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1章 私、ふつーのOLだったよね?!

朝日が差し込んで、ゆっくりと目が覚める。


とても身体が軽い。

あぁ、あの頃は残業続きで、全然寝られてなかったし……その前に戻ったなら、目覚めもこうなって当然ーー


「おはようございます、お嬢様」

「あ、うん、おはよう……」

「? どうかなさいましたか?」


ん?んんん??

おじょう、さま……?

誓って言うが、私は普通の、一般企業に勤めるOLだった。


それが、目が覚めたら数人の女性……たぶんメイド?に囲まれていて……?


死んでしまったときは30歳。

先に言ったように残業続きで身体はボロボロ、婚約者がいたがよりによって同僚の友人に寝取られて、おまけに婚約者からは婚約を取り消したいと言われた。

もうお互いの両親には報告していて、友人たち何人かには話していた。

その友人たちのひとりが裏切った。


彼は私の仕事に理解があった。と、思う。

実際同棲していて帰りが遅い私をいつも気遣ってくれて、ご飯の用意や家事をほとんどやってくれていた。

たまの休日には私の予定を優先してくれて、私も彼の誕生日や記念日にはプレゼントを奮発してお祝いした。

周囲からはまだ婚約段階なのに夫婦認定されていたくらいには、仲はよかった。と、思う。

私の仕事が忙しいのは一時的で、私と彼は別の仕事だった。彼の仕事が忙しいことだってもちろんある。

そんなときは役割を交代してたし、休みの日は憂さばらしにカラオケ行ったり旅行行ったり……なんでも付き合った。


友人は友人で、私の愚痴にも付き合ってくれる子だった。

繁忙期には差し入れを会社のみんなに配ったり、彼と喧嘩したときはお互いの言い分を聞いて仲裁してくれたりもした。

もしかしたらそれが、隙になっていたのかもしれない。

彼女はずっと、彼氏がほしい、と言っていた。聞けば学生の頃付き合っていた彼氏とひどい分かれ方をしたので、今度は優しくて将来を考えてくれる彼氏がほしい、と。


あえて私を裏切る意味はわからなかった。

2人がどうして、私を。なぜ私なのか。


3人でさんざん話して、結局私は身を引いた。

彼には何度もごめんと謝られたが、そんな言葉が欲しいんじゃなかった。

ただ、理由が知りたかった。私を裏切る理由が。その意味が。


「ほらほら、お寝坊なのはいつものことですが、今日はそういうわけにもいきませんよ!」


やたらと遠い部屋のドアをノックして、年配の女性が入ってきた。


「アリシアお嬢様」

「ーーは、はい?!」


とっさに自分のことだと認識する。

年配の女性が深々と頭を下げて、言う。


「18歳のお誕生日、並びに王家とのご成婚、まことにおめでとうございます」


続いてまわりにいる女性たちが頭を下げる。


「……はい……?」


もうとっくに頭の許容量を超えている。

どうして、何があって、こうなってるの……?

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