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この作品には 〔ガールズラブ要素〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

ふたご~まるまる! ~見た目も中身もそっくりな双子女子たちは押しが強い~

作者: 栗野庫舞

左右反転させた髪型の双子ではないです。

 あなた達は双子の女子高生だ。


 お互いに顔も性格も、とても似通っている。


 あなた達のうち、片方は黒髪を一本の三つ編みにしていて、もう片方は二本の三つ編みにしているのが、普段の特徴だ。これが見た目での唯一の判別点と言っていい。声も体型もそっくりなため、髪型を入れ替えたら実の両親でさえも間違えてしまう。


 そんなあなた達は、スポーツ万能で格好良い、一つ年上の先輩を愛している。


 その憧れの先輩は男子ではなく、女子だ。


 相手が同性でも、あなた達は諦めたりしない。放課後になった今、あなた達は大好きな先輩に告白するつもりでいた。


 部室棟の横に、美人で世話好きな先輩がいる。いつものように茶髪をポニーテールにまとめ上げており、青いジャージの上着はチャックを閉めていない。ジャージの中は白い体操着だ。


 紺色の制服姿のあなた達は、先輩へと真剣な顔を向ける。


「「私、先輩のことがずっと好きでした! これからは恋人として、つき合って下さい!」」

 横並びのあなた達の大声が、不気味なぐらいに重なった。


 先輩のほうは当然困っていた。同じ顔の、しかも後輩の女子達に、同時に告白されたのだから。


 いつも仲良くしているあなた達のことを好意的に思ってはいても、同性の恋人関係は受け入れられない。先輩の表情から、それが容易に見て取れる。


 だが、あなた達は強情(ごうじょう)だった。


「「先輩は私のほうがこの子よりも好きですよねッ?」」

 あなた達は隣にいる双子を鋭く指差し合って、先輩に問う。


 さらに先輩は困惑した。彼女はどちらかを選ぶこと以前に、どっちがどっちなのか、分かっていないようだ。


 三つ編みが一本か、二本か。あなた達の見た目は、確かに髪型だけが異なっている。


 逆に言えば、そこしかない。


 もし今日だけ、あえて試すように普段と反対にしていたら……。実際、あなた達がそれをやって先輩をからかったこともある。


 先輩は、あなた達を間違えるのが怖くてたまらないだろう。あるいは、あなた達のどちらか一人を選ぶなんて、優しい先輩には出来なかったのかもしれない。


 答えを待っていたあなた達は、無言のままの先輩に苛立(いらだ)ちを覚えた。


「「どうして私のことを選んでくれないのですかッ! 先輩ッ!」」

 またもあなた達の声がぴったりと重なった。


 全てにおいて一緒だからと、先輩は言い返したりはしなかった。


「……分かっていますよ、先輩。私達がちょっと似ているから、選べないのでしょう?」


 あなた達のうちの一人だけが、先輩に喋った。先輩が思慮深い性格でなければ、ちょっとどころじゃない! そう叫んでいたに違いない。


「ですが、――これで私の勝ちですっ!」


 喋り続けていたあなた達のうちの一人は、ためらうことなくミニスカートをたくし上げた。穿()いていた下着を先輩に見せつける。


 その下着は、白地に薄い紫色や緑色の大きめな水玉模様が入った、かわいらしいデザインだった。


「あぁーッ! 自分だけ先輩を誘惑するなんてずるい! 私だって見せるんだからっ!」


 あなた達のうち、たくし上げていなかったほうも対抗して、ミニスカートを大胆に持ち上げた。


 新たに先輩に向けられたのは、濃淡の水色の線で(えが)かれた大きい正方形が複数入った、白い下着だった。上部中央には小さな空色のリボンがついている。こちらもまた、かわいらしい。


