後日談 (修也)
俺の家族は変わっている。父は俺が幼い頃亡くなった。
父の前妻と後妻(実母)が二人で俺を育ててくれた。
幼い頃だったので俺の記憶は曖昧だが、父親が入院中にこの家に泊まった覚えがある。
この家に足を踏み入れた途端に、父を感じた。
この家の何処かに父がいるはずと『あちこち』開けたり閉めたり、散々探した。
結局その時は見つからなかったが、夜中にふと目を覚ますと父がいた。
やっぱり居たと言葉を発しようとする俺に父は
「しー、皆寝ているからね。」
と言って優しく頭を撫でてくれた。
「修也、パパは遠くに行かないといけないんだ。お前がママと有加さんを守ってくれるかい?」
有加さんって誰だろうと思いながらも、その時俺は「いいよ。」と返事をしたことを覚えている。
その後、俺は有加さんの家に住むことになった。
家に入った途端やはり父の存在を感じた。
しばらくは感じていたが少しずつ薄くなり、俺が中学に入学するころには感じなくなった。
父はいないが、厳しく俺を律してくれる母と優しいが頼りになる有加ママがいる。
一般的な家族の形としては違っているが、俺にとってはいたって普通で大事な家族だ。
いつか愛する人を見つけて家を出るまでは、ここが守るべき家族だ。
もうしばらくは俺が二人を守っていく。
『父さん、俺は約束を守れているか?』そう問い、空を仰ぎ見た。
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