしはなってみる
一番星にココニイルヨ、ダイジョウブと瞬いて
森に生まれた星母子
笹舟には小さな飛沫、森のミクロ菌を
浴びながら、土草を滑り
竹林の沢を落ち葉とともに下ってゆく