「ほらっ! 先輩の好きな青系の色を使った模様ですよ! 私で決まりですねっ!」

「そんなことないって! 水玉模様のほうが丸くてかわいいもん! そうですよねっ、先輩!」


 間近(まぢか)で声を(あら)げるあなた達の剣幕(けんまく)な姿に、先輩は気圧(けお)されていた。


 一方、不機嫌なあなた達は先輩の返答が出るまで、下着を見せた状態で待つ。


 そうして、ようやく出された先輩の答えは――。


「……二人とも、かわいいよ?」

「「そーいうのは求めてないんですよッ!」」

 あなた達は先輩へと同時に怒鳴った。


「でも……下着で選んだら、あなた達じゃなくて、下着を選んでいるみたいだし……」


「「どーいう意味ですか先輩! それじゃあまるで、私達がそっくりで下着だけが違うみたいじゃないですか!」」


 そうだよと言いたげな先輩に、あなた達は怒りが爆発しそうだった。普段は穏やかで清楚なふうに見えても、こういう時のあなた達は強い。


「「私達に恥ずかしい思いをさせておいて先輩だけ見せないで終わるなんて、我慢なりませんっ! 先輩のも見せてもらいますからね!」」


 恥ずかしい思いをしてそうな顔なんて全く見せていなかったのに。きっと先輩はそう思ったに違いない。


 すぐにでもあなた達は行動を起こす。(およ)(ごし)だった先輩を押し倒し、片方が両手と上半身を拘束し、もう片方が両足を押さえる。あなた達双子の連携は完璧(かんぺき)だった。


「やっ、やめてよぉっ!」


 先輩が泣き顔になって抵抗する。


「「イヤです!」」


 あなた達は先輩に負けない。


 スポーツ万能な先輩でも、目的のため、心を一つにして共闘するあなた達には(かな)わなかった。


 あなた達はミニスカート姿でも気にせず、乱暴に動いていた。よって、先輩にもスカートの中がチラチラと見えていたかもしれない。もっとも、先輩は自分のピンチでそれどころではなかったけれども。


 とうとう、先輩が穿()いていたジャージの下は、あなた達によって脱がされた。


「うぅ……っ」

 恐怖に支配された先輩は小さく(うめ)く。


 そんな中、あなた達は先輩の下着を目に入れる。


 ぼんやりとした水色の生地には、白い水玉模様がびっしりと入っていた。足ぐりに変化を与える、繊細な白いレースもついている。上部中央には小さな白いリボンもあった。凛々(りり)しさあふれる先輩が身に着けている割に、かわいさのほうが勝っている下着だった。


「ほら見て! 私の下着と同じ水色だよ! 先輩は私のもので決まりね!」

「いいえっ! よく見なさいよっ! 水玉だから私のほうに近いでしょ!」


「そんなことで言い合うのやめてよぉ……っ」

 もはや先輩に普段の気丈さは無かった。


「「――先輩が私を選んでくれないからこうなっているんですよ! 罰として、先輩の下着は没収させて頂きます!」」

「えぇ~っ!」

「「今から先輩の下着を先に強奪(ごうだつ)したほうが勝者とします!」」

「なんでそうなるのぉ~っ!」

「「先輩が決めてくれない以上、私達が勝負して決めるしかないからです!」」

「いやあぁーッ!」


 ここから先は本当に身の危険を感じた。つまりは下着を奪われそうになっていると、先輩は疑っていない様子だ。


「お願いっ! もうやめてっ! うちにある私のパンツを一枚ずつ分けてあげるからっ! これを脱がすだけのはやめてぇ~っ!」


「「いいでしょう」」


 必死な先輩は代替案を申し出て、あなた達はあっさりとそれを受け入れた。


 その後、(おび)えた顔のまま、先輩は制服へ着替えに行った。待っている間、あなた達は周囲に目を光らせた。


 次に、先輩の家へと向かう。その間も、あなた達は周囲への警戒を(おこた)ることなく、ついて行った。仮に先輩の穿()いていた下着を奪っていたとしても、先輩の家には理由をつけて行くことにしていた。だから、先輩から申し出てくれたのは、あなた達にとって好都合だった。


 たどり着いた先輩の自宅の部屋に、あなた達は入れてもらう。


「ちょっと待っててね……」


 先輩は、律儀(りちぎ)にありったけのショーツを用意した。下校前に見た時と同様、かわいいものが多い。あなた達にとっては、まさに宝の山だった。しっかりと目に焼きつける。


「好きなのを選んでいいよ……」


「「冗談ですよ、先輩」」


 あなた達は清らかな聖女様のごとく、微笑みの顔を装った。


「えっ?」


「「大好きな先輩の下着を私達が奪い取るなんて、そんな非常識なこと、出来るわけがありませんよ」」


 あの時と言っていることが違うじゃないかと、恐怖に支配されていた先輩は思いもしなかった。むしろ逆に、ぱあっと笑顔になって、あなた達に感謝までしていた。


 それから少し経って、あなた達は先輩に見送られて先輩宅を後にした。住宅街の道を歩くあなた達は、とても満足している。


 先輩への告白は失敗したけれど、最初から上手く行くとは思っていなかった。


 先輩が穿()いていた、かわいらしい下着を見られた。普段の格好良さと一致しない点が、逆に萌える。


 先輩の家の自室にも入れてもらえた。内装はクールな印象だったけれど、大きくて丸っこい、青い鳥さんのぬいぐるみがあった。


 先輩愛用の下着をたくさん見ることが出来た。先輩のベッドも見た。窓も壁も見回した。それらを(もと)に、妄想がはかどりそうだ。襲っても怒らない、心の広い先輩なら、勝手に色々と妄想しても、きっと許してくれるだろう。


 それに……。


 あなた達の一番の目的は、無事に達成された。


「先輩には悪いことをしちゃったね」


「でも、これを発見出来たからね。――盗聴器」


 あなた達のうちの一人が、右手に持った小型の盗聴器を、夕空へと高く(かか)げる。その白くて四角い電気機器は、コンセントを複数つけられる電源タップの形状を模していた。


「それ、やっぱりあったんだね。先輩には内緒にして回収してきたけど、今から先輩のところに戻って、知らせてきちゃおうかなぁ?」

 あなた達のうち、盗聴器を持っていないほうが、わざとらしく声を大きくして言った。


「だめぇ~っ!」


 塀の陰から黒髪巨乳の美少女が飛び出して来た! 彼女はすかさず盗聴器を奪おうとするが、あなた達は華麗(かれい)な連携プレイでそれを阻止する。


 あなた達の前に姿を現したこの美少女は、学校からずっとあなた達をつけていた。巨大な胸部だけを見れば、同級生の平均よりも少し下ぐらいのあなた達とは全然違う。けれども、顔立ちがよく似ている。


 彼女は、あなた達よりも一歳年上の、――実の姉だ。


 そして、あなた達の先輩の親友でもあった。


   〇〇


 あなた達は姉を尋問(じんもん)するため、近くのファミリーレストランに入店した。


 薄い茶色と白のミニスカート衣装を着たウェイトレスさんに、四人掛けテーブル席へと案内される。そこであなた達は、姉と向かい合わせで座った。


「あなた達とお食事なんて久し振りだね、やったぁ~」


「いや、お姉ちゃん。喜ばないで」

「あと、私達が頼むものはお姉ちゃんの(おご)りだからね」


「……はい、分かっています」


「よろしい。じゃあ、さっそく本題に入ります。どうしてこんなものを先輩のところに仕掛けていたの? お姉ちゃん」


 あなた達のうち、右側の席に座るほうが小型盗聴器を見せながら聞いた。その(かん)ずっと、あなた達は非難の眼差しを姉に向け続ける。


 胸部があなた達よりもはるかに大きい姉は、あなた達と顔立ちは似ているものの、見比べることなく、すぐに判別出来る。後ろ髪の一部分を金色の髪飾りで留めた黒のロングヘアは美しく、全体的に柔和な印象が漂っている。


 動物に例えると、先輩がライオンや虎といったネコ科の肉食獣だとすれば、あなた達の姉はウシ科の草食動物だ。無駄に巨乳だということもあり、よりそんな雰囲気が強まる。


「……あなた達がね、私よりもあの子と仲良くしているから、つい許せなくなって、何か距離を置かせられるような弱みでも握ろうと思ったの。私は、あなた達のお姉ちゃんなのよ? だから親友よりも、あなた達ともっともっと、どんどんたくさん仲良くしたいの。……でも、迷惑をかけてしまって、ごめんなさい」


「謝る相手は私達じゃないでしょう? 先輩にはきちんと自分から謝ってよね」


「うん……」


 ウェイトレスさんがお水を持って来たため、話は一旦中断となった。


「……ところで、どうして私が盗聴器を仕掛けたって分かったの?」


 姉は小声で話を再開させた。


「だってお姉ちゃん、私達の部屋にも仕掛けていたでしょ?」


「えっ、うそ……知られてた?」

 姉は驚いた顔を見せる。


「知らなかったら、今日、先輩のお部屋のコンセントを調べたりはしなかったでしょうね」


「私達も、お姉ちゃんが盗聴器を勝手に設置していたとか、私達をストーカーしてたりとか、怒りたいこともあるけど、身内を犯罪者にするのも、先輩からのイメージが悪くなるから、なるべく今回の件は穏便に済ませたいの。分かる?」


「……分かっています。明日、学校であの子に会い次第、私は盗聴器のことを謝罪します」


 本人は完全に反省しているようだと、あなた達は感じた。


「約束ね。……私達、先輩のことは好きだけど、お姉ちゃんのことも好きだから、その辺は誤解しないでよね」


「そうだよ、お姉ちゃん。……この盗聴器、お姉ちゃんに返すけど、罰としてそこに入れてもらうからね」


 あなた達のうちの一人が席を立つ。姉の横に行き、ブラウスの内側、白いブラジャーを着けた胸部へと無理やり盗聴器を突っ込んだ。


「いやぁんっ!」

 姉は色っぽい声を出した。店内でちょっと周囲に驚かれた。


 その翌日、信頼する姉はあなた達に言われた通り、先輩に謝罪した。先輩はジャージを脱がされたことのほうが悪質だったと言っていたが、あなた達は都合の悪いお言葉を聞かなかったことにした。


   〇 〇


 今日は日曜日。


 あなた達は先輩とデート……ではなく、お買い物の約束をしている。午前中の十時前に、出発しようと玄関に向かったところで、あなた達のうちの片方が姉に束縛(そくばく)された。


「私はこの子と二人でゲームをしてるから、今日は一人で楽しんで来てね~っ」


「それは素晴らしい名案! それなら先輩には、今日は一人に合体してきたって伝えておくね! じゃ、行ってきまーす!」


 笑顔であなた達のうちの一人は言い、一本の三つ編みを(ほど)く。もう一人を見捨てて、玄関扉を開けた。


「行ってらっしゃ~いっ!」


 笑顔で姉は妹一人を送り出した。


 直前でお出掛けを中止にさせられた者が不服そうになるのは、当然の流れだろう。


「私も先輩のところに行きたい!」


「だーめ! だって一緒にゲームをするなら、私との連携が上手いほうじゃなくちゃ!」


 そう姉に言われて、あなた達のうちの残されたほうは、内心びっくりしていた。今日のあなた達は先輩をからかおうと、二人とも髪型を一本の三つ編みにしていたからだ。


 実の両親でさえ間違えるのに、この姉だけはあなた達を間違えない。


 今日は二人とも髪型まで同じだったのに、姉はどちらなのか、はっきりと見分けていたのである。


 お出掛けをさせてもらえなかったあなた達の片割れは、諦めたような顔を作りながらも、大切な姉に選ばれたことを前向きに思っていた。


 あなた達は、一人の先輩を愛し、一人の姉を持つ、そっくりな双子。


 あなた達は一人じゃない。


                    (終わり)


あなた達、という二人称で書きたかっただけの二人称小説でした。


最後まで読んで頂き、ありがとうございます。

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